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夫婦の義務【同居・協力・扶助・貞操】離婚前に破ったらどうなる?

夫婦の義務

婚姻関係にある夫婦にはどのような義務があるでしょうか?そして、それらの義務を一方的にやぶったらどうなるでしょうか?

一般生活の中で「夫婦の義務」について考える場面は少ないと思いますので、夫婦の義務について整理していきたいと思います。

夫婦の義務について

夫婦の義務・法律関係の主な事柄を箇条書きにします。

夫婦の義務
  1. 夫婦の同氏
  2. 同居義務
  3. 協力・扶助義務
  4. 貞操義務

夫婦の同氏(1)

民法には以下の規定があります。

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
【民法 第750条】

婚姻により夫婦は、同じ氏(名字)にしなければいけません。婚姻届には、そもそも夫婦別姓を選択する項目がありません。そのため結婚時に名字を変えた側の人(主に妻)は、離婚届を提出するタイミングで2択を迫られます。

迫られる2択
  1. 婚姻時と同じ姓を名乗る
  2. 旧姓に戻す

上記の2択を迫られるのは、日本では多くの場合女性です。子供がいない場合には旧姓に戻ることが多いようです。

一方で子供がいる場合には、婚姻時と同じ姓を名乗ることも選ぶこと可能です。(婚姻時と同じ姓の戸籍を新しくつくり、その戸籍に自分と子どもが入る。)

以上のように、離婚後に旧姓と婚姻時の姓のどちらを名乗るかは自由に選べるのですが、離婚時に婚姻時の姓を選んだ場合には、注意すべき点もあります。注意すべき点それは・・・・「再婚後に再び離婚した場合には旧姓を選択できない」です。

再婚後にまた離婚する可能性については考えたくもないでしょうが、再婚後にまた離婚した場合には「初婚時の姓」もしくは「再婚時の姓」の2択のから姓を選択することになりますので心の隅に置いておきましょう。

同居義務(2)

民法には、以下の規定があります。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

【出典:民法 第752条】

同居を望む側からすれば、「同居義務を違反することは許さない!」と思うでしょうし、その一方で別居を予定している人は「同居義務に違反すると訴えられないか?」と疑問に思うかもしれません。

結論からいうと、同居義務違反により訴えられた結果、同居を求める審判(裁判をせずに家庭裁判所で判決が下ること)が下されても大した意味はありません。

なぜならば同居を求める判決により、罰金を課されたり、強制的に家に連れ戻されることがないからです。別居したら訴えられて罰金を支払ったり、国家権力で連れ戻されたという話を聞いたことはないですよね?

「同居義務違反を犯しても大したペナルティーがないなんて、なんのための義務なんだ!」と怒りを感じる方もいるでしょうが、憲法上の理由により同居を強制することはできません。

協力・扶助義務(3)

民法には、以下の規定があります。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

【出典:民法 第752条】

つまり別居中であっても夫婦である以上は扶助しなければいけないのです。ちなみに、別居中に支払われる生活費を「婚姻費用」(こんいんひよう)といいます。

貞操義務(4)

夫婦はお互いに貞操(ていそう)義務を負います。つまり婚姻した以上は、夫婦以外の異性と肉体関係をもってはいけないとされています。

実は貞操義務は民法で明記されているわけではないのですが、以下の理由から貞操義務は法律上の義務と解釈されています。

  • 配偶者の不貞行為を離婚原因としていること(民法770条1項1号)
  • 重婚を禁止していること(民法732条、刑法184条)
不貞行為とは?

本人が望んで異性と肉体関係をもてば不貞行為になります。裏を返せば、以下のようなケースは不貞行為の対象外です。

  • 本人が拒否しているのに乱暴された
  • 異性ではない人物との肉体関係
  • 接吻や手をつなぐといった行為 etc

最後に

離婚準備を進める人も、離婚したくない人も、今回紹介した夫婦の義務は全て完璧に把握しておきましょう。