離婚調停の陳述書を自力で作成する簡単3STEP

離婚調停 陳述書

離婚調停で「自分の主張を認めてほしい」と願っているにも関わらず、最大限の努力をしている人はそれほど多くありません。

離婚調停を効果的かつ効率的に進めるために有効な手段の一つに「陳述書」の作成があります。陳述書とは、離婚調停の申込み書類(事情説明書)で説明しきれない思いを伝える書類です。

そこで本記事では、陳述書を作成するために必要な知識をお伝えしていきます。

なお陳述書のサンプルをダウンロードしていただけます。(使用する場合には、自己責任でお願いします。)

MEMO

陳述書がなぜ必要なのか?(1)

そもそも離婚調停で陳述書を作成したほうが良いといわれているのはなぜでしょうか?

陳述書を作成すべき最大の理由は、必ず提出すべき「事情説明書」に原因があります。事情説明書を観察すると、記入欄の7番目には、夫婦が不仲になった理由を記載する欄があります。

しかし、いざ不仲になった理由を記載しようと記入欄がせまいことに気付くと思います。「この小さい欄には、とても書ききれない」と感じるに違いありません。

陳述書の記入欄では足りない!

事情説明書 別紙のとおり

だからこそ、より詳しくこれまでの経緯や現状について伝えるための陳述書が必要なのです。陳述書を用意する場合には上図のように、事情説明書の7番目の欄に「別紙のとおり」と記載しましょう。

陳述書を用意するメリット(2)

陳述書を作成する前に、陳述書を用意する3つのメリットを知っておきましょう。

陳述書を作成するモチベーションが俄然アップすると思います。陳述書の作成には、3つのメリットがありますから順に説明していきます。

陳述書のメリット
  1. 時間を有効活用
  2. 抜け漏れがなくなる
  3. わかりやすい・印象がよい

時間の有効活用(2-1)

調停の1回目では、基本的な事柄についての質問を受けますが、しかしいざ説明するとなるとスムーズに満足のいく説明が出来ない人が多いはずです。

第1回目の調停で、現状の確認をするだけで精一杯になってしまうのは少し勿体ないと思います。

陳述書を作成していれば「あの時、ああ言えばよかった!」と後悔することもなく、時間を有効活用することができるでしょう。

調停1回あたりの拘束時間は限られていますし、次回の調停までの期間も1ヶ月程度と少し長いですからぜひとも陳述書の作成に挑戦してみてください。

調停を申し立てた後に、バタバタするぐらいならば最初から陳述書を作成しておくのがあなた自身のためというものです。

抜け漏れがなくなる(2-2)

調停は自分の主張をうまく伝えるプレゼンテーションの場だと心得ましょう。

伝えたいことを100%伝えることができずに後悔するぐらいであれば、事前に伝えたいことを整理するのは有益だと思います。

わかりやすい・印象が良い(2-3)

家庭裁判所は、毎日とても忙しいです。ですから話がわかりづらく、要点が掴めない案件に対してはよい印象をもちません。調停員だって人間なのです。

要点をしっかり伝えてくれる人は、それだけで印象が良くなり感情移入しやすくなります。

陳述書を作成する3つの手順(3)

ここからは陳述書作成の手順を以下の3ステップに分けて説明します。

陳述書作成の手順
  1. 陳述書を作成する準備
  2. 陳述書の構成・ポイントを理解
  3. 陳述書をわかりやすく仕上げる

陳述書を作成する準備(3-1)

陳述書を作成する準備は主に2つあります。

陳述書作成準備のポイント
  1. 事実関係・証拠類の整理
  2. 文章作成ソフトの書式設定

事実関係・証拠類の整理(3-1-1)

事実関係・証拠類の整理でやるべきことは2つあります。

  1. 離婚や慰謝料に関係する事実・証拠類
  2. 財産を証明する証拠

いずれも短期間で完成させるのが難しいので早めに着手しておきましょう。それでは順に説明します。

離婚や慰謝料に関する事実・証拠類(3-1-1-1)

離婚の原因となった事柄を中心に、時系列に沿って一つ一つ箇条書きにしきます。

箇条書きにする際のポイントは、「事実」だけを記載することです。事実に付随する「感情」や「証拠」とごちゃまぜにしないように注意しましょう。

調停委員は陳述書の中で、証拠がある事実をより重視します。そのため証拠がない事実を主張するよりは、証拠がある事実を主張するのが望ましいです。

例えば以下の2つの主張は似ていますが、その重みは全く異なります。

  • 配偶者が浮気をしたのは間違いないんです!
    (× ⇒ 真実かどうか疑わしい)
  • 配偶者の浮気証拠を入手しています!
    (〇 ⇒ 説得力がある)

もしくは、以下の2つの主張も似ていますが、その重みは全く異なります。

  • DVされて精神的にも肉体的にも限界です!
    (× ⇒ 真実かどうか疑わしい)
  • DVされた患部の写真と診断書があります!
    (〇 ⇒ 説得力がある)

もしも現時点で証拠がないのであれば、証拠収集から始める必要があります。

最近では虚偽の証拠を捏造する人達の存在も明らかになり、問題になっています。ですから調停員を安心させるためにも証拠があることが望ましいです。

財産を証明する証拠類(3-1-1-2)

財産を証明するために、財産を一覧にしておきましょう。どのように整理すればいいのかわからなければ、裁判所のフォーマットを利用してください。

なお事実関係・証拠類の整理のやり方は、以下の記事に詳しくまとめています。

文章作成ソフトの書式設定(3-1-2)

陳述書は「わかりやすく」が基本です。あなたの主張をわかり易く伝えるから意味があるのであって、わかりにくければ逆効果です。

ですから陳述書に小さい文字でびっしりと記載するのは控えましょう。おススメは、裁判所のワープロの書式設定と同じ書式で陳述書を用意することです。具体的には、以下の書式に設定しましょう。

  • 字の大きさは12p
  • 1行あたりの文字数は37文字(全角)
  • 1ページの行数は26行
  • ページ番号を振る

陳述書の構成・ポイントを理解する(3-2)

陳述書の構成、ポイントを以下の6つの観点から解説します。

陳述書の内容
  1. 離婚原因
  2. 親権
  3. 養育費
  4. 財産分与
  5. 慰謝料
  6. 年金分割
  7. 証拠説明書

下図は陳述書の構成やポイントをまとめたものですが、唯一の正解というわけではありません。もしも、ご自身で説明しやすい流れがあれば、適宜変えてください。

陳述書の構成・ポイント

陳述書 構成 ポイント

陳述書のタイトルは「陳述書」だけでも構いません。今回は「夫婦が不和になったいきさつ、および調停を申し立てた理由」としました。

それでは各要素ごとに陳述書に書くべきポイントを説明していきます。

離婚原因(3-2-1)

離婚原因におけるポイントは3つです。

離婚原因におけるポイント
  1. 基本的なイベント情報
  2. 離婚の原因となる出来事
  3. 調停に至る経緯
基本的なイベント情報(3-2-1-1)

夫婦の歴史をかいつまんで説明しましょう。

「交際開始の時期」、「入籍日」、「同居日」、「子供の生誕日」などを記載します。

離婚の原因となる出来事(3-2-1-2)

結婚することを夫婦で決断したのですから、夫婦円満の時期もあったはずです。

夫婦円満を揺るがすきっかけとなった以下のような事柄を記載しましょう。

  • 朝帰りをするようになった
  • 急に仕事の帰りが遅くなった
  • 携帯電話を肌身離さず持ち歩くようになった
  • 興信所に調査により浮気が発覚
調停に至る経緯(3-2-1-3)

夫婦間の問題は、夫婦間で話し合うことが基本です。ですから夫婦で問題解決に向けた話し合いをしていることが調停の前提となります。

夫婦円満の障害となっている問題について、どの程度夫婦で話し合ったのか記載しましょう。

もしくは、配偶者が話し合いに応じないのであれば、その旨を正直に記載しましょう。さらに現在の状況(別居なのか同居なのか、誰と住んでいるのか等)を記載しましょう。

親権(3-2-2)

親権について記載する上でのポイントは3つあります。

離婚原因におけるポイント
  1. 子供にとってあなたが必要な理由
  2. 離婚後の生活設計
  3. 相手方が親権者としてふさわしくない理由
子供にとってあなたが必要な理由(3-2-2-1)

親権を望む場合は、子供にとってあなたが必要な理由を記載しましょう。

あなたがどのように子供とふれあい育ててきたのかがわかるエピソードを紹介しつつ説明すると調停員に伝わりやすいと思います。

離婚後の生活設計(3-2-2-2)

離婚後の生活設計について説明しておきましょう。親権が欲しい場合には、あなたと生活しても子供は不利益を被ることはないと主張してください。

特に今まで専業主婦だった方は、離婚後の仕事や離婚後の住まいには困らないことを主張すべきです。一方で男性サラリーマンであれば仕事と育児の両立ができることを主張すべきです。

相手方が親権者としてふさわしくない理由(3-2-2-3)

相手方が親権者としてふさわしくない理由があれば説明しましょう。例えば以下のような事情があれば親権を勝ち取る上で有利になると思います。

  • 暴力を振るう
  • 借金苦である
  • 浮気相手を家に連れ込む
  • 今まで子育てに非協力的だった

養育費(3-2-3)

養育費について記載すべきポイントは2つあります。

離婚原因におけるポイント
  1. 養育費算定の根拠
  2. 高額な養育費が必要な理由
養育費算定の根拠(3-2-3-1)

養育費算定の根拠を記載しましょう。なお養育費については裁判所が公表している算定表を利用するのが一般的です。

しかしもっと簡単に養育費を算定する方法もありますから必要に応じてチェックしてください。

ちなみに相手の年収がわからない場合は不明と記載するしかありませんが、あきらめるのは早いです。配偶者の年収を調べる手立てが全くないわけではないので以下の記事も参考にしてください。

残念ながら配偶者の年収がわからないこともあります。もし配偶者が収入を隠しているのであれば「こちらは年収を伝えているのに相手は隠しているのは不公平だ」というニュアンスを伝えましょう。

高額な養育費が必要な理由(3-2-3-2)

繰り返しますが、基本的に子供の養育費は算定表を用いるのが一般的です。そして算定表から大きく外れた養育費で落ち着くことは、ほとんどありません。

しかし条件が揃えば高額な養育費を請求することも可能です。代表的な例は、夫婦がお互いに必要な養育費について合意している場合です。

例えば質の高い教育を受けさせるための必要経費の負担に合意しているのであれば、その旨を陳述書に記載しましょう。

財産分与(3-2-4)

財産分与は、夫婦共有財産を半分にするのが原則です。ですから原則に従うのであれば主張すべきことはありません。ただし原則から外れた要求をしたい場合には、その根拠を伝える必要があります。

例えば「配偶者がまったく働かないので、半分より多い財産分割を望む」などと主張すべきことは主張しましょう。財産分与の詳しい考え方は以下の記事にまとめていますので参考にしてください。

慰謝料(3-2-5)

慰謝料は、精神的ダメージを受けた場合に請求できるものです。ですから精神的ダメージを受けた時のエピソードを、事実を中心に記載していきましょう。

しかし精神的ダメージを文章で説明することは、非常に困難です。またその事実が真実であるかを証明するものがないと、調停委員も信じていいかわかりません。

そのため慰謝料を請求する場合にはあなたの主張を裏付ける証拠が必要不可欠です。

例えばDV被害にあったのであれば「医師の診断書」があるのが望ましいです。また浮気をしていたのであれば「浮気の調査報告書」等が必要になります。

なお慰謝料について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。

年金分割(3-2-6)

「年金分割についての情報通知書」を年金事務所から取り寄せて、そのコピーを添付しましょう。しかし仮に取り寄せる手続きをしても、実際に書類が到着するまでには1ヶ月程度の時間がかかります。

もしも取り寄せることができなければ「年金分割の割合は、0.5が適当である」とだけ記載しておきましょう。なお「年金分割についての情報通知書」を提出する場合には、コピーを提出しましょう。

なぜならば一度提出した書類は、返却してもらえないからです。もしも原本を提出してしまえば、調停が不調に終わり裁判に突入する時に原本がなくて困ることになります。

年金分割について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧下さい。

証拠説明書(3-2-7)

証拠証明書とは「証拠のタイトル」と「証拠で証明したいこと」をまとめた書類です。本来は裁判の時に提出するものであり、調停で必ずしも必要なものではありません。

しかし証拠が多いのであればまとめておくのが親切心というものです。証拠説明書の書式は、裁判所のホームページからダウンロードできます。

参考

民事訴訟で使う書式(松江オリジナル)裁判所

上記の記事では沢山の書式が紹介されていますが、今回必要なのは番号21から番号22-3までです。

証拠説明書

そして実際に提出するのは「証拠説明書」(番号22-1)、「証拠説明書継続用紙」(番号22-2)の2つです。記載例は離婚とは直接関係ありませんが、以下がわかりやすいので参考にしてください。

写しと原本の区別

書類を記載するときに悩むのが、「写し」と「原本」の区別だと思います。

原本とは、コピー前の原本が手元にありいつでも見せることができる状態のものをいいます。そうでないものを、「写し」といいます。どちらにすべきか迷った場合には、「写し」としておくのが無難です。

陳述書をわかりやすく仕上げる(3-3)

書くべきことがわかったら、陳述書をわかりやすく仕上げましょう。わかりやすく仕上げるコツは3つあります。

陳述書作成準備のポイント
  1. 何度も読み返してみる
  2. 図や表を用いる
  3. 体裁を整える

何度も読み返してみる(3-3-1)

自分で読んでわかりやすいと思える文章になるまで、何度でも書き直しましょう。時間をおいて読み直すのも効果的です。

「何も事情をしらない第三者が読んでも理解できるか」と自問自動しながら書くとわかり易い文章になります。

図や表を用いる(3-3-2)

図や表を作成する技術があれば、必要に応じて図や表を用いましょう。文章だけの陳述書よりも断然わかりやすくなります。

図を用いたほうが良いものの代表例は「人間関係図」です。登場人物が夫婦や子供以外にも複数人登場する場合には、人間関係図があった方が親切です。

人間関係図の例

陳述書 人間関係図

書式を整える(3-3-3)

最後に、書式を整えましょう。整えるポイントは2つあります。

離婚原因におけるポイント
  1. 作成年月日と提出する裁判所名
  2. 末尾に氏名と捺印
作成年月日と提出する裁判所名(3-3-3-1)

平成○○年○○月○○日 ○○家庭裁判所○○支部 御中」のように表紙に記載しましょう。

末尾に氏名と捺印(3-3-3-2)

末尾には、氏名と捺印を忘れないようにしましょう。

陳述書の作成に弁護士は必要か?(4)

陳述書を作成すること自体に、弁護士は必ずしも必要ありません。もしかすると弁護士よりも、実際に体験したあなたの方が調停員の心に響く陳述書を作成できるかもしれません。

しかし弁護士に依頼するメリットがないわけではありません。調停に数多く参加した経験のある弁護士であれば、何を強調すれば有効なのかを熟知しています。

またわかりやすい陳述書を作成するライティングスキルにも長けているでしょう。

陳述書を作成する時間を捻出できなかったり、陳述書を作成する上で困ったことがあったら、後悔しない離婚手続きのためにも弁護士に相談することは有益だと思います。

まとめ

陳述書は、自分の思いの丈を伝える大事な書類です。

特に人前で緊張する口下手な方にとっては、陳述書をは調停本番の心強い味方になるでしょう。

なお離婚調停全般の手続きについて確認したい方はこちらの記事もご確認ください。