前回のレポートでは「ダイヤモンド」や「愛」の歴史について紹介しました。わたしがお伝えしたかったことは・・・・たくさんの人がいとも簡単に挫折する理由や、自分が本当に実現したいことがわからなくなる理由は、「魅力的な提案があるのですが・・・」という他人のつくった幻想に囚われているからだ・・・・ということです。
ここまでお伝えするとほとんどの人は、「あなたは他人のつくった幻想に騙されるな!ということが主張したいんですね?」とわたしに確認したくなるに違いありません。しかしわたしが伝えたかったことはそんなことではないのです。
「ダイヤモンド」や「愛」と同様に、世の中で価値があるといわれているもののほぼすべてが幻想です。例えば(長くなりすぎるので詳しくは説明しませんが)多くの人が価値があると信じて疑わない「お金」ですら、お金の歴史を振り返ってみれば、他人のつくった幻想なのです。
なぜ?わたしたちは、幻想でしかないものに価値があるとベタに信じてしまうのでしょうか?
資本主義の研究者として有名なカール・マルクスは(ドイツ・プロイセン王国出身の哲学者・思想家・経済学者・革命家)は、このようなことをいいました↓↓↓
「現実(リアリティー)は、権力者がつくる」
そう。わたしたちの「これが現実だ」というような感覚(リアリティー)は、権力者によってつくられ、それが「常識」になり、最後は「空気」のように当たり前のものとなるため、最終的には誰もが「それに本当に価値があるの?」と疑問にすら感じなくなってしまうのです。
なぜ?わたしがこんなことを「離婚準備」に関する一連のレポートで、あなたにお伝えするのでしょうか?
その理由はズバリ、「もしかしたらわたしが価値があると信じていたものは、わたしにとってはそれほど価値がないものなのではないか?」なんてことは、順風満帆なときには誰も時間をとって考えることをしないからです。
「自分にとっての幸せとはなんだろう?」、「自分が本当に実現したいことはなんだろう?」なんてことを立ち止まって考えるタイミングは、ほとんどの場合、あなたのように「離婚」について検討していたり、過労で倒れて休職するハメになったり、勤めていた会社が倒産したり、怪我でスポーツ選手になる夢を断たれたり、大切な人の突然の死に遭遇する・・・などの絶望に遭遇した時だけです。
だからこそ、わたしはわざわざレポートを用意してまで、あなたに伝えたいことがあるのです。それをどのようにあなたに伝えるかはわたしの腕の見せ所であり、わたしも頭を抱えるところなのですが、このレポートを読んでいる人の多くが受験勉強をしたことがあるでしょうから、受験勉強というテーマでわたしの伝えたいことを語りたいと思います。
「東大なんか入らなきゃよかった」という2020年9月に出版された本があります。親から「勉強しなさい」といわれて勉強した結果、東大に入ってとんでもない目にあったというエピソードが盛りだくさんの1冊です。
そう。勉強して東京大学のなかでも難易度の高い法学部に入ってキャリア官僚になったところで、幸せになれるわけではないのです。もしあなたが子どもに念仏を唱えるように「勉強しなさい」としかアドバイスしないなら、子どもの将来は危ういかもしれません。
しかしだからといって「学歴を追求しても意味はない」と断言してしまうのも、あなたも抵抗があるでしょう。もちろん学歴にも意味はあります。では学歴が意味をもつような場合とはどのような場合なのでしょうか?
「東大なんか入らなきゃよかった」ではなく「東大に入って本当によかった」と実感する場合とは、例えばキャリア官僚の場合、『同期のなかでトップ3番目以内に入る』でしょう。
キャリア官僚になったところで出世できるのは本当に一握りです。キャリア官僚のトップである「事務次官」になれるのは一人なのですから当たり前です。
しかも本当に事務次官になれるかどうかは実力だけではなく「運」も必要です。ハッキリって確率論の世界です。ようするにほとんどの人は頑張っている途中でハシゴを外されるのです。
わたしが伝えたいことは、「もしあなたが他人のつくった魅力的な提案を本当に魅力的なものにしたいなら、最後まで戦う覚悟が必要であり、負けることも考えられないぐらい必死になる必要がある」ということです。自分に質問してみてください↓↓↓
未来のあなたが離婚する(もしくは、離婚しない)ことを正当化できる「本当に実現したいこと」とは、たとえ途中でハシゴを外される可能性があってもやる価値があると信じられることでしょうか??
「YouTuberになって有名になってお金持ちにもなりたい」と願う人は、HIKAKIN(ヒカキン)さんが、YouTubeに動画投稿をはじめたときは1円の広告報酬も受け取っていないし、そもそも広告報酬が得られる確証もなかった時代から動画投稿をはじめたことをあまりよく理解していません。
ヒカキンさんのように、毎日動画投稿するのは大変です。「YouTubeって儲かるからやったら?」という提案にのった結果、「とりあえず動画投稿してみるか?」というノリで続けられることではないでしょう。
「宝くじに当選して2億円ほしい」とか「毎日おいしいものが食べたい」と願う人の多くは、2憶円の使い道も何を食べたいのかもよくわかっていません。しかしそうではない人もいます。例えば有名な美食屋の来栖けいさんは、宝くじで2億円を手に入れて、そのことを20年間秘密にしたまま飲食店を2万軒食べ歩き、美食屋の舌をうならせるフランス料理店ボニュ (Bon.nu)の経営者として活躍しています。
20年間で2万件の飲食店を訪問したということは、つまり1日3回外食という生活を20年間続けたということです。「胃がもたれちゃって・・・」なんて愚痴をこぼす暇もなかったでしょう。
「好きなゲームをやり続けたい」と願う人は多いですが、プロの世界で勝ち続けるのも並大抵のことではありません。例えば日本初のプロ格闘ゲーマーになった梅原大吾さんは、20年間以上、「ストリートファイター」というゲームをやり続けています。
「ストリートファイター」というゲームはわたしも大好きな格闘ゲームですが、大人になった今となっては「毎日やりたいか?」といわれると微妙です。それなのに梅原大吾さんは毎日飽きることなく強くなるためにプレイを続けているのです。
そういう事例は探せば他にもたくさんあります。野球のイチロー選手は引退したのに「野球の伝道師」として野球をやり続けています。本当に野球が好きなんでしょう。
元ボクシング世界チャンピオンの八重樫東(やえがしあきら)さんは、引退してトレーナーになっても現役選手が驚くほどストイックに毎日カラダを鍛え続けているそうです。
ラーメン好きなら知らない人はいないであろう千葉の松戸にあるつけ麺屋「中華蕎麦 とみ田」の店主、富田治さんは、毎日自分の店でつくったつけ麺を食べているのに、休みの日にも他店のラーメンを食べに行くほどのらーめん好きです。
そういう事例はまだまだありますがこのあたりで終わりにしましょう。ヒカキン、来栖けい、梅原大吾、イチロー、八重樫東、富田治さん・・・・彼らのような人たちのことを他人はなんというでしょうか?
おそらく『成功者』として認識されるよりも前までは、「バカだねぇ~。そんなに本気になっちゃってさ。」と陰口を叩かれるような存在であったはずです。事実、イチロー選手は子どもの頃、「本気でプロになれると思ってるのかねぇ~」と陰口を叩かれたことを告白しています。
イチロー選手は引退会見で、「貫いたもの、貫けたものは何でしょう?」という記者からの質問に対して、「野球のことを愛したこと」と答えました。
ここで質問です。あなたは何を愛するのでしょうか?
もしあなたの中に「わたしにはこれがある」というものが思い浮かんだのであれば、あなたは幸せものです。なぜならばあなたは自分のご機嫌を自分でとることができるのですし、人生においてなにをすればいいのかわかっているからです。そういう人は強いです。
とはいえ「そんなこといわれても、わたしは何を愛したらいいかわからない」と戸惑っている人も多いでしょうから、もう少し話を続けます。
2020年に大ヒットした「鬼滅の刃」という作品があります。漫画・アニメ・映画をチェックしていない人でも名前くらいは聞いたことがあるでしょう。わたしの伝えたいことは鬼滅の刃風にいうならば、「あなたな何に魂を燃やすのか?」ということです。
主人公の竈門炭治郎は、『鬼になった妹を救うため』に自分よりも強い鬼に立ち向かいますが、登場人物のそれぞれが「鬼と戦う動機」をもっているのが鬼滅の刃という作品の特徴です。
「鬼滅の刃」を最終巻の23巻まで読み終えた元大阪府知事の橋本徹さんは、テレビでこんな感想を述べていらっしゃいました。
作者の皆さんを別にけなしているわけではなくて、子どもたちにはすごい共感が広がっているんですけど、すごい、なんていうのかな…あの『頑張れよ頑張れよ、窮地に追い込まれても最後の最後まで頑張れ』みたいな感じなんですよ。でも、51歳まで生きてきたら、そんな頑張れ頑張れと…やっぱり逃げる術も覚えなきゃ。
【出典:スポニチ】
そうなんです。橋下徹さんの感想は合理的であり正しいのです。鬼滅の刃を観ていると、「そこで逃げちゃえばいいじゃん?」と思わざるを得ない場面に遭遇します。
例えば「劇場版 鬼滅の刃無限列車編」に登場する煉獄杏寿郎 (れんごくきょうじゅろう)は、部下を置き去りにして逃げれば自分の命を守ることはできたはずです。
しかし煉獄杏寿郎は絶体絶命な場面になっても逃げるそぶりも見せません。鬼狩りの家系で育った煉獄杏寿郎にとっては、自分の命よりもを守ることよりも、「強い力は弱い者を守るために使うべき」という母からの教えを守ることのほうが価値があったのです。
煉獄杏寿郎と同様に、鬼滅の刃の登場人物は「逃げればいいのに」という場面で誰一人として逃げません。逃げずに戦った結果として得られたものがなんであるのか?ということは、鬼滅の刃の最終話で明らかになるわけですが、ネタバレになるのでここでは明かしません。興味のある人はチェックしてみてください。
ネタバレを回避して作者の吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)が作品を込めたメッセージをわたしなりに表現するとすれば、「逃げなきゃいけない場面でも逃げずに戦うことを選ぶとしたら、それはなんのためなのか?」ということです。
あなたにとって「離婚する」にしても「離婚しない」にしてもそれはツライ決断になるかもしれません。しかし「もし離婚しなきゃいけない(もしくはしてはいけない)状況でも、離婚する(もしくは、しない)決断を下すなら、それはなんのためなのでしょうか?」
わたしにはその答えはわかりません。なぜならば・・・
鬼滅の刃の登場人物が逃げずに戦った動機がそれぞれ存在したように、わたしが歯を食いしばって頑張る動機と、あなたが歯を食いしばって頑張る動機はそれぞれ違って当たり前だからです。
例えばわたしは自転車が大好きで毎日100kmぐらい走っているし、そのため毎週1回は欠かさずに愛車を隅から隅までピカピカに磨いています。また漫画や映画作品をほぼ毎日チェックしているし、活字中毒なので毎日大量の活字を処理しており、そこで培った知識をメルマガで共有していたりもしています。(そう。今回のように。)
それらの行動の「意味」はすべて、周囲の人から理解されることはありません。「そんな暇があるなら、もっと別のことに時間とお金をを使えばいいのに?」と不思議がられてしまう経験がわたしにもたくさんあります。しかし他人からの魅力的な提案などわたしにはどうでもいいことなのです。
例えばさきほど紹介した来栖けいさんも、宝くじで2億円当選したことを他人に伝えていたら、「そのお金を投資したらお金が増えるよ?」なんてアドバイスされたに違いありません。しかし来栖けいさんにとっては、「投資してお金を増やす」ことよりも、もっと大事なことがあったのでしょう。
また「鬼滅の刃」という作品だって、お金のことだけを考えるなら、連載の途中から多少無理やりにでも長期連載できるようなストーリーにもっていくことも不可能ではなかったでしょうが、吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)さんにとってはそれより重視すべきことがあったのでしょう。
繰り返しになりますが、あなたが頑張る動機は他人と違ってもいいのです。むしろ頑張る動機が他人と同じであれば、その動機は「他人に創られたもの」である可能性が高いので、あなたは最後まで頑張れずに逃げる(挫折する)という道を選ぶことになるでしょう。
あなたは誰のために何をするでしょうか?(続く)