調停調書には裁判で裁判官が下した判決と同じ強い力があります。

特に「給料から養育費を支払ってもらう場合」については、調停調書の形で約束することの意義が大きいので詳しく説明します。
将来の養育費も差押え
強制執行する場合、一般的にはその期限が来ないと強制執行することはできません。例えば今月末に支払期限のくる10万円の債権をもっていても、来月にならなければ10万円を強制執行することはできません。
ところが養育費については法律上特別扱いされていて、一度給料を差し押さえると、まだ期限が来ていない将来のものについても差し押さえの効力が及ぶのです。
差し押さえの範囲が広い
もらう人にとっての給料は、生活の糧になるものです。給料がなければ生活が困窮するのは目に見えていますので、仮に給料の金額以上の債務・借金を背負っていたとしてもその全額を差し押さえられるわけではありません。差し押さえられる給料の割合は、給料の4分の1までと法律で決まっています。
ところが養育費については、給料の2分の1まで差し押さえることができるのです。
最後に
日本はもともと『契約書』よりも『口約束』の文化が根強く、口約束の中身も「悪いようにはしないから」というような曖昧なものであったりするのですが、離婚前の夫婦においては「悪いようにしないから」という口約束だけでは心もとないのが実情でしょう。
「養育費はきちんと●●万円支払う」と約束すれば大丈夫かと思われるかもしれませんが、将来のことはわかりませんので養育費の支払いの約束は、調停調書のなかでキチンと形にしておくと安心です。