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1%のひらめき

東京の六本木交差点付近を歩いていたら、向かい側から歩いてきた初老の男性がわたしの前で突然立ち止まりました。そしてもの凄いスピードで何かを拾いました。初老の男性は道路に落ちていた吸いかけのタバコをひろって素早くポケットの中に入れたのです。

「コロナ禍まっただ中なのに、見ず知らずの他人の吸ったタバコを吸うなんて・・・」とわたしはショックを受けましたが、下を向いて生きることに慣れてしまうとなかなか上を見ることができなくなってしまうのです。

下を向いて生きるとはどういうことだったでしょうか?下を向いて生きるとは、「方法を考える」⇒「実現可能性を考える」⇒「やるかやらないか決断する」という『常識的な発想』を頼りに生きてくことです。

上を向いて生きていくとはどういうことだったでしょうか?上を向いて歩くとは、「心の底から実現したいことを実現している自分に臨場感をもつ」⇒「実現する方法を発見する」⇒「理想の実現に一歩ずつ近づいていく」という、『非常識的な発想』を頼りに生きていくことです。

前回のレポートでは、「心の底から実現したいことを実現している自分に臨場感をもつ」ということを、サッカー選手やアイドル、料理人を例にして説明しました。

自分が本当に実現したいことはどのようなことなのか?ということを考えることは、「どこを見るか?(上を見るか?下を見るか?)」に関わる行為であり、すなわち「パーソンシステム」(≒目)に関わるお話です。

しかしどれだけ「パーソンシステム」(≒目)が正しい方向に向いていたとしても、メガネ(社会システム)のピントが狂っていたら理想を実現することはできません。(当たり前)

ジョン万次郎が太平洋ではなく大西洋から船を出航させていたら????クリスチャーノ・ロナウドが毎日コーラをがぶ飲みしてトレーニングをさぼっていたら???おそらくジョン万次郎もクリスチャーノロナウドも理想を実現することはできなかったでしょう。

そこで今回のレポートでは、社会システム(≒メガネ)に関する部分、具体的には「実現する方法を発見する」⇒「理想の実現に一歩ずつ近づいていく」ということについて、わかりやすく解説したいと思います。

念仏主義

「心の底から実現したいことを実現している自分に臨場感をもつ」ことが、あなたが現状から抜け出す第一の関門になるわけですが、第二の関門は「実現する方法を発見する」という点にあります。

そして「実現する方法を発見する」上で重要なポイントは「自然法則や社会法則に逆らわない」です。当たり前の話に聞こえるでしょうが、意外に多くの人がそのことを理解せずに、エイヤとばかりに独りよがりに目標を決めてしまうのです。

歴史を振り返れば、頭のいいはずの人でも独りよがりに目標を設定し、そして無残にも失敗していることがわかります。

例えば戦時中の日本の増産目標。あまりに目標を勝手に決めるものだから、工員やら勤労動員された学生がどれだけ努力したって、どうにも目標が達成できませんでした。

故・森嶋通夫教授(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 名誉教授)は、当時を振り返って「なんだか自然法則にさからって動いているみたいだった」と語っています。

戦後の中国もそうでした。毛沢東国家主席は「経済大躍進」(1958~)のとき、当時の経済超大国だったイギリスを上回る工場生産を5年で達成するという目標を掲げました。

イギリスが100年かかってやったことを中国は5年で達成するというのですからとんでもない目標です。では結果はどうなったでしょうか?

ズバリ、大失敗。農民は1日8時間の労働ノルマを完遂したあと自発的に何時間も働いて頑張ったのに、大躍進するどころか破滅にむかって直進していったのでした。

笑うなかれ。コロナ禍にあえぐ日本でも「オリンピック開催前の2021年7月末までに、高齢者へのワクチン接種を終わらせる」という目標を立てたものの大失敗。

まずワクチンが足りない。予約システムに不備がある。ワクチンが届いても接種体制が整わない。大規模接種会場を準備するもワクチンを接種する人がなかなか集まらない・・・・などの問題に、次々に直面したのでした。

「願えば叶う」と信じる態度のことを『念仏主義』といいます。そして現代日本でも念仏主義や根性論がまかりとおっています。

確かに何もせずにいるよりも、何かに頑張っているほうが充実感も味わうことができるでしょうが、残念ながらその努力が報われる保証は一切ないのです。

99%の努力

「99%の努力と1%のひらめき」というのは、発明家エジソンの有名な言葉です。どういう意味でしょうか?ほとんどの人は「努力すれば道が開ける」というように理解しているはずです。

しかしエジソンの真意はまったく別のところにあるのです。エジソンが本当に伝えたかったことは「1%のひらめきがなければ、99%の努力はムダになる」ということなのです。ではどうすれば「ひらめき」を得ることができるのでしょうか?

「ひらめき」や「アイディア」に関する本はたくさん出版されており、あらゆる種類のアドバイスがありますが、わたしからのアドバイスは「ズルくなれ」です。「ズルくなれ」とは「卑怯になれ」という意味ではありません。「ズルくなれ」とは「システムの動きを熟知せよ」という意味です。

第2回目のレポートのことを思い出してください。『世界体験』(≒あなたが見ている世界)をつくる要素は「社会システム」と「パーソンシステム」の2つあることを説明し、社会システムは「メガネ」、パーソンシステムは「目」、に例えました。

そう。「目」を矯正したあとは、「メガネ」をメンテナンスする必要があるのです。メガネが曇(くも)っていては、あなたが行きたいところまで行く前に、穴に落ちて自滅したり、誰かに騙されたりするかもしれないのです。

例えば仮に「お金に苦労したくない」のであれば資本主義というシステムについて理解しなければいけませんし、仮に「愛を感じたい」のであれば、「愛の歴史」や「感情の働き」などについて理解しなければいけないのです。

くれぐれも自然法則や社会法則に逆らわないように。実現できもしないことを目標にしないように。頑張りさえすれば結果がでると勘違いしないように。

あとはやるだけ

「心の底から実現したいことを実現している自分に臨場感をもつ」⇒「実現する方法を発見する」⇒「理想の実現に一歩ずつ近づいていく」という『非常識な発想』の流れのなかで、最後の「理想の実現に一歩ずつ近づいていく」についての説明を残すのみになりました。

実現したいことがあって、そのための方法もわかっているなら「あとはやるだけ」です。裏を返せば「あとはやるだけ」という状態にたどりつくことが重要なのです。一つ例を出しておきましょう。

ソフトバンクを知らない人はいないでしょう。1代でソフトバンクを巨大企業にまで成長させた孫正義さんですが、創業してからずっと寝ずに働いてきた・・・というわけではありません。

自ら開発したポケットコンピュータを2億円でシャープに売ってから、ほぼ2年間は「見ること」に徹していたそうです。当然、他の社員は不安になります。まわりからみれば、社長は何もせずに資産を食いつぶしているようにしか見えないからです。

わずか数名しかいない社員に対して、「うちの企業は豆腐屋になる。売り上げの単位を1兆(丁)、2兆(丁)にする」と高らかに宣言していた孫正義社長は、2年もの間、何を見ていたのでしょうか?

それはもちろん、億単位の売り上げから兆単位の売り上げにまで飛躍するためにやるべきことは何か?という難問に答えるために、ジックリと社会を観察していたのです。

2年間は「見ること」に徹していた孫正義さんは、ソフトウェア流通事業への参入を決断します。そしてソフトウェア流通事業への参入をきっかけにして事業を拡大させ、現在のような電気通信、インターネット関連、出版社、プロ野球チームなどを傘下に擁する巨大企業をつくりあげたのです。

本当に幸せな生き方

「兆単位の売り上げをもつ企業をつくる」⇒「ソフトウェア流通事業をきっかけに事業を拡大する」⇒「理想の実現に一歩ずつ近づいていく」という生き方は、まさに「心の底から実現したいことを実現している自分に臨場感をもつ」⇒「実現する方法を発見する」⇒「理想の実現に一歩ずつ近づいていく」という『上を向いて歩く』生き方そのものです。

そして『上を向いて歩く生き方』は、孫正義さんだけの専売特許ではないのです。あなたも『上を向いて歩く生き方』を実践すれば、本当に幸せな生き方ができます。なぜそう断言できるのでしょうか?今からわかりやすい例えで説明します。

例えば通販で商品を購入し、決済手続きを完了し、配送日を指定したら「あとは待つだけ」です。自動販売機にお金を入れてボタンを押したら「あとは飲むだけ」です。

そう。「あとは●●するだけ」という状態は、実現可能性を強く信じている状態です。「努力しても報われないのではないか?」などというような疑いとは無縁の状態です。

もしあなたが「あとは●●するだけ」という状態になれば、すでにさまざまなストレスや不安とは無縁になっているはずです。むしろ遠足の前日に興奮したときのような充実感に包まれているはずです。

例えば、給料が振り込まれるとわかっていれば安心できるでしょう。旅行の直前はウキウキするでしょう。美味しい料理を目の前にしたら笑顔になるでしょう。

そう。「あとはやるだけ」という状態は、すでに幸せな状態なのです。実現したいことを実現する前からすでに幸せな人が「いつも幸せな人」なのです。

今回のレポートを含めると4つのレポートを読んだあなたは「いつも幸せな人」になるための『非常識な発想』について理解しました。「あとはやるだけ」の状態にあなた自身をもっていけるでしょうか?(次回に続く)