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嘘みたいな 本当の話

友人の彼氏の殺害未遂により、ひとりの女性が逮捕されるという事件がありました。理由は「友人の彼氏の浮気」です。

殺人未遂の現行犯で逮捕された女性(飲食店従業員・荒井奈津子容疑者、当時34歳)は「男性を殺すつもりでした。友達が自殺を考えるほど悩んでいた。男が許せなかった。」と供述しています。

ほとんどの人は「何もそこまでしなくても」と考えるでしょう。しかし逮捕された女性にとって友人の彼氏は『絶対に許せない』存在であったのです。この事件からわかることは、あなたと他人では「見えている世界が違う」ということです。

人はそれぞれ異なる『世界体験』をもっています。あなたの世界体験をAとすると、あなたの配偶者の世界体験はBといった具合です。もちろんAとBは異なりますから、いずれそれらは「価値観の違い」として噴出し、離婚理由になることもあるし殺害理由になることもあるのです。

では『世界体験』(≒あなたが見ている世界)はどのようにつくられるのでしょうか?

ニコラス・ルーマンというドイツの社会学者によれば、『世界体験』をつくる要素は「社会システム」と「パーソンシステム」の2つあるとのことです。

社会システムは「メガネ」。パーソンシステムは「目」。と考えるとわかりやすいでしょう。わたしたちはそれぞれ異なる「メガネ」と「目」をもっているがゆえに、必然的に異なる『世界体験』をもつのです。

ではわたしたちがかけている「メガネ」と、あなたがもっている「目」とはどのようなものでしょうか?

前回のレポートの復習をかねて説明しましょう。

島田紳助の笑い

かつて「行列のできる法律相談所」という番組のMCを担当していた島田紳助というお笑い芸人は、『浮気は交通事故と一緒』と主張して笑いをとりました。

島田紳助の主張はこうです。「交通事故はダメ。安全運転をしなければいけない。そんなことはわかっている。でも事故はゼロにはならない。浮気も一緒や。浮気もダメ。そんなことはわかっている。でも浮気もゼロにはならない。」

島田紳助の主張を聞いた番組出演者は爆笑していましたが、おそらく現在では通用しない笑いでしょう。なぜか?

それは現代の日本社会が「浮気は絶対に許さない」からです。しかも「結婚後」の浮気だけではなく「結婚前」の浮気も許さないという社会です。人類の歴史を振り返っても、かつてない『異常』事態です。

わたしたちが生きている社会がどういう社会か?ということを認識することが、すなわち「社会システム」というメガネの存在を認識することになります。だからあなたに「社会システム」というメガネを認識してほしいがゆえに、結婚と愛の歴史について解説したというわけなのです。

前回のレポートでは「結婚するために愛を探す」(恋愛結婚)とか、「結婚生活が期待はずれなら解消するのが当然」(結婚が交換を前提にした商品になっている)というのは、人類の歴史を振り返っても100年の歴史もない『錯覚』であることを明らかにしました。

また期待水準と願望水準についても解説しました。これは「パーソンシステム」という「目」についての話になります。あなたが何を基準(モノサシ)にして物事を判断しているのか?ということを自覚することが、「パーソンシステム」という「目」の存在を認識することになるのです。

そのことを理解してもらうために前回のレポートでは、あなたの離婚問題の本質が、高い願望水準(実りある結婚生活)と低い期待水準(期待はずれの結婚生活)のギャップにある・・・ということを指摘したわけです。

さて、ここまでが前回の復習なのですが大事なことをもう一度確認しておきたいと思います。

上を向いて歩くのか?

冒頭で紹介した友人の彼氏を殺害しようとした女性に、島田紳助の主張を伝えたらどうなるでしょうか??ズバリ殺されるかもしれません。笑いが笑いと認識されず、「ふざけた野郎だ。殺してやる。」などと敵意を向けられるかもしれないのです。

くれぐれもご注意ください。わたしはあなたに恨まれるために本レポートを執筆しているのではありません。

あなたが感じている「閉塞感」や「不安」や「ストレス」といったものを解消するためには、あなたがかけている「メガネ」や「目」を矯正(きょうせい)することが効果的だと思っているので、メガネ(社会システム⇒結婚や愛の歴史、資本主義)や、目(パーソンシステム⇒願望水準や期待水準)について解説しているというわけなのです。

前回のレポートでも、メガネや目を矯正したくない人には「メールマガジンを解除してください」と注意喚起しています。繰り返しになりますが、本レポートを読み進める資格があるのは、メガネや目を矯正して『あなたの離婚問題』を解消したいと強く望んでいる人だけです。

前回のレポートの言葉を借りれば、本レポートの続きを読む資格があるのは「上を向いて歩く」ことを決断した人だけなのです。よろしいでしょうか???ご納得いただけた方のみ、この先を読み進めるようにお願いします。

祖国への帰還

あなたは『ジョン万次郎』を知っているでしょうか?ジョン万次郎は、江戸末期にアメリカに渡り、帰国後に土佐藩校の教授や日米修好通商条約締結のさいに通訳を務めた人物です。ジョン万次郎の人生は、現代に生きるわたしたちに大きなヒントを与えてくれるので紹介したいと思います。

ジョン万次郎は14歳のときに漁に出て遭難し、無人島に漂着したところを運よくアメリカの捕鯨船に救助されます。そしてアメリカに渡り、捕鯨船の船長の養子として暮らすようになります。

ジョン万次郎は日本で寺子屋教育を受けたことがなく、読み書きもそろばんもできませんでした。それにも関わらず、ジョン万次郎はアメリカに渡ってから熱心に勉強を始め、オックスフォードビレッジスクールに入学し、英語、数学、測量、航海術をなどを学びます。

卒業するとジョン万次郎は捕鯨船の乗組員として生活するようになりますが、西部で起こったゴールドラッシュに目をつけて、金の採掘で大儲けします。そしてその資金で漂流してから10年後、日本への帰還を果たすのでした。

ジョン万次郎の体験談は『漂巽紀略』(ひょうそんきりゃく)という本にまとめられているのですが、その本を読めばジョン万次郎がアメリカでとった選択と行動のすべてが故郷への帰還のためのものだったと受け止めないわけにはいきません。

そう。マンガ「ワンピース」の主人公ルフィーは「海賊王に俺はなる」と確信し、ジョン万次郎は「日本に帰還する」と確信していたのです。

「できなかったらどうしよう」だなんてことは最初から考えてもいなかったのでしょう。だからこそジョン万次郎は、とんとん拍子で人生がひらけるまるでファンタジーのような人生を現実に生きることができたのです。

ジョン万次郎の存在は、人間の潜在能力を発揮し、離れ業のようなことをやってのけ、本当に望むことを実現してしまう好例といえるでしょう。人間は本当に望んでいることがあれば、無意識のうちに目標に向かい、やり遂げてしまうパワーをもっているのです。

信じられないパワーを発揮した人物をもう一人紹介しておきます。

保険金を家族に残す

『星の王子さま』という作品で有名なアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリには、「人間の土地」というエッセイ集があるのですが、そのエッセイ集のなかに『嘘みたいな本当の話』がのっているので紹介します。

サン=テグジュペリは哲学者でもあり作家でもありジャーナリストでもあったわけですが、同時に郵便飛行機のパイロットでもありました。そんなある日、同僚の操縦する飛行機が雪山に墜落したという衝撃的なニュースがサン=テグジュペリの耳に飛び込んできます。

サン=テグジュペリはとっさに「助けに行かなければ!!」と思ったそうなのですが、「雪山に墜落して生きているわけがない」というような諦めムードが漂うなかで、同僚の生存は絶望的だと思われていました。

しかし本当に驚くべきことに・・・雪山に墜落した同僚は・・・自力で生還を果たすのでした。どうやって???

雪山に墜落した同僚自身、「もうダメだ」と諦めたそうです。しかし気がかりなことがありました。もし自分の死体が雪山に埋もれて発見されなかった場合、保険金が下りずに家族が困ることが心配になったのでした。

だから同僚は目の前の岩にしがみつこうと決意しました。自分の死体が雪に埋もれないようにするためです。そして目の前の岩まで到着すると「次の岩までいこう」と決意し、次の岩に到着するとまた「次の岩まで頑張ってみよう」と決意し、あと一歩、あと一歩と頑張り続けることを続けたのだそうです。

その結果としてサン=テグジュペリの同僚は生還できた・・・・というストーリーなのですが、わたしたちはジョン万次郎やサン=テグジュペリの同僚のエピソードからどのようなメッセージを受け取るべきでしょうか?

義務感からの解放

願望水準を満たすためには、時には面倒なことでもやらなければいけません。しかしそれを「やらなければいけない」と考えるかはまた別の話です。

例えばマラソン選手にとって走ることはツライことですが、ツライなら走るのをやめればいいのです。しかし走るのをやめられないのは理由があるからです。

ジョン万次郎にとっての理由は「祖国への帰還」でした。サン=テグジュペリの同僚にとっての理由は「家族に保険金を残す」でした。あなたにとっての理由はなんでしょうか?

離婚したい理由はなんですか?というと、ほとんどの人が「価値観の違い」などを挙げます。しかしそのような理由はあなたを前進させる理由にはならないのです。なぜでしょうか?

それは「価値観の違い」というような理由は、期待水準(現実)に照準を当てているからです。現実を直視することは重要ですが、現実ばかりみていても現実は変えられません。なぜか?

答えは単純です。現実をどれだけ直視しても、見えるのは「現状の延長線上の未来」(ステータス・クオ、参考:【DAY1 離婚問題を解消する2つの方法】)だからです。

もし本当に現実を変えたいのであれば願望水準に照準を当てなければいけないのです。その上で「現在の自分は何をすべきか?」と考えて行動するべきなのです。

とはいえわたしはそれほど心配していません。なぜならば幸いなことに、あなたは上を向いて人生を歩むことを既に決断しているからです。ですから「願望水準」に照準を合わせることに、あなたが迷うことはないでしょう。

次回は「願望水準」に照準を合わせるために日々何をやったらいいのか?という点について解説したいと思います。それではまた明日の8時にお会いしましょう。