離婚に関するあらゆる決定事項は、一度決定してしまうと覆すのが難しくなります!
そこで本記事では、離婚問題を弁護士に相談すべき状況についてまとめたいと思います。
協議離婚のタイミング
協議離婚のタイミングで弁護士に相談・依頼すべき事例を紹介します。
#1) 冷静な話し合いが難しい場合
離婚問題は、過去の事例からある程度の「相場」というものが決まっています。ですから夫婦がお互いに冷静に話しあうことができれば、落ち着くところに落ち着くのが一般的です。
しかしどちらか一方が感情的になっていると、無茶な条件を吹っ掛けてきたり相手を傷つける暴言を吐いたりすることは珍しくありません。
ですから感情的な対立により交渉が難航するようであれば、弁護士に相談することを検討するべきでしょう。
#2) 配偶者と顔を合わせたくない場合
配偶者からのDV・モラハラ被害を受けている場合には、配偶者と直接退治して交渉をまとめることは難しいでしょう。
「配偶者に会いたくない」場合には、不利な条件で押し切られる前に弁護士の活用を検討すべきです。
#3) 配偶者が話し合いに応じない場合
配偶者が話し合いに全く応じない場合には、弁護士から配偶者に連絡してもらうことをおススメします。
ある日突然弁護士先生からの内容証明が自宅に届くことで、驚いた相手方が話し合いに応じることが期待できます。
#4) 交渉によるストレスが大きい場合
離婚交渉によるストレスに耐えきれない場合には、無理せず弁護士に相談するのも一つの手です。
特に強いストレスにより、日常生活や仕事に支障をきたす場合には、弁護士に交渉を一任することをおススメします。
#5) 配偶者が弁護士を依頼した場合
配偶者が弁護士を依頼した場合には、こちらも弁護士を依頼することを検討しましょう。
特に相手から提示された内容に納得できない場合や疑問が残る場合には、弁護士への相談は必須でしょう。
配偶者が雇った弁護士は、雇い主である配偶者の味方であり、あなたの味方ではないことは肝に銘じるべきです。
#6) 離婚条件が妥当なものか知りたい
「仮に裁判で争ったとしてもこれくらいで落ち着くよね」というような判断を無視した決着もありえるのが協議離婚の怖いところです。
極端な話ですが、浮気をしてしまった男性が妻に慰謝料として1億円近く支払ったケースもあるそうです。
本当にこれでいいのかな?と少しでも疑問に思うのであれば、弁護士先生に相談すべきだと思います。
#7) 離婚後のトラブルを避けたい場合
事後的なトラブルを避けたい場合には、弁護士先生に相談すべきです。
離婚後に後悔してしまう代表的なケースは、離婚条件を正式な書面に残さなかったことによるトラブルです。
もちろん約束が守られない場合には、家庭裁判所に訴えを起こすことができますが、それなりの労力が必要なことは間違いありませんし、それらの訴えが認められる保証もありません。
残念ながら離婚後に約束が破ることはよくあることです。約束が守られなかった時のリスクに備えましょう。
#8) 別居中に子供が連れ去られた場合
別居中に子供が連れ去られてしまい、相手が引渡の要求に応じない場合には、弁護士に相談することを検討して下さい。
通常離婚前に子供が連れ去られた場合には、家庭裁判所に審判を申立てることになります。
審判申立ての手続きは、必ずしも弁護士を雇うわなくても対応することができますが、審判を申立てる際に法律の素人にとって、大きなハードルになるのが書類の作成です。(別居中に子供が連れ去られた場合には、「監護者指定・子の引渡し審判申立書」を作成して家庭裁判所に提出する必要があります。)
子供をいち早く取り戻したいという状況の中で、一から勉強する暇などはないはずですしその余裕もないでしょうから、弁護士に助けを求めることをお勧めします。
離婚調停のタイミング
協議離婚のタイミングで弁護士を依頼すべき事例について紹介します。
#9) 調停に出席できない場合
離婚調停は、平日の午前~夕方までの時間帯に開催されます。土日・祭日に開催されることはありませんが、離婚調停は1ヶ月半に一度くらいのペースで、平均3回程度の出席が求められます。
離婚調停に出席することが難しい場合には、弁護士に代理出席を依頼しましょう。
年収におけるボーナスの割合が多い場合は、月々の養育費支払額には注意する必要があります。
なぜならば養育費の算定表は、ボーナスの概念を考慮したものになっていないからです。
「月々の手取り給料では、毎月定額の養育費を支払うのが難しい」ということにならないように、主張するべきことはきちんと調停において主張する必要があります。
住宅ローンの支払いについて、キチンと考慮されないままに養育費の算定が行われる可能性があります。
その結果、自分の生活を成り立たせるのが難しくなるほどに、追いつめられてしまうケースがあるのです。
その原因は養育費の算定表が、支出を考慮せずに収入のみから算定する仕組みになっているからです。
#10) 陳述書を作成できない場合
離婚調停が始まる前のタイミングで弁護士に仕事を依頼する場合、陳述書を作成してくれるか確認してみましょう。
陳述書は離婚調停の必須書類というわけではないのですが、調停委員にあなたの主張を詳しく伝える上では必要になる書類です。
#11) 自分の主張が認められない場合
離婚調停で自分の主張が認められないと感じた場合には、弁護士に相談しましょう。実は・・・調停員は裁判官ではありませんし、必ずしも法律の専門家ではありません。
あくまで話し合いを通じて妥協点を探るのが調停員の仕事ですが、調停員も人間ですからどちらかに肩入れした主張をしていると感じる可能性も無きにしも非ずでしょう。
ですからもし調停のなかであなたの主張が蔑ろにされていると感じることがあれば、離婚調停の1回目が終わったタイミングで弁護士に相談することを強くススメます。
弁護士に調停に出席してもらうだけで「本当に同じ調停員が話を聞いているのか?」と驚くほど調停員の態度が変わることもあるそうです。
#12) 調停中に子供が連れ去られた場合
離婚調停中に子供が連れ去られ、尚且つ調停委員の指導にも従わない場合には「人権保護請求申立て」が可能です。
人権保護請求申立ては、本来は夫婦間の子供の受け渡しをする制度ではありません。例えば子供が虐待を受けているような緊急性が高い場合において、子供の保護を目指す制度ですが犯罪に準じる行為の場合は、利用することも可能です。
但しこの手続きをする場合は、原則として弁護士が代理人となることが法律で決められています。ですからもしも人権保護請求申し立てを行う場合には、弁護士に相談してみましょう。
裁判のタイミング
裁判に突入する場合には、弁護士への依頼は必須だと思います。
#13) 裁判になった場合
「弁護士を雇ってもどうせ負けるのは明らか。だから、弁護士を依頼しない」というスタンスの方もいるようですが、そのような考え方はお勧めできません。
なぜならば過去に自分と似たような裁判事例を見つけた場合であっても、その結果は弁護士が戦った末の結果だからです。
もし弁護士を立てずに裁判に望めば「弁護士から依頼を断られるほどの状況にあるのではないか?」と裁判官から疑われた結果、心証はさらに悪くなることも覚悟しなければいけません。
離婚後のタイミング
離婚後にも弁護士の助けが必要になる可能性があります。
#14) 養育費等の未払い分を請求する場合
養育費や婚姻費用が約束どおりに支払われないことが原因で強制執行を申し出る場合には、執行力のある債務名義(支払いを約束させた書類)があることが前提です。その上で、債務名義等の書類をまとめて地方裁判所宛に提出する必要があります。
しかし手続きは申立書1通を提出すれば事足りるというものではありません。手続きを上手くまとめる自信がなければ、弁護士に依頼するのが賢明です。
#15) ストーカー被害を受けた場合
元配偶者からストーカー被害を受けた場合には、警察、ストーカー対策の専門家、証拠収集する興信所、弁護士など助けが必要だと思ったものは全て利用しましょう。