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離婚する前にやるべきこと【事実関係整理のフォーマット・注意点】

離婚する前にやるべきこと

客観的に情報を整理することが、離婚準備に向けた第一歩になります。客観的に情報を整理することで、以下のメリットがあります。

事実関係を整理するメリット
  • 自分の頭を整理できる
  • 自分の感情を確認できる
  • 離婚準備が十分か判断できる
  • 専門家に相談前の事前準備ができる

過去を振り返る作業は楽しいとは限りませんが、すべてあなた自身のためです。是非とも時間をとって挑戦してみましょう。

時系列に整理する(1)

まずは事実を時系列に整理するイメージをつかんでください。以下に記載例を示しますのでご確認ください。

事実関係整理のイメージ

時系列に整理 イメージ

上図ではわかりづらい場合は、以下のテキストでご覧ください。(モバイルで閲覧中の方は、右左にスクロールしてご覧ください!)

年月日 事実 証拠 判断・感情
平成●年●月●日 ・出会い
・婚約 ・婚約時の集合写真
・結婚
・結婚式関連の負担費用
・結婚式場の領収書
・記念写真
・同居
・円満な時期
・不動産契約書
・子供が生まれた時期 ・母子手帳
・破綻の端緒について(離婚を決意したきっかけ、事件) ・メール
・配偶者の行動・反応・発言 等
・現在に至る破綻理由(興信所への依頼、別居 等) ・不貞の報告書
・自白の録音テープ
・誓約書

今回はご自身の頭を整理するための資料ですので、思いついた事柄から書き進めていきましょう。ここから先は、実際に情報を整理する際のポイントについて解説していきます。

事実を記載する(2)

まずは事実を列挙するところから始めましょう。何から書けばいいかわからないという方は、以下のリストを参考にしてください。

記載すべき事実
  1. 相手と知り合い結婚に至るまで
  2. 結婚式及びこれに要した費用(結納等も含めてよい)
  3. 子供の出生時期、人数、現在の年齢、学校 等
  4. 世帯収入(夫・妻ともに)と生活関係(住まい等)、資産状況
  5. 円満な時の夫婦の役割
  6. 破綻の端緒(たんちょ)と夫婦のいさかい
    (離婚を決意したキッカケ、事件)
  7. 夫婦関係の決定的破綻から現在(別居等)に至るまでの経緯
    (興信所への依頼、別居、DV関連の処分、警察への相談実績 等)
  8. 夫婦間の協議と現在の生活費
  9. その他

事実を記載する際には、注意点があります。それは「事実を記載する」ということです。これだけでは分かりにくいので、事実の記載として「適切でない例」と「適切な例」を挙げます。

適切でない例
  • 夫が暴力を振る
  • 夫が浮気を繰り返す
  • 夫が暴言を繰り返す
  • 夫が生活費を入れない
  • 義母が嫌味を言うのが耐えられない

事実に「主観」が入り込んでしまっているので、さらに具体的に記載していきましょう。

適切な例

事実を記載する方法として適切だと思われる例を記載していきます。

  • 義母が嫌味を言うのが耐えられない
    ⇒冷蔵庫の賞味期限が切れていると義理の母から言われた
    ⇒体調が悪くなったのは、掃除が下手なあなたに原因があると発言された

  • 夫が暴力を振る
    ⇒右足で腹を1回蹴られる。また、右手で左頬を30秒程度にわたり平手打ちを繰り返される。
  • 夫が浮気を繰り返す
    ⇒同じ職場の同僚(A子)と渋谷のラブホテル(Bホテル)に18時~22時まで過ごす。
  • 夫が暴言を繰り返す
    ⇒「お前は、不細工で結婚したのは間違いだった」
    ⇒「子供がバカなのは、教養のないお前の遺伝子と教育が至らないのが理由だ」
  • 夫が生活費を入れない
    ⇒毎月の手取りが100万円にもかかわらず、生活費として月3万円しかわたさない。
    自分は毎日駅前のパチンコ店やキャバクラで浪費を繰り返す。生後1歳の子供がいる。

具体的な状況を記録に残すことは面倒に感じるかもしれませんが、そうすることによって第三者にも情報が正確に伝わりやすくなります。

証拠を確認する(3)

事実の整理を終えたら、次は証拠があるかを確認していきましょう。

仮に最終的に裁判に突入し、あなたが配偶者に離婚を申したてる場合は「あなたが事実関係を立証する」必要がありますが、証拠がなければ涙ながらに感情的に訴えかけても信用してもらえない可能性が高いです。

また夫婦の話し合いで一旦その事実を相手が認めたとしても、証拠がないと時間が経過した後に「しらんぷりされる」可能性だってありますので、証拠のアリナシを自覚しておくことは極めて重要なポイントになります。

とはいえ、証拠といっても何を準備すればいいのかわからない人も多いと思いますので、離婚の話し合いをする前までに用意しておくべき証拠(例)を紹介します。あなたが用意すべき証拠には、2タイプあります。

2タイプの証拠
  1. 離婚理由・慰謝料に関係する証拠
  2. 財産分与に関係する証拠

離婚理由・慰謝料に関係する証拠には、以下のようなものが挙げられます。

離婚理由・慰謝料に関係する証拠
  1. 探偵社・興信所の報告書
  2. 写真・ビデオ・録音
  3. 診断書
  4. 消費者金融などからの請求書
財産分与に直結する証拠
  1. 預貯金
  2. 不動産登記謄本
  3. 固定資産税評価額証明書
  4. ローン残高
  5. 有価証券
  6. 所得証明書
  7. 退職金
  8. 年金分割のための情報通知書

ここから先は、各証拠について順番に解説していきます。

探偵社・興信所の報告書(3-1)

探偵社・興信所の報告書は、一定のクオリティが確保されているので信用度が高いです。しかし一般的に探偵社・興信所の料金は高額です。

探偵社・興信所に調査を依頼する場合には、短期間のうちに調査が完了するように、なるべく浮気をする可能性の高い日程を絞っておくことをお勧めします。

なお配偶者が浮気の事実を認める場合には「自白」も浮気の立派な証拠になりますが、やり方を間違えると証拠能力としての信ぴょう性を失う可能性があるので注意が必要です。

自白は証拠になるが。。

自白を録音するときは、あくまでも相手に喋らせることを意識してください。高圧的に「あなた浮気したでしょ!!!!」と凄んではいけません。

なぜならばそのように自白を促すと「あの時は、何をされるかわからなかったから浮気を認めただけ」と言い訳されてしまうリスクがあるからです。

「あなたの浮気について教えてください。」とオープンに質問して、配偶者に喋らせることを心がけることをおススメします。

写真・ビデオ・録音・メモ(3-2)

探偵業法に沿って活動する真っ当な探偵社・興信所は、家庭内での撮影や録音を請け負ってくれません。

そのため家庭の中で発生する証拠については、自分で記録する必要があります。家庭内でモラハラやDV被害を受けている場合は、後ほど紹介する医師の「診断書」が有効です。

しかし自分で自分を傷つけたりして証拠を捏造している可能性も疑われないとも限りませんので、防犯カメラを自宅に設置しておくことも有効です。

自宅に防犯カメラを設置すれば、暴力を振るわれる抑止力になります。なお防犯カメラでは、DV加害者に警戒されるのでは?と思うかもしれませんが、意外なことにDVを振るっている当事者は、DVやモラハラの加害者だと認識しているケースは少ないのです。

診断書(3-3)

物理的に暴力を受けている場合には、医師の診断書を早急に取りましょう。なおDV被害を受けている方はこちらの記事を参考にしてください。

消費者金融などからの請求書(3-4)

離婚原因が、配偶者のギャンブルや浪費などの場合は、消費者金融などからの請求書をコピーしておきましょう。

手に入らなければ離婚調停や裁判になってから家庭裁判所を通じて入手することになります。

預貯金(3-5)

預貯金通帳をコピーしておきましょう。

預貯金があなたの管理外の口座にある場合には、なんとしても金融機関名と支店名は突き止めましょう。なぜならば、金融機関名や支店名がわからなければ、預貯金の残高を調べることが難しくなるからです。

不動産登記謄本(3-6)

不動産登記謄本は、法務局で入手することができます。

参考 登記事項証明書等の請求法務局

固定資産税評価額証明書(3-7)

市町村役場で入手できます。東京23区の場合は、都税務署で入手します。

ローン残高(3-8)

財産分与で分割するのは、資産だけではありません。負債も財産分与の対象になりますので把握しておきましょう。

有価証券(3-9)

証券会社からの通知をコピーしておきましょう。

所得証明書(3-10)

市町村役場で入手することができます。給与明細があれば、それもコピーしておきましょう。

退職金(3-11)

結婚期間中の夫と妻の厚生年金の合計は、分割対象になります。弁護士に依頼すれば、弁護士会を通じて、企業から取得できる場合があります。もし入手できなければ、調停や裁判所を通じて取得することになります。

年金分割のための情報通知書(3-12)

年金事務所で取得する必要があります。年金分割は少し複雑なので、以下の記事に詳細をまとめています。

判断・感情を確認する(4)

事実と証拠からどのような判断を下し、どのような感情が湧いたのかをメモしていきます。

この作業が必要な理由は「同じ事実でも異なる解釈がないか確認するため」です。

例えば「冷蔵庫の賞味期限が切れていると義理の母から言われた」という事実についてどのような解釈ができるか考えてみます。

この事実を否定的に捉えれば、あなたのズボラさを強調したり、家事への非協力を非難する「嫌味」だと捉えることもできます。

その一方肯定的に捉えれば、あなたと夫の健康を案じた結果の「親切心」からの発言だとも考えられます。

最終的には配偶者のみならず、あなたと関係性が薄い関係者(弁護士や裁判官)に「このような事情があるならば、離婚は認められるべき・離婚は致し方ない」と判断を下してもらうのが目標です。第三者の立場で考えても自分の主張が妥当かをチェックしていきましょう。

客観的に眺める(5)

情報の整理が終わったら、用できる人間に確認してもらうのがベストです。もし周りに相談する適当な人物が見つからない場合は、一日おいて翌日見返してみましょう。

夜中に書いたラブレターを翌日見返してみると稚拙な内容に驚くということがあるようですが、同じことが起きてないか確認してみましょう。