夫婦関係調整調停を攻略したい方は、切実な問題を抱えています。
- 申し立てる調停の種類
- 調停を成功させるコツは?
- 調停の詳しい進行は?
離婚調停を経験するのは人生で1回あるかないかでしょうから、以上のような悩みをもつのは当然です。そこで本記事では、夫婦関係調整調停についてわかり易く解説していきます。
夫婦関係調整調停をフル活用して問題解決するための手助けになれば嬉しいです。
夫婦関係調整調停の基本
夫婦関係調整調停について解説します。
夫婦関係調整調停の種類
まずは上図を眺めてください。夫婦関係や男女関係に関する調停の種類をまとめています。この記事をご覧になっている結婚中の方に関係があるのは、夫婦関係調整調停だけです。
夫婦関係調整調停には、「円満」と「離婚」の2種類が用意されています。(オレンジ色塗りつぶし部分)家庭裁判所に夫婦関係調整調停を申し立てた人が、「離婚したいのか」、「夫婦円満を目指すのか」で呼び名が変わります。
- 夫婦関係調整調停(円満)
- 夫婦関係調整調停(離婚)
それぞれ離婚調停、円満調停と省略されて呼ばれており、円満調停から始まった調停を、途中から離婚調停に切り替えることも可能です。
また離婚調停を申し立てる場合には、離婚話をする際には切っても切り離せない以下の6つの問題についても話し合うのが一般的です。
- 親権者
- 面会交流
- 養育費
- 財産分与
- 慰謝料
- 年金分割の割合
夫婦関係調整調停を申し込む時の書類(申立書)にも、それらの問題についての希望を記載する欄が用意されています。ですから結婚中であれば各離婚条件について、別途調停を申し立てる必要はありません。
申立理由には何が多い?
夫婦関係調停調停を申し立てた理由について紹介しておきます。以下の表は、平成25年の司法統計から作成したものです。
夫婦関係調整調停を申し立てた人のうち、約7割が離婚する方向性で申し立てをしています。また申し立ての趣旨として次いで多いのが、別居中の生活費を請求する申し立てです。(婚姻費用分担)
円満調整の割合は少ないですが、絶対数でみれば年間3,320件は夫婦円満に向けた話し合いがなされているようです。
調停前置主義
離婚協議が難航した場合には「もう裁判しかない!」と考えてしまうかもしれませんが、日本では離婚調停を経ずに離婚裁判を申し立てることはできません。
なぜならば日本には「夫婦関係のことはじっくり話し合いを尽すべき」という考え方があるからです。そのような考え方を「調停前置主義」といいます。
離婚裁判ともなれば経済的・肉体的・精神的な負担は想像以上に大きいですし、仮に裁判で離婚が認められても上告されれば戦いの日々は続きますので、できる限り話し合いで決着をつけるように努力することをおススメします。
離婚調停と話し合い
離婚協議で話し合ったのに、離婚調停で話し合うことにどれだけの意味があるのだろうか?と疑問に思っている方は、以下の記事を参考にしてください。
参考 離婚調停の話し合いって意味あるの?調停調書の効力
調停の結果得られる「調停調書」は公文書であり、大きな力をもっています。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

調停調書と養育費
調停調書が養育費にどのような効力を与えるか?ということについては、以下の記事を参考にしてください。

弁護士を雇うべきか?
離婚調停と弁護士の関係について詳しくは以下の記事を参考にしてください。

調停に呼び出されたら?
調停に呼び出されたらまずはどうするべきかについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。

夫婦円満調停について
夫婦円満調停について解説します。
夫婦円満調停の活用事例
夫婦円満調停の利用を検討すべき事例を箇条書きにしておきます。
- お酒をやめて欲しい
- 家計にお金を入れない
- 姑との同居を解消したい
- ギャンブルをやめてほしい
- モラハラやDVを辞めて欲しい
- 子供の教育方針の相違を解消したい
あくまでも建前上は、夫婦円満を目指すのが目的です。ですから夫婦円満に向けて、直面している課題をどのように解消するのか話し合うことになります。
夫婦円満調停の解決の仕方
夫婦円満調停の理想的な形は、夫婦円満に向けた合意がなされることです。なお調停の結果を待つまでもなく夫婦が円満な関係に戻れるのであれば、調停はいつでも取り下げることが可能です。
また夫婦円満を目指していたものの途中で離婚の意思が強くなった場合は、いつでも離婚調停に切り替えることが可能です。
夫婦円満調停の結果
これから夫婦円満調停を利用する方が気になるのは「円満調停で夫婦円満に戻れるのか?」ということでしょう。
過去の円満調停の結果から、その点について考えていきたいと思います。以下は、2010年度司法統計から明らかになった円満調停の結果です。
- 離婚(22%)
- 調停離婚(19%)
- 協議離婚(3%)
- 婚姻継続(23%)
- 別居(9%)
- 同居(14%)
- 調停不成立(19%)
- 取り下げ(11%)
- 一部協議成立し取り下げ(1%)
- 話し合いがつかず取り下げ(10%)
- その他・不詳 (23%)
円満調停の結果、夫婦が婚姻継続し同居しているのは全体の14%です。残念ながら夫婦円満調停の結果、夫婦円満に戻れている夫婦は少ないというのが現実のようです。
離婚調停について
離婚調停について解説します。
離婚調停のメリット
離婚調停のメリットについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。

離婚調停のデメリット
離婚調停のデメリットについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。

調停の流れ・進め方
調停の流れや進み方については、以下の記事を参考にしてください。

持ち物・心構え
離婚調停の心構えついては、以下の記事を参考にしてください。

離婚調停の準備とは?
離婚調停の前にするべきことについては、以下の記事を参考にしてください。

専門家の助けは必要か?
基本的に弁護士を雇う必要がないのが、離婚調停のメリットでもあります。しかし調停委員には以下のような様々なタイプがいます。
- 男尊女卑と思われる調停員
- 女性に肩入れする調停員
- 説得しやすそうな側を説得する調停員 etc
調停員がどんな人物であれ、あなたの主張が認められる実感があるのであれば弁護士は必要ないでしょう。
しかし、あなたの主張が全く受け入れられない状況であれば、弁護士に相談することも検討しましょう。
そしてもし弁護士に相談するのであれば、遅くとも第一回の調停が終わった時点で相談して下さい。
なぜならば調停が進んでしまった段階では、どんなに優秀な弁護士でも巻き返すことは難しいからです。
離婚調停前に別居すべきか?
離婚調停前に別居すべきかどうかは、以下の記事を参考にしてください。

調停委員を味方につける方法は?
離婚調停において大切なのは先に離婚の可否、後に離婚の条件(養育費、慰謝料、財産分与 等)を決めるという順序です。相手が離婚を拒否しているのに離婚の可否と条件を同時に進めるのは現実的ではありません。
相手の希望する条件を受け入れない限り離婚はできないので、相手が「退職機、貯金、家、すべてくれたら考えてもいい」などと無理めの条件を提示してきても、離婚を望むなら承諾するしかないのです。
しかし調停委員を味方につけることによって、調停委員から相手を説得してもらえる可能性もありますので、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
