「財産分与は原則半分ずつ」の根拠と裁判事例

財産分与 半分

「財産分与の割合」についてわかりやすく解説します。

「財産分与の割合は50%」の根拠

平成8年までは専業主婦の寄与度(財産分与の割合)は30%~50%で決着することも珍しくなかったのですが、平成8年の民法改正案要綱にて以下のように規定されてからは実務上、「特別の事情があることを証明できない限り財産は半分ずつ」というのが基本的な考え方になっています。

各当事者の寄与の程度は、その異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。

しかし裏を返せば、特別の事情があることを証明できれば半分以上の財産を勝ち取れる可能性も残されているということであり、そのことについて言及する書籍もあります。

寄与度(貢献度)については、基本的には、特段の事情がない限り2分の1を原則としつつ、特段の事情を主張する者にそれを裏付ける資料等の提出を求めることにしている。

【引用:東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情】

ではどのような場合であれば「財産分与は半分ずつ」という原則に囚われずに済むのでしょうか?

寄与度で争った事例

財産分与の分割割合(寄与度)について民法で明確なルールが定められていないため、参考になりそうな裁判事例をいくつか紹介したいと思います。

会社の創業者 VS 専業主婦

会社の創業者と専業主婦の妻との間で財産分与の割合について争われた裁判事例があります。(大阪家審平成23年7月27日 判時2154号78頁)

会社の創業者である夫は結婚開始の時点で2億円の金融資産を保有しており、その後婚姻期間中に1億円資産を増やしました。

妻は財産分与の原則に沿って、婚姻期間中に増加した資産1億円のうちの半額、つまり5,000万円の財産分与を要求したのですが、裁判の結果は意外なものでした。

なんと裁判所は妻の寄与度を2割しか認めなかったのです。もちろん納得のいかない妻は控訴したのですが、敗訴が確定しています。

裁判所が妻の寄与度を2割しか認めなかった理由は2つあります。

1つ目の理由は、「婚姻前に2憶の財産を形成していなければ婚姻期間中の1憶の資産増加もなかった」と裁判所が判断したから。

2つ目の理由は、「財産の増加はバブル経済による株式評価額の増大が原因」であると裁判所が判断したから。

財産分与においては「清算的財産分与」、つまり「婚姻期間中の財産は夫婦のものなのだから、離婚するときは半分ずつにするべし」という考え方が主流ですが、いつもそのような考え方が適用されるわけではないようです。

共働き夫婦

「共働き夫婦の財産分与」ときけば、「夫婦双方が働いていたのだから財産分与も半分ずつなのだろう」と結論づけてしまいそうになりますが、必ずしもそうなるとは限りません。(東京家審平成6年5月31日家月47巻5号52頁)

ある共働きの夫婦は(夫は画家、妻は童話作家)お財布を別々に管理しており、必要な支出があればそれぞれの財布から生活費を捻出していましたのですが、裁判所は妻に6割の寄与度を認めました。

その理由は「共働きにも関わらず、妻が家事の大部分を担っていたから」です。

「共働きで自分だけ極端に家事の負担が多いのに、財産分与は半分なんて納得がいかない」と思っている方にとっては、勇気をもらえる判決といえるでしょう。

単身赴任の期間が長い夫婦

1年のほどんどを海上で過ごしていた夫と専業主婦の間で財産分与をめぐって争われた裁判では、夫に7割の寄与度が認められています。(大阪高判平成12年3月8日 判時 1744号91頁)

夫は一級海技士の資格をもち1年のうち6ヶ月~11か月を海の上で過ごしており、その一方で妻は専業主婦であり家事・育児に専念していたのですが、裁判所は「夫の資格や、海上での生活が多額の収入に結びついた」と判断したのです。

最後に

今回は財産分与をめぐって争われた裁判事例を紹介しましたが、50%以上の寄与度を勝ち取るためには、以下の2つ条件のうちいずれかを満たす必要があるようです。

50%以上の寄与度が認められる条件
  1. 資格、特別な努力による財産形成である証拠
  2. 固有資産の運用による資産形成である証拠

なお財産分与について詳しくは以下の記事を参考にしてください。

財産分与について詳しくはコチラ
離婚 財産分与離婚の財産分与で優位に立つ秘訣を1から10まで伝授