離婚調停と離婚裁判の違いを一言でいえば、離婚調停は『話し合い』であり離婚裁判は「戦い」なのですが、もう少し具体的に解説したいと思います。
判断
離婚調停は調停委員を介した話し合いであるのに対して、裁判では当事者の主張と証拠に基づいて、裁判官が法的な判断を下します。
離婚調停の場合、どちらか一方が「離婚したい」と主張する一方でどちらか一方が「離婚したくない」と主張すれば、離婚は成立しません。
その一方で離婚裁判の場合は、原告が「離婚したい」と主張し、被告が「離婚したくない」と争っている時に、証拠によって離婚原因が裏付けられると裁判官が判断すれば、離婚判決によって離婚が決まります。
弁護士
離婚調停は話し合いの場ですので、弁護士は必要不可欠な存在ではありません。もちろん弁護士に同席を依頼することもできますが、弁護士が参加するからといって話し合いがスムーズに進む保証もありません。
その一方で裁判は勝ち負けを決める場であり、勝ち負けは裁判所への主張や提出した証拠に決まります。民主主義の基本は手続(プロセス)主義であり、当然、裁判の手続きも厳格に決まっていますので、弁護士への依頼が「絶対」ではないものの、現実的に素人が裁判を乗り切るのはほぼ不可能です。
むしろ裁判を戦うのに弁護士がいない状況は裁判官からすれば異常であり、もし弁護士を雇わずに裁判に挑めば「この人の弁護を担当する弁護士がいないほどの事情があるのかもしれない」と裁判官から邪推される可能性も否定できないでしょう。
公開
離婚調停は非公開の調停室で行われますが、離婚裁判は公開の法廷で審理が行われます。イメージを大事にする芸能人が離婚裁判を避けるのはそのためです。
あなたは芸能人ではないでしょうが、芸能人でなくとも離婚といった微妙な問題は、できれば他人の目には触れさせたくないところでしょう。
離婚協議や離婚調停であれば秘密裏に話し合いを進めることができますが、裁判の場合には他人の目に触れることになりますので、それなりの覚悟が必要になります。
出席
離婚調停は話し合いの場なので、どちらか一方が出席しない場合は調停は不成立になります。
その一方で離婚裁判では、仮に被告(訴えられた側)が出席しない場合であっても、原告(訴えた側)の提出した証拠によって審理が行われて判決が下ります。
裁判官の姿勢
離婚調停の場合、当事者(申立人・相手方)の矢面に立って調整するのは調停委員であり、裁判官はあくまでも調停委員の背後にいる存在です。
その一方で離婚裁判では、裁判官が全面的に矢面に立ち、訴訟の進行を取り仕切り、判決前に原告と被告に和解を促し、和解がまとまらなければ判決を下します。
裁判所
離婚調停も離婚裁判も家庭裁判所で行われる点では一緒ですが、離婚調停「相手方の住所地か、当事者が同意した住所地を管轄する家庭裁判所」と決まっています。つまり原則は「相手方の住所地」なわけです。
その一方で離婚裁判の場合には、「原告または被告の住所地」と規定されています。
情報伝達
離婚調停は話し合いの場なので、情報のやり取りは「口頭」が中心になります。
その一方で離婚裁判は、書面でのやり取りが主になるため、原告・被告が裁判官に対して、口頭で情報を伝えることはありません。
つまり離婚調停では口頭でのプレゼン能力が求められますし、離婚裁判では書類の作成能力が求められるというわけです。
費用
離婚調停の費用は印紙代1,200円ですが、離婚裁判の費用は最低でも1万3,000円であり、弁護士費用も含めるとさらに高額になります。