離婚後の生活が成立するか判断する上で、必ずチェックするべきポイントについて解説します。
離婚直後の生活は成立するか?
離婚後の生活が成り立つか判断する上で、重要な問いが2つあります。
- 離婚時の資産はプラスか?
- 毎月の収支はプラスか?
質問#1) 離婚時の資産はプラスか?
離婚する時に無借金で生活をスタートさせることができるか?それとも借金を抱えるのか?という点は、離婚後の家計を占う上で重要なポイントになります。
日本では企業がお金を借りてくれない状態が長く続いていますから、銀行は個人にお金を借りてほしいと願っています。そのため金融機関はどこもカードローンに力を入れており、「無担保」で数百万円のお金を貸してくれるところも珍しくありません。
しかし借金というものは、ボディーブローのように離婚後の家計にダメージを与えます。ですから(当たり前のことですが)借金を抱えた状態のまま離婚後の生活をスタートさせるべきではありません。
そこでまずは「現時点で離婚したらどれだけの資産を確保できるか?」という点を考えることにしましょう。離婚時の資産に影響を与える主なものは、「財産分与」、「慰謝料」、「婚姻費用」の3つです。
- 財産分与 ⇒ ??
- 慰謝料 ⇒ ??
- 婚姻費用 ⇒??
それぞれについて精緻に見積もることは、現時点での目的ではありませんので、まずはざっくりとそれぞれの金額について見積もってみましょう。
財産分与については、「自宅を売却して住宅ローンを完済した後に残る金額を、さらに半分にした金額」(金額がマイナスの場合は考慮しない)と「銀行預金を折半した金額」を合算しましょう。
また慰謝料については「不貞行為」や「DV」などの事情があり、なおかつそれらの証拠が確保できている場合には「200万円~400万円」の金額を想定しましょう。もちろん配偶者に非がある場合には「200万円~400万円」のプラス、逆にあなたに非がある場合には「200万円~400万円」と考えます。
さらに婚姻費用は、夫婦の別居中に収入が多い側から少ない側に支払われる費用なのですが、年収が夫500万円・妻100万の場合で月額8万円~10万円の支払い義務が発生します。
以上、離婚時の資産で当てにできる費用について紹介しましたが、まとめると以下のようになります。
- 自宅を売却して住宅ローンを完済した後に残る金額を、さらに半分にした金額
- 銀行預金を折半した金額
- 慰謝料の200万円~400万円
- 別居中の婚姻費用月額8万円~10万円の合計
しかし上記はあくまでも離婚時の資産として期待できる金額の最大値であって、「確実に期待できる」というわけではありません。
自宅を売却しないかもしれないし、自宅を売却するにしても離婚のタイミングで売却が成立しないかもしれません。銀行預金だって配偶者が管理していれば、離婚を切り出した瞬間に通帳を隠される可能性だってあります。
慰謝料にしても配偶者が現時点で浮気やDVを認めていても、離婚交渉のタイミングになって「そんなことはしていない。証拠があるなら出してくれ!」と強気に出てくるかもしれません。婚姻費用だって別居中に全額消化してしまう可能性が高いでしょう。
あなたの状況はあなたにしかわかりませんので、あなたが「これは確保できそう」という金額をまずは想定することをおススメします。あなたの離婚後の生活を守る軍資金はどれくらいの金額になりそうですか?
質問#2) 毎月の収支はプラスか?
毎月の収支がプラスであれば、なんとか生活することは可能です。まずは支出にについて考えてみましょう。
上図は単身世帯の1ヶ月当たりの支出額です。【全国消費実態調査】女性の場合は、年間約200万円の消費支出という結果が出ています。
しかし200万円はあくまで平均的な支出額です。あなたにぴったり当てはまるとは限りません。必要に応じて、200万円という結果に費用を上乗せしたり、差し引いたりしてください。
さて毎月の支出を見積もることができたら、「その金額以上を毎月稼ぐ」という最低限の目標を達成できるか検討してみましょう。
最後に
離婚直後に自由にできるお金と、毎月の生活費を見積もったところで多くの人が気にするのは「どれくらいの余裕をもっておけばいいですか?」ということです。
誰にでも当てはまる答えは「あなたが許容できるリスク量に依存します」なのですが、勝間和代さん(著述家、評論家)はこれから社会に出ていく人に向けて「まずは無職になっても6カ月間生きていけるだけの貯金をしましょう。」と過去にアドバイスしていましたので、一つの目安にしてはいかがでしょうか。
例えば毎月20万円の生活費が必要なのであれば20万円×6か月=120万円は確保しておく必要があるでしょう。もちろん引っ越し費用などが必要なのであれば、その金額は別に見積もる必要があることは忘れずに。
参考情報
さて、本記事でこれまで解説してきたことはあくまでも「離婚した直後に、目先の生活に困らないため」に最低限考えることです。
「もう少し詳しく離婚後の生活費を見積もりたい」という人もいるでしょうから、ここから先は参考になりそうな情報を提供したいと思います。
財産分与の目安
上図は1年間に財産分与で争われた裁判件数を整理したものです。縦軸が「婚姻期間」、横軸が「財産分与額」です。
婚姻関係が長いほど、財産分与の金額が大きくなる傾向が読み取れます。婚姻期間が5年以上になれば、財産分与額が1,000万円以上になるのも珍しくありません。
マイホームの売却価格
財産分与の金額に大きな影響を与える「マイホームの売却価格」について興味がある方は、以下の記事を参考にしてください。無料で調べる方法を紹介しています。

子どもの学費
幼稚園から大学を卒業するまでの学費の目安が知りたい方は、以下の表をチェックしてください。
婚姻費用・養育費
婚姻費用と養育費についての最新情報は、以下の記事を参考にしてください。

就労支援
母子・父子家庭への就労支援策について興味がある方は、以下の記事を参考にしてください。

公的福祉制度
ひとり親家庭への手当・助成金については、以下の記事に詳しくまとめていますので、興味があれば以下の記事を参考にしてください。
