離婚調停前に別居したほうがいいのでしょうか?同居していることによって離婚調停が不利になるようなことはあるのでしょうか?
本記事ではそのあたりのことを詳しく解説していきます。
一般論は「別居すべき」
まず相手から暴力を受けているような場合には、身の安全を確保するためになるべく早く別居することが肝心ですし、暴力の事実が明らかになることによって離婚がスムーズに進むことがあります。
暴力を受けている場合の対応については、以下の記事で詳しく解説していますので心当たりのある方は参考にしてください。

さて、一般的には離婚調停の前に別居しておいたほうがよいです。なぜならばあなたが離婚したくても配偶者が離婚を拒否するような場合、離婚調停委員が注目するのは「夫婦関係がすでに破綻しているか?」という点であり、同居している場合には「修復の余地があるのではないか?」と疑われてしまうからです。
配偶者が不貞行為に及んでいたり、DV加害者である場合には別居していないかつ配偶者が離婚を拒否しても、裁判所は離婚を認めてくれる可能性が高いでしょうが、配偶者に明確な落ち度がない場合には、夫婦関係の破綻を証明する客観的な証拠が「別居」しかないという場合もありうることは覚えておきましょう。
「性格の不一致」のような配偶者に一方的に落ち度があると言い切れないような理由の場合は、戦略的に一定期間別居をすることによって「夫婦関係の破綻」を既成事実にする場合もあるようです。
とはいえ肝心かなめの「一定の別居期間」についての明確な定義はありません。概ね別居期間が3年を超えると夫婦関係が破綻していると調停委員が認定しやすくなるようですが、「別居期間が3年超えていると離婚できる」というわけではなく、夫婦の事情を踏まえて総合的に判断されるというのが実情のようです。
なお「別居期間」と「夫婦関係の破綻」の関係についてもう少し詳しく知りたい場合には、以下の記事を参考にしてください。

調停前に別居するメリット
調停前に別居するメリットはすでに説明したとおり「別居期間が長ければ夫婦関係の破綻が認められやすくなる」というものでしたが、他にもメリットがあります。
本気度が伝わる
「離婚したい」と相手に伝えても、その本気度まで伝わる保証はありません。特に「離婚したほうがいいのか?」と悩みながらも普段通りの生活を続けているような場合においては、ある日突然「離婚したい」とあなたが配偶者に主張しても本気であると信じてもらえない可能性が高いです。
しかし別居をして調停を申し立てることで、相手としては「離婚に応じなければいけないのかな。」という心境にもなりやすいのです。
離婚後の生活を疑似体験できる
いざ離婚してみると「こんなはずじゃなかった」と思うこともあるでしょうし、実際に「離婚したのは間違いだった」と後悔するような人もいます。
ですから別居をすることで離婚後の生活を実体験することは、自分自身の気持ちを確かめるという意味において有意義な体験になるはずです。
相手の気持ちを確かめることができる
別居をすることで自分の気持ちを確かめることができるのはあなただけではなく、配偶者も同様です。
別居をすれば配偶者も「離婚後の生活」を体験するわけですから、配偶者の心境にも変化が現れるかもしれません。
あなたがいなくなってあなたの存在の大切さに気づいて反省するかもしれませんし、そうならないかもしれません。
いずれにせよ同居しているときよりも配偶者を客観視できるので、お互いに今まで見えていなかったことに気づくことが期待できます。
調停前に別居するデメリット
調停前に別居するメリットは大きいですが、もちろんデメリットもあります。
別居をすると、実家でなければ新しく住居費等の負担がかかることになりますし、子どもがいる場合には環境の変化によって子供を不安にさせてしまうこともあるでしょう。
あなたが子どもを連れて別居をする場合には、配偶者が自主的に生活費を送金してくれればいいですが、そうでない場合には婚姻費用分担調停を申し立てて、生活費の送金を求める必要があります。
逆にあなたが子どもを置いて別居する場合には、生活費を送金する必要があるため、金銭的な負担を覚悟しなければいけません。(生活費を負担せずに別居し続けると離婚調停で不利になる可能性があるので要注意!!)