「過去の自分を叱ってやりたい!!」と思った経験はありませんか?
離婚において、準備をしないのに離婚を切り出すのリスキーです。「後の祭り」という言葉の本当の意味を身をもって知ることになると思います。
実際に、離婚経験者で以下のようなことに悩む人は少なくないのです。
- 離婚交渉が進まない!
- 慰謝料を請求できない!
- 不動産が売却できない!
- 住宅ローンの連帯保証人のまま
- 親権を奪われた
- 子供に会えない
- 財産を隠された! etc
スムーズな離婚、有利な離婚を望むなら、トラブルを防止する正確な知識が必要です。そのことだけは最初に強調しておきたいと思います。
本記事でこれからお話することは、離婚準備で必ずやっておくべき事です。もしかしたら、やるべきことが多いことに驚くかもしれませんが、焦らず一つ一つ消化していってください!
離婚後の住まいは?(1)
離婚後はどこに住みますか?現在住んでいるマイホームはどうやって処分しますか?
もちろん賃貸住宅に住んでいるなら離婚のタイミングで引越しすればいいでしょうが、もしあなたがマイホームに住んでいるなら要注意です。
あなたがマイホームに住んでいるなら、まずはマイホームの処分方法から考える必要があります。なぜなら住宅ローンを完済していないマイホームは、夫婦の好き勝手に処分できない可能性が高いからです。
マイホームの処分方法として考えられる選択肢を挙げておきます。
- 住宅ローンを完済する
- 売却したお金を折半する
- 名義人が住み続ける
- 名義人ではない人が住み続ける
- 賃貸住宅として運用する
あなたは、どの選択肢を希望しますか?住宅ローンを完済できるのはよほどのお金持ちか、熟年離婚を検討している方だけでしょう。
ですからおそらくは、売却を第一候補として検討することになると思います。離婚後は心機一転前向きに頑張りたいという人も多いでしょうからね。
しかし売却したくても売却できない人も多いのです。実は「住宅ローンの残債」と「不動産の実勢価格」を比較した時に、「住宅ローンの残債」が「不動産の実勢価格」を上回る場合は、マイホームを売却することはできません。
実勢価格とは不動産の売買価格のことです。不動産は1つの不動産にいくつもの価格が存在する「一物多価」の財産といわれています。
例えば相続税算出のための不動産価格は「相続税路線価」、固定資産税算出のための不動産価格は「固定資産税評価額」などが用いられます。
「住宅ローンの残債」>「不動産の実勢価格」の場合、金融機関の許可なくマイホームを売却することはできませんし、(残念ながら)金融機関がマイホームの売却を許可してくれる可能性もほとんどありません。
日本は世界でもっとも新築に対するペナルティーが強い国です。なぜならば新築を購入した翌日には、マイホームの価格が大幅に下落するからです。
あなたの場合、「住宅ローンの残債」と「不動産の実勢価格」のどちらが大きいですか?
これら2つの情報はマイホームの処理だけでなく、財産分与にも大きく関わってきますので、本気で離婚を検討しているなら今すぐにでも確認しておくべき「超大事な」情報です。
- 住宅ローンの残債
- 不動産の実勢価格
とはいえ素人が不動産の実勢価格を調査するには注意が必要です。(自力で調べた結果を鵜呑みにして数百万円単位で損をした人もいます。)

離婚戦略はあるか?(2)
離婚できる証拠を掴む(2-1)
配偶者に非がある場合は、それらの証拠を絶対に掴んで下さい。証拠を盾に離婚をせまれば、有利に離婚できる可能性が高くなります。
そこで問題となるのは、『どんな証拠を掴めば離婚が認められるのか?』という点です。もちろん離婚が認められる理由によって、収集すべき証拠も異なります。
以下の記事では、離婚が認められる理由について詳しく解説していますので参考にしてください。

別居を開始(2-2)
配偶者に離婚を説得してもうまくいかず、なおかつ配偶者に非がなければ『離婚できる理由をつくる』ために別居することが現実的な選択肢になります。
ただし別居を開始するには細心の注意が必要です。なぜならば一度別居を開始すれば感情的な対立が発生し元の鞘に戻ることが難しくなりますし、金銭的なやり取りも発生するからです。
以下の記事では、別居する前にやるべき事を詳しく解説していますので参考にしてください。

調停・裁判離婚を目指す(2-3)
これまで紹介した方法で離婚できなければ、最終手段をとるしかありません。調停・裁判離婚による離婚を目指すのです!
以下の記事では、家庭裁判所の利用方法や注意点を整理していますので参考にしてください。

離婚後の生活は成り立つか?(3)
離婚後の生活は成り立ちますか?
基本的に本人の離婚する意思が強ければ離婚すればいいと思いますし『何を幸せとするか?』はあなたが決めることですが、好き好んで『貧乏』になりたい方は多くないでしょう。
ですから離婚するのは離婚後の生活設計に目途がついてからでも遅くはないと思いますが、離婚後の生活費はいくら必要なのでしょうか?
離婚後の生活費を見積もっておきたい方は、以下の記事を参考にしてください。

子供の親権はどちらがもつか?(4)
日本は単独親権の国です。子供の親権者を決めないと離婚届は受理されません。そのため夫婦のどちらか片方は、必ず親権を失います。
あなたは子供の親権が欲しいですか?どうしても親権が欲しいなら親権を手に入れる準備が必要です。親権については、以下の記事に詳しくまとめています。

慰謝料はどうするか?(5)
「相手に非がある場合、絶対に慰謝料がもらえる」という考えは勘違いです。
慰謝料は「精神的な苦痛」を金銭で保証するものです。「精神的な苦痛」を客観的に証明する証拠が必要です。
また慰謝料が認められてもその金額は決して大きくありません。仮に慰謝料を勝ち取れたとしても100万円~500万円程度が関の山でしょう。
なお配偶者と離婚しない場合、上記の金額はさらに安くなる傾向があります。つまり慰謝料は、離婚してはじめてまとまった金額が認められるのが一般的なのです。
さらに慰謝料を請求することが必ずしも正解でないことにも注意すべきです。なぜならば証拠を入手するコスト、精神的労力などの『慰謝料を獲得するためのコスト』が『慰謝料』を上回ることも珍しくないからです。
なお慰謝料請求については、以下の記事を参考にしてください。

財産はどうやってわけるか?(6)
夫婦の財産は原則半分ずつです。「単純明快なので議論の余地はあまりない」と油断してはいけません。
財産分与で論点になるのは以下の3点です。
- 財産隠しはないか?
- 財産の総額はいくらか?
- 財産をどうやってわけるか?
財産隠しはないか?(6-1)
夫婦で財産隠しが行われているケースがありますので、夫婦の財産をどちらかのみが管理している場合には特に注意が必要です。
たとえば退職間際に「数千万円もの現金がどこかに消えた」という笑えない話もあります。
もちろん財産を隠されても、金融機関名と支店名までわかれば裁判所が調査することもできますが、どこに財産があるかわからなければ調べようもないのです。
また夫婦共有の財産が配偶者に隠されても警察は動いてくれないことは肝に銘じておきましょう。

財産の総額はいくらか?(6-2)
財産の総額はいくらでしょうか?
目に見える財産(不動産、絵画 等)は隠しようがありませんのでそれほど心配する必要はありませんが、目に見えない資産は離婚話を切り出す前に調査しておくべきです。
例えば金融資産であれば、証券会社から定期的に連絡がくるはずです。連絡が来たタイミングで書類の中身を記録に残しておくことをおススメします。
財産をどうやってわけるか?(6-3)
『財産のほとんどは不動産』という夫婦がほとんどですが、不動産の処分をめぐっては夫婦でモメる場合も珍しくありません。
- 不動産を売却するか?
- どちらが家を出ていくか?
例えば売却するにしても「売却時期」で夫婦で意見が分かれることもあります。具体的には「安く売って早いタイミングで現金がほしい」という意見と、「なるべく高く売れるまでじっくり待ちたい」という意見が衝突するのです。
財産の中でも特に不動産は資産価値が大きいため、決して無視するわけにはいきません。早めに処分方法について現実的な落としどころを模索しておくことをおススメします。

養育費はどうするか?(7)
今離婚したら養育費はいくらですか?
養育費は離婚で子供を不幸にしないために欠かせないお金です。しかしシングルマザーの養育費受給率は20%以下というのが現実です。
子供の7人に1人が貧困世帯という現実もあります。そのため国も養育費の未払い解消対策を議論し始めています。しかし現時点では有効な解決策があるわけではありません。
養育費の金額、支払い期間などについて以下の記事に詳しく整理しています。

保険は見直したか?(8)
保険は財産分与の対象です。しかし必ずしも解約して得られる解約返戻金を折半することは得策ではありません。
なぜならば現在加入している保険がいわゆる「お宝保険」かもしれないからです。逆に現在加入している保険を見直して支出を抑えるのが得策かもしれません。
いずれにせよ以下のような観点で保険を見直すことが重要です。
- 家族が受取人の生命保険は必要か?
- 学費の積立金は十分か?
- 老後の保障は十分か??etc
なお保険を見直す作業は素人では無理があります。そのため離婚する少し前から専門家に相談にのってもらうことをおススメします。
配偶者の友達と友達になったか?(9)
配偶者の親友と連絡先を交換しましたか?離婚する前に配偶者の友達と知人関係になっておくのが望ましいです。
配偶者の親友や、仕事関係、趣味の仲間など幅広く交流しておけば、離婚後に配偶者と連絡がつかなくなることを防ぐことができます。
ちなみに「公正証書をつくったから大丈夫!」と高をくくってはいけません。実は公正証書だけでは強制執行する100%有効な手段になり得ません。配偶者が仕事場を変えたり、行方がわからなければ強制執行しようがないからです。
実際問題として、養育費の支払いから逃れるため「仕事を辞める」、「自営業になる」、「行方をくらます」などの思い切った対応をする人もいますので、配偶者の友人と仲良くする必要はありませんが、連絡先だけは交換しておくのが無難です。
住宅ローンの金利交渉(10)
住宅ローンの金利交渉は定期的に行うべきです。特に離婚後も住宅ローンを支払い続ける場合、離婚する前に金利交渉をすべきです。
離婚して収入はそのままでも、夫婦別々に暮らすわけです。可処分所得は確実に下がると思います。
可処分所得が下がった状況では、金融機関はまともに相手をしてくれませんから、離婚する前に交渉しておくのが望ましいのです。
クレジットカードを作っておく(11)
専業主婦のみなさんは、クレジットカードをつくりましょう。離婚した直後はクレジットカードの審査が通りにくくなる可能性が高いからです。
但し、高金利での借金、分割払い・リボ払いは、自らの首を締めるので、安易な利用はおススメできません。
最後に
離婚する前にやるべきことの多さに驚いた方は多いと思いますが、今回紹介したことはどれも非常に重要なことばかりですので、焦らず一歩ずつ準備を進めていきましょう!