DV被害に苦しみ続けたい人はいないと思います。どんな理由があろうと暴力を振るわれる理不尽から一刻も早く逃れるべきだと思いますので、本記事ではDVから逃げるための方法を詳しく説明します。
DVから逃れる方法(1)
DVから逃れる手順を解説していきます。
- 証拠作り
- 相談
- 逃げる
- 加害者を遠ざける
証拠作り(1-1)
始めに注意しておきたいことがあります。
暴力が激しい場合、生命の危機を感じる場合は早く病院にいきましょう。そして暴力で怪我を負ったことを証明する診断書を取得しましょう。さらにその足でそのまま警察署で相談に応じてもらいましょう。
DVの証拠は、DV被害を周囲に信じてもらうために絶対に必要なものです。証拠の有無が、この先の運命を決するといっても過言ではありません。
最近ではDVの証拠を捏造する人の存在が問題視されていることもあって、一層確実性の高い証拠収集が求められています。以下、代表的なDV被害の証拠を列挙しておきます。
- 怪我を映した写真
- 医師の診断書
- 壊れた家具
- 部屋の散乱状況の写真
- 暴言の録音テープ
- 脅迫状などの手紙類
上記に挙げた証拠類をなるべく多く収集してください。多角的にDV被害を主張すれば、その分だけ信憑性が高まります。
相談(1-2)
DV被害の相談先は、被害者の目的次第で異なります。保護してほしければ、地方裁判所を頼ることも可能です。
具体的には地方裁判所に「保護命令の申立」をする必要があるのですが、個人が地方裁判所に直接保護命令の申し立てをするのは現実的ではありません。
なぜならば「公証人作成の宣誓供述書」という書類が必要になるからです。宣誓口述書を用意する余裕はほとんどのケースでないと思いますので「DV相談ナビ」に電話するのが現実的な対応策になります。
- 0570-0-55210
最寄りの相談機関の窓口に電話が自動転送されます。DV相談ナビ利用時の注意点は2点です。
- 通話料金の負担が必要
- 営業時間は24時間「ではない」
受付時間は、相談窓口の営業時間内に限定されるので注意して下さい。多くの場合、平日の夕方5時~6時までしか電話がつながりません。
DV相談ナビに電話すると「配偶者暴力相談センター」につながることが多いです。配偶者暴力相談センターに相談すると何をしてくれるのでしょうか?
配偶者暴力相談支援センターで対応してくれることを箇条書きにしておきます。
- 被害者からの相談
- 心身の健康買い吹くための医学・心理的助言
- 被害者や子供の一時保護
- 自立のための情報提供・援助
- 保護命令の制度の利用についての情報提供
- 保護施設(シェルター)の情報提供
つまり加害者から身を隠しながら離婚手続きを行うことも可能です。なおシェルター(保護施設)の情報は通常はネット上で開示されていません。なぜならばシェルターの情報を開示すれば、加害者に見つかってしまう危険性があるからです。
逃げる(1-3)
生命の危機を感じる場合には身を隠しましょう。しかし手ぶらで逃げるというわけにはいきません。逃げる際に、持ち出すべきアイテムを箇条書きにしておきます。
- 現金
- 預金通帳と印鑑
- 健康保険証、母子手帳
- 常備薬
- 身分確認書類(免許証・パスポート)
- 当座の生活に必要なもの(子供の勉強道具など)
- 証拠類(診断書、被害届、音声テープ、写真 等)
- 財産目録
上記アイテムのうち証拠類と財産目録は、持ち出す優先度が高いです。なぜならば一度家を出てしまうと手に入れることが困難だからです。入手できなければ、財産分与と養育費交渉が難航する恐れがあるので注意しましょう。
なおDV加害者から逃げてそのまま別居する場合には、別居後に同意なく元の住居に立ち入ると『住居不法侵入』の罪になる可能性もありますので注意しましょう。
加害者を遠ざける(1-4)
逃げた後に加害者を遠ざける手続きについて解説します。
- 保護命令の種類
- 保護命令の申請方法
- 保護命令違反時の罰則保護命令
保護命令の種類(1-4-1)
保護命令には、以下の3種類があります。
- 接近禁止命令
- 退去命令
- 電話・電子メール等の禁止命令
接近禁止命令(1-4-1-1)
接近禁止命令は、以下のような命令です。
「被害者、子供、被害者の親族等の住居や身辺に近づくことを6ヶ月間禁止」
退去命令(1-4-1-2)
退去命令とは、以下のような命令です。
「被害者と同居していた住居から2か月間退去させる」
電話・電子メール等の禁止命令(1-4-1-3)
加害者に対し「電話・電子メール等の禁止命令」を下すこと可能です。
加害者がオンラインや第三者を通じて連絡する可能性を排除できます。具体的には、以下の事項を禁止させることができます。
- 面会の要求
- 行動の監視の事実を告げること
- 著しく粗野、粗暴な言動
- 無言電話、連続した電話やファックス、電子メール(緊急時を除く)
- 夜間の電話、ファックス、電子メール(緊急時を除く)
- 相手に著しく不快感を与える物の送付
- 名誉を害する事項を告げること
- 性的羞恥心を害する事項を告げたり、その類の文書・画像の送付
保護命令を出してもらう方法(1-4-2)
保護命令のためには、地方裁判所に「保護命令申立書」の提出が必要です。保護命令申立書には、3点の記載が必要です。
- 配偶者から暴力を受けた状況
- 配偶者からの暴力により、被害者の生命又は身体に重大な被害を受ける恐れが大きいと認められる事情
- 配偶者暴力支援センターや警察署への相談実績(ある場合は以下を記載)
- 相談機関の名称
- 相談、援助、保護を求めた日時・場所
- 相談、または求めた援助や保護の内容
- 執られた措置の内容
上記について、いくつか捕捉しておくことがあります。
まず2008年1月から暴力被害だけではなく「脅迫」でも申し立てが可能になりました。
また相談実績がない場合は、公証人作成の宣誓供述書が必要です。宣誓供述書とは、暴力を受けた状況などを公証人がまとめた公文書のことです。公証人作成の宣誓供述書については、お近くの公証役場に問い合わせてみましょう。
参考 公証役場一覧公証役場保護命令違反時の罰則保護命令(1-4-3)
加害者が保護命令に違反した場合の罰則は以下のようになっています。「1年以下の懲役、または100万円以下の罰金」
警察相談前に覚悟すべき事(2)
警察相談前に知っておくべきことがあります。それは「無条件に守ってくれるわけではない」ということです。
暴力を振られているわけですから立派な「傷害」です。一方で警察には「民事不介入」の原則があります。
「夫婦喧嘩の延長なのか、事件なのか?」を判別するのは一筋縄ではいきません。またDV加害者の配偶者を逮捕するのが必ずしも良いとはいえません。
加害者を逮捕すれば被害者にも不利益が生じる可能性があるからです。被害者が「犯罪者の妻(夫)」になるわけですから、警察も二の足を踏むのです。
警察への対応については以下の記事で詳しく解説しています。

離婚後に養育費を受給する方法(3)
DV被害者は、離婚条件の交渉が甘くなりがちです。「DVから逃れたい。とにかく離婚したい!」という気持ちが先行するからです。
離婚が成立した後は、DV加害者と顔を合せるのも難しいでしょう。そのため養育費の請求を諦めざるを得ないという現状があります。
しかし、養育費の援助がなく子供を育てるのは苦労が多いのは確かです。「毎月、数万円の余裕があれば、、、、」と思うことは1度や2度ではないでしょう。
泣き寝入りするぐらいなら、DV加害者と徹底的に戦うことをおススメします。子供には罪はないですし、経済的な負担を一人で抱えるのはあまりに理不尽です。
弁護士に依頼すれば、個人で戦うよりも高い確率で養育費を受給することが可能です。ただし、弁護士なら誰でも良いわけではありません。
弁護士選びに失敗すると、高い弁護士費用だけを背負わされる可能性だってありますから注意してください。正式な契約を結ぶ前に、相談にのってもらいながら弁護士先生との相性や過去の実績について質問してみることをおススメします。
まとめ
DVは被害で悩んでいる場合、DV相談ダイヤルに電話しましょう。
- 0570-0-55210
また可能な限りDV被害の証拠を収集しましょう!あなたがDVから逃れて平穏な暮らしを送れることを願っています。