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dv被害者が離婚を成功させて幸せを掴み取る方法

dv 離婚

DV被害から逃れて離婚したいという方に向けて記事を書いています。いざ離婚しようと思うと色々と疑問に思うことがあるはずです。

いろいろな疑問
  • 本当に離婚しなければいけないのか?
  • 誰に相談すればいいのだろうか?
  • DV被害で悩んでいる人はどれぐらい?
  • 慰謝料や養育費は請求できるの?
  • 離婚後も子供に会わせせるの?
  • DVの証拠収集の方法は?
  • 離婚後にやるべきことは?
  • 過去の裁判の判例は?

本記事を読んで頂くことで、以上の疑問を全て解決して欲しいと思います。

DV離婚以外の選択肢

まずは「離婚することがあなたにとって正しい選択肢なのか?」ということを考えるために、離婚も含めた選択肢について確認しておきたいと思います。

DV被害時の選択肢
  1. 逃げる
  2. 別居する
  3. 遠ざける(接触禁止命令等)
  4. DV加害を止めるように説得
  5. 離婚

それぞれの選択肢をとった時に何が起こるのか説明します。

逃げる

生命に危機を感じている時は「逃げる」のが最も賢い選択肢ですが、日常生活の全てを捨てる必要があるのが辛いところです。

仕事先や子供の通学先までDV加害者がやってくることを考えると、一旦、すべてを捨て去らなければなりません。例えば子供がいる場合には、行先も告げずにある日突然転校させなければいけません。

一時的にシェルターなどに入る方法もありますが、あくまで最終手段です。可能な限り、DV被害がそこまでに深刻になる前に他の手立てをうつことをお勧めします。

なお離婚が成立する前に逃げれば物理的な安全は確保することができますが、配偶者との婚姻関係が切れるわけではないので、「配偶者が自分を探し出すのではないか?」という恐怖と戦わなければいけません。

別居する

別居されるほど酷いことをしたと加害者に認識させることは、DV被害の抑止力になり得ますし、親族などにもDV被害を受けている事実を知ってもらえれば、DV加害者に対する抑止力は一層高まります。

しかしDV被害が進行している場合には加害者からの報復を恐れて、別居することに対して二の足を踏んでしまうかもしれません。

遠ざける(接近禁止命令)

接近禁止命令は一時的に相手を遠ざけるの手段として有効ですが、接近禁止命令は一生継続できるものではありません。

実際問題として、接近禁止命令が解除された瞬間に接触を試みようとするDV加害者は後を絶ちませんので、しばらくは警戒する必要があるでしょう。

DV加害を止めるように説得

DV加害をやめるように説得する手立てもありますが、話し合いでDVをやめてもらえるのであれば、そもそも悩む必要もない・・・というのが被害者の実感だと思います。

残念ながらDV加害者のなかには「自分が配偶者を虐げるという人権侵害の加害者」であることをハッキリ認識していない場合もあります。独りよがりな理由によって、徹底的にDVを正当化するのです。

自分が悪いと思っていない以上、DV加害者が素直に加害者更正プログラムを受けることはありませんし、カウンセリングに自らの意思で通うDV加害者の多くは、必要に迫られてカウンセリングを受けていることがほとんどです。

例えば突然目の前から姿を消した妻からカウンセリングの連絡先をもらった結果、カウンセリングに来るという人も多いのです。

離婚

DV加害者はあなたのことが嫌いで暴力をふるっているわけではありません。ですから離婚したいと伝えても、すんなり離婚に応じてもらえる保証はありません。

むしろあなたのコントロールしたくてDVするような場合もありますから、「離婚したい」を伝えれば火に油を注ぐような結論になる可能性もありますので要注意です。

DV離婚の相談は誰にすべきか?

dv 相談

上図は、DV被害者の選択肢に応じて、相談先と注意事項(既に解説済)を整理したものです。主な相談先は、4つありますのでそれぞれについて説明していきます。

DV相談ナビ

DVから逃れる方法

上図は、DV相談ナビに相談してからの流れを示しています。DV相談ナビは、「警察」、「配偶者暴力相談支援センター」、「弁護士会・民間団体」に斡旋してくれる全国共通ダイヤルのことです。

0570-0-55210」に電話をかけると、発信者の現在地から適切な相談所に繋がります。何をしたらいいかわからない場合は「0570-0-55210」に電話をかけてみましょう。

加害者更生プログラム

加害者更生プログラムを提供する支援施設は全国に存在しますが、DV被害者の相談先というよりは、DV加害者が自らの意思で相談する施設であることに注意が必要です。

カウンセラー・弁護士

DVに悩んでいる場合、離婚カウンセラーや弁護士に相談することも有効な選択肢です。

離婚カウンセラーに相談するのは、何から手をつけていいかわからない段階でもっとも有効です。あなたの事情をじっくり聞いてもらった上で、何が幸せにつながるのかアドバイスをもらいましょう。

また「どうしたいか意思がはっきりしている場合」には、弁護士に相談しましょう。「絶対に離婚する」、「絶対に慰謝料をとる」という方向性が定まっているのであれば、大きな助けになってくれるはずです。

特になし

DV加害者と戦う気持ちが残っていれば、必ずしも誰かに相談する必要はありません。DVの証拠を確保した上で、別居した後に将来のことを考えるという選択肢もあります。

DVで離婚する割合

dv 離婚 割合

上図は、離婚調停を申し立てた人の動機を男女別に整理したものです。男性で約1割弱、女性で約2割の方が配偶者の暴力に悩んでいる事実が明らかになっています。

ここで補足しておきたいのは、女性もDV加害者になるという実態です。「(女性が暴力をふるうなんて)そんなはずないでしょ?」という周囲の目が、女性のDV被害を助長する一つの要因となっています。

もしあなたが男性であり女性からの暴力に悩んでいる場合は、「男が女から暴力被害を受けていると告白するのは恥ずかしい」という遠慮は無用です。「暴力は暴力」という強い気持ちを持ってください。

DV離婚の慰謝料の相場

DV離婚の慰謝料の相場は、100万円~500万円といわれています。暴力がひどく場合には、慰謝料とは別に治療費分の損害賠償が認められることもあります。

離婚後の養育費

子どもの養育費は、離婚の原因とは関係なく親として支払うべきものです。離婚により消滅するのは夫婦間の権利義務であって「子どもの養育義務」は消滅しません。また親権の有無も養育費の支払い義務とは関係ありません。

離婚後の面会交流権

DV被害者が親権をもって離婚する場合、加害者と子供を合わせたくないと思うでしょう。子供に暴力が及ぶことが危惧される場合には、面会交流権を拒否することが認められています。

以下の記事では、面会交流権の詳しい決め方、面会交流権を拒否できる条件について詳しく解説していますので参考にしてください。

DV加害者と離婚する方法

DVの証拠を掴めば、DV加害者との離婚に大きな一歩を踏み出したと言えますが、DVの証拠を掴んだ後はどのような行動をすればいいのでしょうか?

加害者がDVする理由

まず最初に認識しておくべきなのは、加害者がDVする理由です。

多くの場合、DV加害者はあなたが嫌いで暴力行為に及んでいるわけではありません。むしろあなたに好意をもっていることがほとんどであり、DV加害者の多くはあなたを支配するためにDVをしています。

DV加害者は自分の都合よくあなたを支配することを望んでおり、その一つの手段が「DV」というわけなのです。ですからあなたの離婚したいという主張は、加害者にとってもっとも望ましくない主張であることに注意すべきです。

ですから離婚の主張を伝えれば、DV加害者が激昂しあなたの身に危害が及ぶことは目に見えています。離婚を相手に伝える場合には、まずは相手と距離をとることを最優先してください。

もしかしたら加害者側から「同居義務違反で訴えてやる!」と主張されるかもしれませんが、臆する必要はありません。もちろん通常の夫婦であれば同居・協力・扶助の義務を負いますので、身勝手に距離を置くことは望ましくありませんが、DV被害者である証拠を掴んでいる場合には別居の正当性を主張できます。

あなたの希望を伝えて様子を見る

身の安全を確保したあとは、あなたの希望を伝えましょう。例えば以下のような希望が考えられます。

身の安全を確保した後は・・・
  1. 離婚する意思は揺るがないから離婚したい
  2. 離婚したくなければ加害者更生プログラムをクリアして欲しい

もちろん上記の希望を組み合わせて以下のように主張することも可能です。

あなたが離婚を望めば離婚しましょう。もしも、離婚したくなければ、加害者更生プログラムに1年間通い続けることで、更生した可能性が強いことを証明してください。もしも、加害者更生プログラムの受講中に離婚したくなったり、挫折すれば離婚します。

あなたの希望を伝える時のコツは、「DVの証拠を握っているあなたが圧倒的に有利だということを相手に伝える」です。

そして加害者があなたの要望に従わずに、あなたに危害を与える素振りを見せれば、強い態度に出ることを伝えましょう。具体的には「離婚調停を申立てれば離婚が認められる可能性が強いこと」や「傷害罪で告訴すれば加害者側の社会的信用が著しく傷つくこと」も伝えるべきです。

とにもかくにも「覚悟を決めること」が重要です。

覚悟がないがゆえに中途半端な行動しかできないことはよくあります。例えば警察に相談したものの、「本当に被害届けを出すのか?」、「相手の将来を傷つけてもいいのか?」などの抵抗を受けて挫折することもあります。

また覚悟を決めても、加害者やその関係者に自分の主張をうまく伝えられる自信がなければ弁護士を雇いましょう。金銭的な余裕がなければ、法テラスの制度を利用すれば弁護士費用を分割で支払うことも可能ですので、「この人にお願いしたい」という人を見つけたら「法テラスの制度を利用できませんか?」と相談してみましょう。

決断&実行

加害者側の出方によっては、最終的にどのような手立てをとるべきか迷うかもしれません。

一時的に、逃げたり、別居したり、相手を遠ざけても構わないと思いますが、最終的には「夫婦円満」、「離婚」のいずれを目指すか決断する必要があります。

いずれによせ決断したら、余計なことを考えてはいけません。淡々とあなたの望む将来に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。

加害者に居場所を特定されない方法

加害者に居場所を特定されない一般的な方法は以下の2つです。

最低限注意すべきこと
  1. 住民票・住民基本台帳の閲覧制限
  2. SNSの利用には最新の注意を払う

離婚した後にあなたの居場所を突き止めて復縁を迫るなどのストーキング行為に及ぶ人もいますし、特にDV加害者やストーカー加害者は、自分に都合がよく物事を認識する傾向があるため、自己防衛の手段として最低限の対策はしておくべきです。

裁判の判例

DVに関連性がある裁判事例を紹介していきます。

暴力の反省が見られない男性への離婚請求

東京高裁判決平成8年7月30日(判例時報1577号92頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審(離婚請求を棄却×)
    ⇒妻(原告)、夫(被告)
    【千葉地裁佐倉支部判決平成7年9月7日】
  • 控訴審(離婚請求を認容○)
    ⇒妻(控訴人)、夫(被控訴人)
    【東京高裁判決平成8年7月30日】
夫婦の歴史
  • 昭和47年2月     婚姻
  • 昭和47年5月     長男出生
  • 昭和49年3月     二男出生
  • 平成5年3月   家の中を散乱させ、妻にスリッパを投げつける
  • 平成5年4月   妻が家を出る
  • 平成5年10月   偶然出会った妻に対し、殴打・足蹴りをし、妻は頚椎捻挫等の傷害を負う

この裁判は、夫の暴力に悩む女性からの離婚請求です。

第一審では、妻の離婚請求は棄却され、以下のような判決が下っています。

「夫のとってきた態度が女性である妻に対しいかに恐怖心を与えるかに留意し、自己を抑制し、威圧的・抑圧的な態度を改め、妻の心情を思いやりながら意思の疎通を図ることにより、妻のこれまでの不満・不信等を解消するという機会を与えた上で、(離婚を認めるという)結論を出すのが適当」

つまり「暴力をふるった夫にもチャンスを与えるべき」という結論です。

しかしチャンスをもらった夫は自らの態度を改めることはありませんでした。控訴審の判決が下る前に開かれた和解の席における夫の行動もひどいものでした。

旦那のひどい態度
  • 自分に落ち度はないから慰謝料を払えと(妻に)要求
  • 自己の問題を反省する様子がない
  • 妻の心情を思いやる態度ではない

裁判所は、旦那の反省しない態度と、妻の離婚への強い意志(妻は「離婚できるなら財産の一切を受け取れなくて良い」と発言)などを総合的に考慮して、妻の離婚請求を認めました。

間接的な暴力を離婚原因の一つと認定した事例

東京地裁判決平成18年3月14日(公刊物未掲載)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審(離婚請求を認容○)
    ⇒妻(原告)、夫(被告)
    【東京地裁判決平成18年3月14日】
夫婦の歴史
  • 平成7年3月         婚姻
  • 平成10年            長男出生
  • 平成12年            長女出生
  • 平成15年2月頃   妻が長男・長女を連れて別居

この裁判は、別居期間約3年の夫婦において、夫から妻に対する直接的な暴力はなかったものの、「妻の面前で物を投げたり、壁を叩いたりするなどの暴力」をふるっていたことを、婚姻を継続し難い継続的な事由の一つとして認定し、妻から夫に対する離婚請求を認めた事例です。

夫は妻に対して隠れて借金をしたり、ホステスと遊んだりしていました。(肉体関係あり)また妻は「隠し事をしないように」と何度も何度も夫に要請たものの、何度も何度もその約束は破られることになりました。

そこで妻は「次に隠し事や借金をしたら、離婚するだけではなく夫の所有する不動産も妻に譲渡する」という旨の念書への署名捺印を夫に対して求め、夫もこれに応じました。

しかし約束は再度破られることになります。夫は妻に隠れて借金を膨らませ、挙句の果てに子どものお年玉にも手を出すようになります。堪忍袋の緒が切れた妻は、子供を連れて別居する道を選んだのでした。

裁判では、婚姻関係が破綻した原因として以下の3つを挙げています。

夫婦関係破綻の原因
  1. 妻に対する夫のたび重なる隠し事
  2. ホステスとの過度に親密な交際
  3. 間接的な暴力

夫は暴力の存在を全面否定したため、暴力の程度、頻度、継続期間等は定かではないのですが、裏を返せば、暴力の詳細がわからない程度の間接的な暴力であっても、他の事実関係を合わせて考慮すれば、離婚原因となりうることもあるようです。