弁護士から届いた通知書の中身をみると、以下の2点が記載されていると思います。
- 送り主の弁護士が配偶者の代理人
- 配偶者に直接連絡するな!
頭が真っ白になって何をすればいいかわからない方も多いと思いますので、本記事では『配偶者の弁護士から通知書が届いた時の対策』を整理しておきます。
交渉の方向性(1)
最初に先方が求める交渉の方向性を探りましょう。通知書が届いた段階で、取りうる選択肢は4つあります。
- 離婚協議(話し合い)
- 円満調停
- 離婚調停
- 不明
離婚協議(1-1)
一番多いパターンは、離婚協議です。離婚協議とは、話し合いで離婚問題を解決するということです。
先方が離婚協議を求めてくる場合、先方のスタンスを探る必要があります。例えば離婚前提の話し合いなのか、それとも話し合う余地があるのでしょうか?
円満調停(1-2)
先方が離婚したくない場合、円満調停を申し立てる可能性もあります。円満調停とは、正式には「夫婦関係調整調停(円満)」といいます。家庭裁判所で、調停委員を介して、夫婦関係修復に向けた話し合いをすることを指します。
離婚調停(1-3)
離婚調停(離婚)とは、正式には「夫婦関係調整調停(離婚)」といいます。家庭裁判所で調停委員を介して、離婚に向けた話し合いをすることを指します。
不明(1-4)
相手がどのパターンで攻めてくるかわからないことがあります。正直、一番手ごわいタイプです。
通著書だけ送りつけてきておいて、あえて静観する弁護士もいます。あくまでケースバイケースですが、こちらからアクションを取る必要もあります。以上の4パターンの目星がついたら、ここから先をご覧下さい。
なお、裁判の選択肢はないのか?と疑問に感じた人もいるかもしれませんが、日本では調停を経ずに裁判を起こすことはできません。
また裁判をすれば離婚問題が長期化するのは明らかです。そのため率先して裁判で戦おうとする人はほとんどいません。実際に裁判で離婚を成立させた夫婦は、離婚した夫婦全体の1%程度です。
無視しない(2)
通知書を無視してはいけません。先方が「話し合っても無駄だ」と判断すれば直接あなたと協議をすることを諦めて、家庭裁判所の調停を申し立てる可能性がありますし、仮に調停に進んでしまえば、配偶者と直接話し合える可能性は皆無です。
調停ともなればあなたの主張は調停員を介してでしか伝えられなくなってしまいますし、調停が開催される度に家庭裁判所に足を運ばなくてはなりません。調停は平日に開催されますし、開催場所が相手の住所地に近い家庭裁判所になる可能性もあります。
以上、通知書を無視した時のデメリットは大きいのでくれぐれも注意する必要があります。
返事をいそがない(3)
話し合いに応じたからといって、すぐに決断を下す必要はありません。まずは先方の主張を理解することを最優先にしましょう。
先方はあなたの意向を探ってくると思いますが、下手に情報を流すべきではありません。
「突然の呼び出しに混乱している。」「考えの整理がつかない」などといって時間稼ぎをすることを優先させましょう。そして必要な知識をインプットするのです。
相手の要望を探る(4)
相手側との話し合いの中で、相手の願望を探っていきましょう。先方が、「離婚」、「お金」、「子供」のどれを最優先にしているか探るのです。
先方は離婚を急いでいるでしょうか?急いでいないでしょうか?離婚する意思は揺るがないでしょうか?迷っているでしょうか?
相手方の要望によってはすぐに離婚に応じたほうがいいと判断することもあるでしょうし、逆に徹底的に戦わざるを得ないと覚悟を決める必要もあるでしょう。
専門家の助言(5)
先方の主張がわからなければ、気軽に質問しましょう。先方の弁護士は、あなたの味方ではありませんが、必要な知識は解説してくれるはずです。
ただし雲行きが怪しくなってきたら、あなたも弁護士に相談することをおすすめします。また先方の提示する条件が妥当かわからないなら、焦らず専門家に相談しましょう。
調停離婚や裁判では判例から大幅に乖離した決定は下りませんが、その一方で協議離婚では、大幅に相場と乖離した条件を提示される可能性もあるのでくれぐれも注意しましょう。(早く離婚したい一心で、大金を黙って支払ってしまった例もたくさんあります!!)
離婚したい理由を整理(6)
相手側から円満調停を申し立てられたとします。あなたが離婚したいなら、配偶者と離婚したい理由を明確にする必要があります。
相手側が申し立てた円満調停の中で、あなたが離婚を主張しても問題はありません。調停委員を味方につけるためにも、効果的な主張を探すことをおすすめします。
そのための第一歩としてオススメできるのが、事実関係を整理することです。きっと事実に基づいた客観的な主張の材料を探すことができるでしょう。

婚姻費用は支払う(7)
あなたが先方よりも高収入ならば、婚姻費用は支払うのが無難です。夫婦円満、離婚のいずれを望むにせよ、婚姻費用の不払いは状況を不利にするだけです。
例えば先方が夫婦円満を望む場合には「扶養義務に違反しているで婚姻費用を支払ってほしい」と主張されるでしょうし、逆に先方が離婚を望んでいる場合には「お金を支払わない人とは離婚したい」と主張されてしまうでしょう。
なお婚姻費用については以下の記事に詳しくまとめていますので、興味があれば参考にしてください。

専門家の助言をもらう(8)
必要に応じて専門家の助言をもらうことは必須です。特に離婚調停中に雲行きが怪しくなってきたら、離婚に強い弁護士の助けを借りるべきです。
もしも弁護士の助けを借りるのであれば、1回目の調停が終了した時点で決断してください。いくら優秀な弁護士であっても、調停の終盤では巻き返すことが難しくなってしまうからです。
相手に揺さぶりをかける(9)
弁護士からの通知がきても、次のアクションが見えない場合もあります。相手の意図が不明なら、こちらから揺さぶりをかける必要があるかもしれません。
例えば別居している配偶者が、「離婚したい」と主張しているとします。それにも関わらず、離婚協議も離婚調停をも長引かせようとするケースがあります。
先方の狙いは、婚姻費用を確保して、離婚後の生活準備をすることなのでしょう。いずれにせよ、先方には時間を稼ぎたい理由があるはずです。
婚姻費用を支払う側とすれば、「離婚したいなら離婚してくれ!」という気持ちになるでしょうが、そんな時は、相手の意図をあやふやにすることも許してはいけません。こちらから「夫婦円満調停」を申し立てて、先方の離婚したい意思をあぶりだすなどして先手を打つことも検討しましょう。
配偶者を調停の場に引き込み「離婚希望」、「離婚したくない」など主張させるのです。一人で作戦を考えるのが不安なら、一緒に戦略を立ててくれる専門家を探しましょう。
まとめ
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