婚姻費用を算出する時も、養育費を計算する時も「年収」を調査する必要があります。
よくある誤解は、年収を「月収の12倍」だと勘違いすることです。年収を「月収の12倍」だと勘違いすると、婚姻費用も養育費も相場よりも低い金額が算定されてしまいますので注意する必要があります。
そこで本記事では離婚準備をする上で必ず知っておくべき「年収」についての知識をわかりやすく解説します。
年収を正確に把握しよう!(1)
サラリーマン、自営業、専業主婦ごとに年収の概念は異なりますので、わかりやすく説明します。
サラリーマンの年収(1-1)
「年収」の値を入力する際に、月給手取り×12の金額を概算で入力するのは正しくありません。
年収には、税金を引かれる前の金額を入力しましょう。手元に源泉徴収票があれば「支払い金額」が年収に相当します。(以下画像の赤枠部分)
なお源泉徴収票が手に入らない方は、こちらの計算機を利用してください。手取り額からおおよその月額給与を算出することができます。
自営業者の年収(1-2)
自営業者の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」が年収に相当しますが、「課税される所得金額」を婚姻費用算定表で用いるのは誤りです。
婚姻費用や養育費を計算する上での自営業者の年収は以下の記事で解説していますので、興味がある方は参考にしてください。
専業主婦の年収(1-3)
働いてなければ年収をゼロとするのが一般的ですが、特別な事情がある場合を除いて、婚姻費用においては年収をゼロとして計算することはしません。
例えば「乳飲み子がいて外で働けない」という場合などが特別な事情に該当しますが、働けるのに働かない人の年収をゼロと仮定するのは筋が通らないからです。
仮置きする年収は厚生労働省の賃金センサスなどを参考にします。賃金センサスについては厚生労働省の公式ページをご参照ください。
年収の調べ方(2)
あなたが家計を管理していなかったり、夫婦共働きで給与の管理を別々にしている場合は、配偶者の年収がわからないという場合もあるでしょう。
給与明細が電子化されていたり、銀行口座への振込額を把握することもできない場合は、市区町村役場で所得証明書を発行してもらうことを検討しましょう!
なお所得証明書を本人以外が請求する時の運用方法は、以下に箇条書きの通り、市区町村によって運用にばらつきがありますので事前に確認することをおススメします。
- 本人以外はすべて委任状が必要
- 同居の家族なら委任状は不要。
ただし、運転免許証などの身分証明書の提示を求められる。 - 同居の家族なら特に制約無く取れる。