離婚調停の場合、裁判官あるいは調停官1名と、調停委員2名の合計3名が調停委員会を組織して対応することになりますが、裁判官以外の「調停官」、「調停委員」という役職についてよく知らないという人も多いと思います。
あなたの案件を担当する人たちは一体どういう人たちなのでしょうか?調停に関わる人たちについて詳しく解説していきたいと思います。
家事調停委員
離婚調停において表立って当事者(申立人・相手方)の間に入って調整するのは調停委員という人たちです。
調停委員は、調停に一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人のなかから選ばれます。
「もしかして・・・・ちょっと年配の方が多いの?」と思った方もいると思いますがその通りです。年齢構成比でいうと60代が約70%で40代以下は0.2%しか存在しませんし、職業も多岐にわたります。
- 70代以上 ⇒ 63人(0.5%)
- 60代 ⇒8,295人(70.3%)
- 50代 ⇒2,452人(20.8%)
- 40代 ⇒ 973人(8.2%)
- 40代未満 ⇒ 20人(0.2%)
- 弁護士
- 医師
- 大学教授など
- 公務員
- 会社・団体の職員
- 農林水産業
- 商業・製造業
- 宗教家
- 公認会計士・税理士・不動産鑑定士・土地家屋調査士 等
- その他
- 無職
「もしかして・・・・自分も家事調停委員になれるの?」と思った方もいるでしょうが可能性がないわけではありません。調停委員になるのは自薦、他薦とありますが裁判所で調停委員にふさわしい人かどうか書類や面接で審査されます。調停委員は誰にでもなれるわけではありませんが、法律の知識は問われません。
なお離婚調停では、男性の調停委員1名、女性の調停委員1名の組み合わせで行われています。
裁判官・家事調停官
調停の進め方や調停案を検討する際には、裁判官を交えて評議しますが、裁判官が表にでてくることはほとんどありません。申立人および相手方に対する聞き取り調整はすべて調停委員に任せています。
裁判官が登場するのは、調停の最後です。合意ができた場合には、裁判官が登場して調停条項を読み上げ調停の成立を確認しますし、合意ができなかった場合でも裁判官が登場して不成立が宣言されて調停が終了します。
繰り返しになりますが裁判官はあまり表にでてきません。しかし調整が難しい場合には、裁判官が立ち会うこともありますし、こちらから調停委員に「裁判官に立ち会ってほしい」と希望を伝えることも可能です。
もちろん要望通りに裁判官が調停に立ち会ってくれる保証はないのですが、その要望が出てきたことは裁判官に伝わり、調停を前に進めるための評議はしてくれるはずです。
家事調停官とは、調停において裁判官と同じ権限を持つ人たちのことであり、裁判所のホームページでは以下のように説明されています。
民事・家事の調停事件について,裁判官と同等の権限で調停手続を取り扱う非常勤職員。調停官は,5年以上の経験を持つ弁護士の中から任命されます。
【引用:裁判所】
家庭裁判所調査官
家庭裁判所調査官とは、子どもの親権や面会交流が争点になると予想される場合に登場する、心理学や社会学等の専門知識をもった人たちのことです。
家庭裁判所調査官の主な仕事は「事実の調査」です。子どもの親権や面会交流や争点になる場合には、子どもの現在の監護状況・子どもの意向や心情といったものが重要になりますがそれらを子どもを含む関係者からヒアリングするのです。
家庭裁判所調査官は、調査した結果を報告書にまとめて裁判官に提出するのですが、この「調査官の意見」は裁判官がとても重視する報告書として知られています。
裁判所書記官
裁判所書記官は、裁判官と同様にあまり表にでてくることはありませんが、調停期日の調整をしたり、調停調書の作成や交付といった仕事をしています。
調停が成立した時や、不成立のときに、裁判官と一緒に調停に立ち会います。