離婚において慰謝料請求は避けて通れない課題の一つです。しかし、いざ慰謝料請求しようと思うとわからないことが沢山あるはずです。
- 慰謝料請求はできるのか?
- 慰謝料の計算方法は?
- 慰謝料請求に必要なものは?
- 慰謝料を支払わせる方法は?
- いつまで請求できるの?
- 慰謝料に税金はかかるの?
- 未払いの慰謝料に対抗する方法は?
そこで本記事では、慰謝料請求の成功に欠かせない知識を紹介します。
慰謝料のキホン(1)
- 慰謝料とは?
- 慰謝料の相場
- 慰謝料変動の要因
慰謝料請求とは?(1-1)
慰謝料請求を成功させるためには、慰謝料についての正確な理解が必要です。そもそも慰謝料とはなんでしょうか?
慰謝料とは「精神的な苦痛を与えた者に対する損害賠償」のことです。しかし上記の慰謝料の定義はあくまで法律上の決まりに過ぎません。
そもそもなぜあなたは慰謝料請求をしようと考えているのでしょうか?
きっとあなたの願いは「離婚後の生活に備えて1円でも多く現金を確保したい」ではないでしょうか?もし答えが「YES」であれば法律上の慰謝料の定義にこだわる必要はありません。
「慰謝料を請求するのに慰謝料の定義にこだわらなくていい??どういうこと??」と疑問に思うかもしれません。もしかすると、頭が混乱してきたかもしれません。
頭を整理して頂くために、慰謝料請求の基本的な戦略をお伝えしたいと思いますが、その前に「慰謝料の相場」や「慰謝料の金額が上下する要因」などについて説明しておきます。
慰謝料の相場(1-2)
慰謝料の計算方法が知りたい方も多いと思います。しかし残念なことに慰謝料を計算する方法はありません。
慰謝料の相場は100万円~300万円です。しかし交渉次第では相場よりも高い慰謝料を手に入れることが可能です。詳しい慰謝料請求の戦略はのちほど紹介します。
慰謝料変動の要因(1-3)
上図は離婚前提での慰謝料請求において、慰謝料が変動する要因をまとめたものです。
- 精神的苦痛が強い
- 請求側にも非があるか
- 子供の有無
- 別居期間
- 資産
- 結婚生活の状況
- 年齢、社会的地位、収入
- 離婚後に予想される生活状況
慰謝料は配偶者だけではなく、第三者(浮気相手等)に請求することができますので覚えておきましょう。
離婚調停や裁判の流れで慰謝料を請求する場合は、「家庭裁判所」で争うことになります。
慰謝料請求が認められても、慰謝料は配偶者と浮気相手の両方に請求することになるので注意が必要です。例えば慰謝料の全額を配偶者が支払っても問題ありませんし、慰謝料の支払いを配偶者と浮気相手で50%ずつ折半しても問題ありません。
「浮気相手には迷惑かけたくないから、全額わたしが払います。許してください」と配偶者が浮気相手をかばっても法的にはなんら問題ないのです。
もし浮気相手に必ず慰謝料を負担させたければ、離婚調停・裁判とは別に地方裁判所で損害賠償請求する必要があるのでご注意ください!
第三者(浮気相手等)に請求する慰謝料の変動要因を箇条書きにします。
- 主導の責任
- 継続期間(浮気等)
- 結婚生活への影響
- 現在の関係性(不倫関係等)
なおそれぞれの要因に対して明確な基準があるワケではありません。あくまで参考までに留めて欲しいですが、それぞれ補足しておきます。
精神的苦痛が強い(1-3-1)
配偶者から与えられた精神的苦痛が大きければ大きいほど、慰謝料の金額が大きくなる傾向があるようです。DV被害や浮気被害で慰謝料が認められやすいのも、この要素が影響していると思います。
請求側にも非がある(1-3-2)
請求側にも非がある場合には、慰謝料が少なくなる可能性があります。慰謝料を請求された側が、必死になって主張してくる部分だと思います。
例えば自分が浮気をするようになったのは、あなたの浮気が原因だと主張されたりすれば雲行きが怪しくなってきます。
子供の有無 等(1-3-3)
子供の人数、年齢などを考慮して慰謝料が高くなる可能性があります。特に小さい子供がいる場合は、慰謝料が高くなる傾向があります。
別居期間が長い(1-3-4)
別居期間が長いと慰謝料の金額が少なくなる可能性があります。なぜならば、別居期間が長ければ長いほ夫婦関係は破たんしていたと見なされるからです。
別居した後に配偶者の不貞行為が発覚しても、慰謝料が認められないことも珍しくありません。
資産(1-3-5)
資産の大小が、直接的に慰謝料に影響する可能性は少ないです。しかし高額な慰謝料判決が下された事例を見ると、「結果として」資産が多い人に相場よりも少し高めの慰謝料請求が認められる傾向があります。
結婚生活の状況(1-3-6)
結婚生活していた時の生活態度、結婚していた期間、妊娠中絶の有無などにより慰謝料額が変動します。
年齢、社会的地位、収入(1-3-7)
一般的に年齢や社会的地位が高ければ社会的常識に対しての理解が高いはずです。それにも関わらず、配偶者に精神的な被害を与えたとなれば印象は悪いです。浮気相手と比べて年齢が高いというのであれば、なおさら責任は重いです。
離婚後に予想される生活(1-3-8)
離婚後に予想される生活が過酷だと判断されれば、慰謝料が高額になる傾向があるようです。
主導の責任(1-3-9)
浮気相手との慰謝料争いにおいて、主導の責任は必ず論点になります。そもそも、浮気相手に慰謝料を請求すべきでないという学説も存在していますので、浮気相手への慰謝料請求は慎重になるべきです。
ちなみに浮気相手に慰謝料を請求すべきでないと主張される理由は「浮気をすべきでないのはあくまで配偶者である」という考え方にもとづいています。つまり不貞行為をすべきでないという民法で定められた規定は、未婚の浮気相手には当てはまらないという理屈です。
なお浮気相手に慰謝料請求する場合には、「故意や過失」を証明する必要があります。故意とは「結婚相手がいるを承知で浮気をしていた」ということです。また過失とは「結婚相手がいることを知り得た状況での浮気」を指します。
実際に慰謝料を請求すれば、浮気相手は「既婚者だとは知らなかった。騙されていたのは私」というように主張する可能性は高いです。
ですから浮気相手が配偶者と会社の同僚であるなど、結婚している事実を知らないと考えるのが不自然な場合には有利な立場になれますが、必ずしもそううまくいくとは限らないのが難しいところです。
浮気相手が徹底抗戦してきた場合、慰謝料請求を訴えるあなた自身が、浮気相手の非を証明する必要があります。多大な手間をかけてまで裁判すべきかじっくり考える必要があります。
浮気の継続期間(1-3-10)
浮気の継続期間も慰謝料額に影響するといわれています。浮気の継続期間が長ければ長いほど、既婚の事実を浮気相手が把握しているのが自然だと主張できます。また長期間にわたり裏切り続けていたのであれば、罪は重いと判断されるのは納得できます。
結婚生活への影響(1-3-11)
配偶者の浮気により、結婚生活に重大な影響を与えたのであれば慰謝料が高くなります。具体的には、浮気が原因で別居を開始したというような事情が当てはまります。
不倫関係の継続性(1-3-12)
不倫関係を継続しているか否かも判断に影響します。配偶者と浮気相手が交際をオープンにする場合などは、不倫関係自体を認めているわけです。慰謝料請求が認められるのはほぼ確実でしょう。
慰謝料請求の基本戦略(2)
慰謝料請求の3つの基本戦略を知っておきましょう。
- 交渉戦略
- 証拠戦略
- 調停・裁判戦略
交渉戦略(2-1)
慰謝料を交渉で要求する方法があります。「交渉して慰謝料を支払ってもらえれば苦労しないよ」という声が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。
交渉により金銭を要求することは、とても現実的な方法です。大きく分ければ以下の3つの場合において、交渉戦略が役に立ちます。
- 配偶者・関係者に弱みがある場合
- 配偶者の無知につけこむ場合
- 配偶者の気前がいい場合
配偶者・関係者に弱みがある場合(2-1-1)
配偶者や関係者に弱みがある場合には、慰謝料を支払ってくれることがあります。具体的な例が思い浮かばないかもしれませんが、以下のようなケースが該当します。
- 配偶者が浮気相手との再婚を望む場合
- 浮気相手を訴えない代わりに金銭を受給
- 世間体が気になるお家柄・職業
- どうしても跡取りの親権が欲しい配偶者
それぞれのケースについて少しだけ補足しておきます。
配偶者が浮気相手との再婚を望む場合(2-1-1-1)
あなたの配偶者は、あなたと離婚することを望んでいますが浮気をした引け目があります。
また不貞行為は夫婦義務を破った行為ですから、あなたの配偶者は有責配偶者となります。実は有責配偶者からの離婚請求は家庭裁判所でも受付けてもらえないことになっています。
つまりあなたの配偶者は、あなたに離婚を認めてもらわない限り離婚することができないのです。
配偶者が一日でも早く離婚を成立させ、浮気相手との再婚を望む場合には、お金で解決するのが合理的な選択肢になります。
「相場よりも高い500万円の支払いを約束するから離婚を認めて下さい」と先方から持ちかけてくることもあるでしょう。
浮気相手を訴えない代わりに金銭を受給(2-1-1-2)
浮気相手が確定しているのであれば、浮気相手に話を通すことも考えられます。「あなた私の配偶者と浮気をしたのね!訴えるわよ」と追及すれば慰謝料を支払う人もいます。
例えば配偶者と浮気相手が同じ職場で勤務していれば、不倫の話題が噂になって職場に居ずらくなるよりは、お金で解決するのが合理的な選択肢になるでしょう。
世間体が気になるお家柄・職業(2-1-1-3)
世間体が大事なお家柄・職業も人達も、離婚の顛末に口を閉ざすことを条件に金銭的な援助を申し出てくれる可能性もあります。
どうしても跡取りの親権が欲しい配偶者(2-1-1-4)
跡取りが絶対に必要な家の場合には、親権争いを避ける代わりに解決金を支払ってくれる可能性もあります。
以上のように相手に弱みがあったり、お金よりも守りたい大事なものがあれば、慰謝料の請求に成功することがあります。
なお以上で説明した金銭的なやり取りは、慰謝料というよりは「解決金」と呼んだ方がしっくりくるかもしれません。
ただし交渉時に脅したり、確証がないのに悪い噂を周囲に言いふらせば名誉棄損で逆に訴えられてしまいますので、くれぐれも注意してください。
配偶者の無知につけこむ場合(2-1-2)
配偶者の無知につけこんで慰謝料を請求する方も存在します。
もちろん本来は、正当な理由がなければ慰謝料を支払う義務は存在しないのですが、「あなたは慰謝料を支払う必要がある!」と堂々と要求することで、慰謝料の支払いを約束する人がいます。
そんなバカな!?と思ったかもしれませが、離婚後に弁護士に泣きついてくる人は少なからずいるのです。以下のように要求されれば、誠実な人こそ反論できないのです。
- この歳で再婚するのは難しい
- 箱入り娘をよくも傷つけてくれたな
- 結婚でキャリアを捨てたのに! etc
そして本来支払う必要がない慰謝料を支払ってしまうのです。しかし繰り返しになりますが、正当な理由がないかぎり慰謝料を支払う必要はありません。
「正当な理由なく支払ったカネなら離婚後に取り戻せる」のと考える人もいるかもしれませんが、公正証書を作成しているような場合は泣き寝入りするしかないのが現状です。
配偶者の気前がいい場合(2-1-3)
配偶者の気前がよく慰謝料を支払ってくれる場合もあります。海外の男性の中には、離婚する奥さんに高価な不動産を買い与える人がいます。
「必要ないのになぜ高価な不動産を買い与えるのか?」と質問したことがあります。すると「ケチだと思われたくないし、いつ本国に戻るかわからないから」とのことでした。
この話で伝えたかったのは、交渉相手の価値観や経済的な懐具合によっては慰謝料請求に苦労することはないということです。
さて、これまでは交渉により慰謝料(もしくは解決金)を勝ち取る戦略を説明しました。
しかし交渉戦略が成立するのは相手が支払いに納得する場合のみです。もしも相手が慰謝料(もしくは解決金)の支払いを拒否したらどうすればいいでしょうか?
これから説明する証拠戦略で戦うには、交渉戦略の知識だけでなく、もう少し法律的な知識も必要になります。さっそく説明していきます。
証拠戦略(2-2)
証拠戦略は、慰謝料の本来の意味に立ち返って慰謝料を請求する方法です。つまり精神的な苦痛を武器に、話し合いにより慰謝料を請求するのです。さて、ここで知っておくべきことは以下の3点です。
- 精神的な苦痛とは何か?
- 認められやすい精神的苦痛
- 精神的な苦痛の証明方法
精神的な苦痛とは何か?(2-2-1)
慰謝料の定義をおさらいしておきましょう。慰謝料とは「精神的な苦痛を与えた者に対する損害賠償」です。
つまり精神的な苦痛を与えられれば損害賠償を請求できます。例えば離婚時に認められる精神的な苦痛には以下のようなものがあります。
- 不貞行為
- 暴力
- 心理的虐待
- 性格の不一致
- 性の不一致
- 信仰の不一致
- 親族の不和
- 犯罪行為
- 浪費・ギャンブル etc
認められやすい精神的苦痛(2-2-2)
少し現実的な話をします。証拠戦略では、話し合いにより慰謝料を請求します。
「話し合い」の部分が、後ほど説明する「調停・裁判戦略」との大きな違いです。つまり慰謝料を支払ってもらうように相手を説得しなければいけません。
もちろん、精神的な苦痛をあなたが感じたのであれば訴えること自体は自由です。しかし「請求できる」のと「勝ち目がある」には深い隔たりがあることは覚えておきましょう。
あなたに非現実的な話をしても意味がありません。そのため、証拠戦略において「勝ち目がある」条件について説明しておきます。
証拠戦略において勝ち目があるのは「不貞行為」か「暴力・心理的虐待」です。なぜならば、不貞行為や暴力は「精神的被害が認められやすい」からです。
不貞行為は民法で規定された貞操義務に違反しています。また、暴力は配偶者暴力防止法でも禁止されています。
つまり法律違反の行為による被害であれば精神的被害を受けていると想像できるのですが、その一方で性格の不一致、性の不一致などでは精神的被害が認められにくいのです。
精神的な苦痛の証明方法(2-2-3)
証拠がなにもないのに「精神的な苦痛」を認めさせることは難しいです。少なくとも証拠の存在をにおわせる必要があります。(証拠を見せろといわれたら厳しいですよね)
精神的な苦痛を認めさせる証拠の集め方は、後ほど詳しく説明します。さて、これまで説明した「交渉戦略」、「証拠戦略」は話し合いで解決する方法です。
実際に離婚する夫婦全体の9割が、協議離婚(話し合い)で離婚しているのが実情ですから、いかに話し合いが重要かわかると思います。
ですからあなたが慰謝料を請求する場合には「交渉戦略」、「証拠戦略」のいずれかで勝負を決めるのが現実的な選択肢になるでしょう。
しかし離婚問題は話し合いで決着するとは限りません。残念ですがそれが現実です。離婚する夫婦の1割程度は、家庭裁判所の調停・裁判を経て離婚しています。ここからは調停・裁判で慰謝料を請求する方法を紹介します。
調停・裁判戦略(2-3)
「交渉戦略」、「証拠戦略」は夫婦間の話し合いでした。しかし、調停や裁判では正真正銘の専門家が介在します。
離婚調停では、「調停員」と呼ばれる家庭裁判所の職員が話し合いに参加します。また裁判では、家庭裁判所の裁判官が厳しい目で慰謝料請求の妥当性を検証します。
そのため仮に調停・裁判に突入しても、以下の条件に当てはまると慰謝料が認められません。
- 有責行為と婚姻破綻との間に因果関係がない場合
- 慰謝料を支払わせる程度の有責行為がない場合
- 破たんの責任が同等の場合、あるいは請求側に非がある場合
- 有責性の証明ができない場合
調停・裁判離婚について詳しく説明したいところですが、本記事の本旨ではないので割愛します。離婚調停について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

さて、慰謝料請求の基本的な戦略を3つ紹介しました。ここまでの話をまとめると、慰謝料請求するには最低限以下のものが必要です。
- 配偶者・関係者の弱み
(こちらの強み) - 粘り強い交渉力
- 証拠
上記3つのうち、慰謝料請求を一番成功に近づけるのは「証拠」です。なぜならば弱みを握り、粘り強く交渉しても慰謝料の支払いに合意する保障はないからです。
その一方で「証拠はあがっている。わざわざ裁判する?」と強気にでるだけで、「これは勝てない」と相手が判断し、早期決着につながることもあります。
もしも証拠戦略で戦うことを想定しているならば、証拠を収集してください。なぜならば、交渉戦略の途中で証拠を掴むのは難しいからです。
「浮気しているのは知ってるよ!」とプレッシャーをかけてから証拠を掴むのは、どう考えても難しいのです。ここからは、証拠収集の方法を詳しく紹介していきます。
証拠収集について(3)
証拠収集について基本的な知識から順に説明していきます。
- 証拠収集のキホン
- 証拠収集の方法
証拠収集のキホン(3-1)
- 配偶者の携帯電話を見てもよいのか?
- 配偶者宛の封書を勝手に開封してもよいのか?
- 証拠収集がバレないか不安
- どのタイミングで問い詰めるべきか
配偶者の携帯電話を見てもよいのか?(3-1-1)
夫婦といえでも独立した個人です。配偶者の携帯電話のメールや着信履歴をみることはプライバシーの侵害です。ですから携帯電話の中身をみることで民事上の責任が問われる可能性はゼロではありません。
もしかすると「可能性がゼロ」ではないといわれると配偶者の携帯を覗くことに尻込みするかもしれません。しかしプライバシーの侵害により民事上の責任を追及するのは難しいのです。ですから特に心配する必要はありません。
まず携帯電話をのぞいたぐらいであれば、刑事罰で訴えられることはありません。警察も暇ではありません。つまり警察官に捜査されてお縄になるということはないのです。
仮に民事で訴えられたとしても損害賠償請求で済みます。しかし民事で損害賠償請求することだってカンタンではありません。なぜならば裁判所で訴えるためには以下の点をクリアしなければいけないからです。
- 不法行為の場合は裁判自体受付けてくれない
- 直接的損害金額が明確
- 裁判官が認めるような表現での証明が必要
- 侵害されたプライバシーは裁判で公になる
例えばあなたが相手の携帯電話を覗いたとします。あなたが携帯電話の中身を見たことが発覚するのはどんな時でしょうか?それは浮気をにおわす証拠が見つかり、配偶者を追及する時だと思います。
しかしこの時点で配偶者は不法行為を犯している可能性が高いので、裁判自体受付けてくれない可能性が高いです。なぜならば、配偶者の主張は「自分はルール違反(浮気)を犯したけど、相手はルール違反をしてはならない」という身勝手なものだからです。
また仮に裁判が受付けられたとしても、あなたがメールを見たことによる損害を証明する義務があるのは配偶者の方です。さらに裁判になれば、配偶者のメールの中身は裁判で全て公になります。
以上のリスクを冒してまで、配偶者はあなたをプライバシーの侵害で訴えることはあるでしょうか?とはいえ、配偶者の携帯の操作方法によっては刑事罰の対象になる可能性があります。
例えば、以下のような行為は刑事罰の対象になるので絶対に避けるべきです。
- 携帯電話に行動監視ツールを無断で導入する
- セキュリティーを通信回線を介して解除する
配偶者宛の封書を勝手に開封してもよいのか?(3-1-2)
配偶者の封書を勝手に開封してもよいか悩むことがあると思います。代表的な例は、クレジットカードの明細書から浮気の痕跡を掴みたい場合だと思います。
お金の流れから、いつどこで食事をした、ホテルに行ったなどの情報がわかることもあります。また不倫相手からの手紙であれば、手紙の内容から不倫の事実が発覚することもあります。
結論からいえば「開封された信書」をみた場合には、民事上の責任には問われる可能性はありますが、刑事上の責任を問われる可能性はほぼありません。また民事上の責任を追及する難しさは既に説明したとおりです。
一方で「開封されていない信書」を開封して中身をみることは刑事罰で訴えられる可能性があります。配偶者の信書を開封することで刑事罰が科されることもほぼないでしょうが、どうしても相手から訴えられる恐怖があれば、開封された信書を見るにとどめておきましょう。
証拠収集がバレないか不安(3-1-3)
不貞行為の証拠収集をしている事実を勘付かれてはいけません。浮気の証拠は、相手が油断しているから取得しやすいのです。
相手が警戒していると、証拠を抹消したり、尾行を警戒されてしまいます。証拠収集の事実がバレるぐらいであれば、最初から証拠収集しないほうがマシです。
どのタイミングで問い詰めるべきか(3-1-4)
浮気を疑わせる証拠が見つかれば、興奮して相手を問い詰めてしまうかもしれません。問い詰めることで問題が解決し、気分をスッキリさせたいのであれば、問い詰めてください。
しかし慰謝料を請求するのであれば、確実な証拠を掴むまで問い詰めてはいけません。なぜならば、浮気の事実を認めなかったり、今後証拠を掴みにくくなることが予想されるからです。
最後に
慰謝料請求について詳しく解説してきましたが、慰謝料を妥協するかわりに、他の要素(財産分与、親権、面会交流権等)で好条件を要求するという手もあります。
慰謝料だけにこだわらず、離婚問題全体で最大限納得のいく結果が得られるように努力することが大切です。