前回のレポートでは、「消費者マインド」を乗り越える秘訣が『時間』という概念の導入にあることを明らかにしました。
消費者は短期的な視点で物事をとらえます。例えば「自動販売機にお金を入れてジュースを手に入れる」とか、「UBER EATSで料理を注文したら30分で料理が届く」と期待することは当然のことであり、その期待が裏切られると不安になったり怒ったりすることも珍しくありません。
もちろん「消費者マインド」を全面的に否定しているわけではありません。お金で手に入るものなら、さっさとお金を支払って手に入れればいいと思います。しかしお金を支払っても手に入らないものが存在することは忘れてはいけません。
例えば「教養」がそうです。大学に安くない入学金と授業料を支払っているのに、授業に参加せずに他人のノートをコピーするなどしてコスパよく単位をゲットして、その末に有名大学を卒業したところで、無教養な人間が賢くなれるわけではありません。それなりの時間をかけないと手に入らないものは確かに存在するのです。
しかし一般的に「インプットとアプトプットのタイムラグ(時間の差)」が長くなるほど、「本当に努力は報われるのだろうか?」という気持ちが強くなり、それを手に入れる途中で挫折する可能性は高まります。
あなたは「実現したい」ことを「現実に実現する」ために、最長でどれくらいの期間頑張ったことがあるでしょうか?
例えば音楽プロデューサーの秋元康さんは、AKBというアイドルグループを秋葉原で発足させてからブレークさせるまでに3年間も我慢する必要がありました。もし秋本康が1年目か2年目に「こりゃダメだ」と諦めていたら、AKBグループの躍進はなかったでしょう。
あなたも現状を変えたいなら頑張る必要があります。あなたが「離婚する」場合、未来のあなたが「離婚してよかった」と思うためにやるべきことがあるはずです。逆にあなたが「離婚しない」場合でも、未来のあなたが「離婚しなくてよかった」と思うためにやるべきことがあるでしょう。
しかし「頑張ったけどダメだった」とすぐに諦めるようでは、実現できることも実現できなくなってしまいます。そこで本レポートは「挫折しやすい自分の乗り越えるコツ」について明らかにしたいと思います。
そもそもなぜ?多くの人がすぐに挫折するのでしょうか?ズバリその最大の理由は「本当に実現したいことではなかったから」です。
わかりやすいのでお金の話をします。わたしは過去にブログに挑戦して月に60万PVを達成したり、アフィリエイトで月に50万円稼いだり、会員制のオンラインコーチングプログラムで月に30万円稼いだりした実績があり、同様の志をもっていた人たちと交流したことがあるのでその経験からお話したいと思います。
例えば副業に挑戦する人のなかには「月に●●万円を稼ぎたい」という願望をもっている場合が珍しくありません。(注:●●万円のなかには、5万円、10万円、100万円などの金額が入ります。)
しかし興味深いことに、わたしが「100万円稼ぎたい!!」と鼻息を荒くしている人に「なぜ?100万円ほしいのですか?」と質問しても、ほとんどの人がその理由を即答することができません。
そう。ほとんどの人が「100万円ほしい」という願望を口にしながら、100万円というお金の使い道を理解しておらず、「お金を稼いだら考えます。」などと回答するのです。
そしてさらに興味深いことに、そのように回答する人のほとんどが、気づいたときにはブログ・アフィリエイト・コーチングなどの挑戦をやめてしまっているのです。
「副業」に関わらず、「受験」、「就職」、「ダイエット」、「結婚」、「離婚」など、あらゆることに共通していることなのですが、ここでのポイントは「本当に実現したいことでもないことを、なぜ?多くの人は自分が本当に実現したいことだと思い込んでいるのか?」という点にあります。
その答えは単純です。ズバリ・・・・「あるどこかのタイミングで、他人にそう思わされたから」です。
わかりやすい事例はいたるところに転がっています。「魅力的な提案があるのですが・・・」というような話がわかりやすいでしょう。事実、「お金を預ける(投資する)だけでお金の不安が消える」というような話はたくさんあるし、騙される人もウジャウジャいます。
もちろんそのような提案をする側も、魅力的な提案をする相手にとってそれが必ずしも実現したいことではないことは理解しています。ですから提案する相手の心を動かすために必ずといっていいほど、「手軽さ」や「リスクの低さ」や「新時代の手法」などというエサをチラつかせるのです。
こういう話をすると、ほとんどの人が「他人はそうかもしれないけど、自分はそうではない」と思いたくなります。しかしここからが重要なポイントなのですが、「魅力的な提案があるのですが・・・」というような話から逃れることは、ほとんどの場合、不可能に近いのです。
そして恐ろしいことに、ほとんどの人がすでに「魅力的な提案があるのですが・・・」という話法にすでにどっぷりと心をつかまれてしまっているのです。信じられないかもしれないので、具体的な事例を紹介したいと思います。
世界中のカップルの憧れのアイテムといえば・・・「ダイヤモンド」ですが、もともとダイヤモンドそれ自体に特別な価値があると信じられていたわけではありませんでした。
特別な価値がなかったダイヤモンドが高値で取引されるようになった理由は、ズバリ「供給のコントロール」にあります。客席の少ないラーメン店に行列ができやすいというのと同じようなカラクリをダイヤモンド業界が仕掛けたのです。
しかし「希少だから」という理由だけでは、限界があります。「ダイヤモンドは希少な宝石なので買いませんか?」と提案したところで、消費者の心を動かすには限界があるでしょう。そもそもダイヤモンドだけが希少なのではなく、希少な宝石といえばサファイヤ、ルビーなどもありますから、「ダイヤモンドでなければダメな理由」がありません。
そこでダイヤモンド業界が仕掛けたのが「広告戦略」でした。ダイヤモンド業界は「ダイヤモンド≒愛の贈り物」という図式を消費者にあの手この手で刷り込みました。具体的にはダイヤモンドの『大きさ』や『輝き』が愛の大きさの証明になるということを消費者に信じ込ませようとしたのです。
広告戦略の有名なキャッチフレーズとして有名なのが「ダイヤモンドは永遠の輝き」です。このキャッチフレーズは、1947年にフランシス・ゲレティ(Frances Grety)という広告代理店の社員によって生み出されたものですが、「どこかで聞いたことがある」という人も多いのではないでしょうか?
ダイヤモンド業界があの手この手で仕掛けた広告戦略によって、いまでは『人気の宝石は結婚指輪・婚約指輪共にダイヤモンド』(引用:ゼクシィ)というのが常識になってしまっています。
お菓子業界が「バレンタインデー≒チョコレート」という図式を刷り込んだように、ダイヤモンド業界も「愛の贈り物≒ダイヤモンド」という図式を刷り込んだのです。
当たり前ではなかったことが、あるタイミングを境にして当たり前になる・・・という事例は他にも山ほどあります。実は・・・・・
「愛≒結婚」という現代人なら信じて疑わないような考え方ですら、あるときまでは一般的ではなかったのです。離婚を検討している人の中には「結婚ってなんだったんですかね?」という疑問をもつ多いので、その歴史的な経緯についても簡単に解説しておきましょう。
愛の歴史をさかのぼってみると驚くべき事実が浮かび上がってきます。実は愛とは・・・・一般庶民のものではなく「貴族」のものであり、本気でするものではなく「戯(たわむ)れ」でするものであり、法律の世界の話ではなく「法外」の世界の話だったのです。そのあたりの歴史を簡単に説明するとしましょう。
永遠を誓うような愛は、12世紀南欧に始まりました。吟遊詩人(ぎんゆうしじん:各地を旅する詩人)が領主の奥方を神になぞらえた「既婚者の愛」が出発点でした。
その後、成就を期待しない「戯(たわむ)れ」が15世紀に宮廷に持ち込まれ、既婚者同士のマジメな宮廷愛が始まりました。とはいえ永遠の愛といったところで、言葉だけでは証明になりません。
そこで恋ゆえの病と死が「真の心」の証とされました。「あなたを愛するがあまり、病にかかり寝込んでしまいました・・・・」という演出がなされ、それを相手が確認することで愛を確認し合っていたのです。
この時点において愛は貴族のものでした。その後、19世紀に印刷技術が発展し、恋愛小説が広く読まれるようになったことで一般庶民にも広く知られるようになります。
そして恋愛小説を読んだ一般庶民は「一生に一度でいいからわたしもあんな恋愛をしていたい」と恋愛に憧れるようになったのです。
しかし恋ゆえの病と死が「真の心」(本気)の証というのではハードルが高すぎます。そこで「結婚」が「真の心」(本気)の証になるという新解釈が生まれたのです。
とはいえわたしたち一般庶民は、愛と結婚がもともとは何の関係もなかったという歴史な事実を、中学・高校・大学のどのタイミングでも学ぶ機会がありません。
そのため「わとは、『権利配分を決める制度』です。「財産を相続するのは嫡出子と正妻であり、非嫡出子と妾はその対象外とする」というわけです。繰り返しになりますが、歴史上どの社会でも結婚と愛は無関係のものだったのです。
日本でもほんの100年前までは「妾を囲うのが男のステータス」という時代がありました。実は、2024年の前半から1万円札紙幣の顔になる渋沢栄一も妾を大量に囲っていたことで有名です。
とはいえ今の日本には「不倫 ≒ 大罪」という風潮があり、不倫が発覚した芸能人はCMを干され、芸能界になかなか復帰できないという状況も珍しくなくなってきています。
このようにほとんどの日本人が「法律違反」≒罪と考えています。ようするに「愛を結婚制度のなかに閉じ込めよう」としているわけですが、このような挑戦は人類史上初の試みであることは覚えておくとよいでしょう。
愛を結婚制度のなかに閉じ込める挑戦の成否は、「離婚」や「不倫」の撲滅にかかっています。あなたはこの人類初の挑戦が、成功すると思いますか?(続く)