離婚準備なう。

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嫁姑問題で離婚は認められるのか?親族との不和問題を徹底解説!

嫁姑問題で離婚は認められるのか?親族との不和問題を徹底解説!

嫁と姑の対立が深刻になると離婚問題に発展します。

また、親族間の不和は、嫁姑問題に限りません。

  • 嫁 VS 夫の両親
  • 夫 VS 妻の両親

相手方の親と折り合いがつかずに離婚を決意する人は少なくありません。

親族との対立がなぜ夫婦関係の破たんにつながるのでしょうか?

その理由は、「配偶者の頼りなさ」に怒りを覚えるからです。

唯一の味方のはずの配偶者が味方になってくれないと孤立を深めます。

そこで本記事では嫁姑問題に限らず、親族との不和により離婚できるのか解説します。


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嫁姑問題で離婚できるのか?

本記事は、以下のテーマに沿ってわかりやすく解説していきます。

  1. 嫁姑問題で離婚が認められるのか?
  2. 妻が怒りを覚える夫の行動
  3. 親族との不和で離婚を決意する割合
  4. 裁判の事例

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嫁姑問題で離婚が認められるのか?(1)

嫁姑問題で離婚が認められるのでしょうか?

まずは、民法770条第1項の規定を確認しておきます。

民法770条第1項で離婚が認められる理由は5つあります。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復の見込みのない重度の精神病
  5. 婚姻を継続しがたい重大な事由

上記項目には、嫁姑問題に直接当てはまる項目はありません。

そのため、嫁姑問題で離婚を求める場合は「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当てはまると主張することになります。

つまり、嫁姑問題をキッカケとして夫婦関係が破たんしまい、回復する見込みがないと認めてもらう必要があります。

さて、嫁姑問題が夫婦関係にまで影響するのはなぜでしょうか?

その理由は「なぜ夫は自分を助けてくれないのか?」という不満・怒りが根底にあるからです。

では、具体的にどのような夫の行動が妻の琴線に触れるのでしょうか?

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妻が怒りを覚える夫の行動(2)

妻が怒りを覚える夫の代表的な行動を箇条書きにします。

  • 妻の目の前で姑を擁護する
  • 問題を直視しない(なだめるだけ)
  • 対話を避ける(妻の話を聞かない)
  • 問題を「嫁姑問題」に限定する
  • 嫁姑問題を解決する素振りを見せない

いずれも妻のストレスを溜める夫の行動です。

嫁姑問題の本質に近づくために、そもそもなぜ妻がストレスを抱えるか考えます。

例えば、妻が知らない一般年上女性から嫌がらせを受けたとします。

この場合、妻がとる行動は「無視する」か「反論する」のが一般的だと思います。

では、嫁姑問題ではどうでしょうか?

まずは、「無視する」ことは現実的には難しいです。

一時的には無視できても、嫁姑の関係を考えると無視し続けるのは困難だからです。

では、「反論する」ことは?

嫁が姑に反論することも、あまりないと思います。

まずは、納得できなくても我慢する人が多いのではないでしょうか?

ここで、少し立ち止まって考えてみます。なぜ妻は我慢するのでしょうか?

その理由は、姑を尊重しているというよりは、夫を尊重しているからです。

妻は、姑との関係が壊れることは、少なからず夫との関係性に悪影響を与えることを理解しているのです。

さて、このような心理状況で夫の以下のような行動をみたらどう思うでしょうか?

  • 妻の目の前で姑を擁護する
  • 問題を直視しない(なだめるだけ)
  • 対話を避ける(妻の話を聞かない)
  • 問題を「嫁姑問題」に限定する
  • 嫁姑問題を解決する素振りを見せない

頼りない夫の態度に失望してもおかしくはありません。

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親族との不和で離婚を決意する割合(3)

離婚 親族との不和

長年にわたり親族との不和に悩んでいる人が、離婚を決意することはしばしばあります。

上図は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てた人の割合を示したものです。

家族親族と折り合いが悪いと回答した方は、男性で15%、女性で7%います。

男性の割合も多い実態をみれば、相手方の両親との関係性で悩んでいるのは女性だけではない実態が浮き彫りになります。

男性だって、妻の両親との関係性に悩んでいるのです。

なお近年では、「現代型嫁姑問題」があるといわれています。

現代型嫁姑問題の場合は、同居しているわけでもないのに夫婦の問題に必要以上に親が干渉してくるのです。

親の突然の訪問を無下にするわけにもいかず、ストレスが溜まるというわけです。

さて、嫁姑問題に悩んでいても、その多くは解決しないまでも離婚に発展することは少ないと思います。

しかし、なかには離婚調停・裁判に発展する人達もいることは忘れてはいけません。

ここからは、「親族の不和」に関係する離婚裁判の事例を紹介していきます。

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裁判の事例(4)

親族との不和で裁判になった事例を嫁姑問題に限定せずに紹介していきます。

  1. 夫の連れ子と妻との不和を原因とする妻からの離婚請求
  2. 妻の母と夫の不和を原因とする夫からの離婚請求
  3. 夫の両親と妻の不和を原因とする妻からの離婚請求
  4. 夫の両親による嫁いびりを原因とする妻からの離婚請求
  5. 夫の母と妻との衝突を原因とする夫からの離婚請求
  6. 親族が夫婦円満に積極的な姿勢を見せた事例

夫の両親と妻の不和を原因とする妻からの離婚請求(4-A)

津地方裁判所四日市支部判決昭和37年11月8日(家庭裁判月報15巻4号60頁・判例タイムズ148号92頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒妻(原告)が夫(被告)を訴えた
    【津地方裁判所四日市支部判決昭和37年11月8日】
夫婦の歴史
  • 昭和23年       婚姻
  • 昭和24年4月       長女出生
  • 昭和25年11月     妻が家を出て別居
  • 昭和26年5月       妻が離婚調停申立て
  • 同年          別居解消
  • 昭和33年6月       妻が再び別居

この裁判は、妻が夫に対して離婚を申し立てた事例です。

妻は夫と夫の連れ子4人と同居して、家事や夫の日用雑貨販売業の販売や店番等を行ってきました。

しかし、夫の連れ子は妻に馴染もうとはしませんでした。

また夫は、妻と連れ子の対立を知っていたにも関わらず、問題を改善する積極的な努力をせずに放置しました。

妻は自分の存在意義を家事、営業労働者として酷使されることにすぎないと信じるまでになりました。

その結果、家庭内において妻は精神的に孤立してしまい、妻は夫に対する夫婦としての愛情を失いました。

裁判では、夫婦としての相互の愛情を基礎とする共同生活を営むことを期待することはほとんど不可能になったことから、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして妻からの離婚請求を認めました。

この裁判でお伝えしたいポイントは2つです。

  1. 親族との不和だけで離婚は認められない
  2. 離婚請求が認められた理由
  3. 何もしないのも離婚理由になる
親族との不和だけで離婚は認められない(4-A-a)

実は明治民法では、配偶者の直系尊属(両親、祖父父母等)から虐待または重大な侮辱があった時には、離婚を訴えることができるとされていました。

しかし、明治民法では「家」制度を前提としたからこそ、以上のような規定があったのです。

つまり、結婚したらどちらかの家族と同居するのが一般的だったので、離婚を申し立てる理由の範囲も配偶者との関係性だけに限定せずに「家」の単位で考えていたのです。

今ではピンとこないかもしれませんが、昔は結婚することを当然のように「○○家に入る」と解釈している時代もありました。

現代でも少し地方の田舎にいけば、離婚することが「家」の恥だと認識する方々も少なくありません。

「家」の恥だから離婚は絶対に許さないという主張は、以上のような歴史的な背景があるのです。

一方で、現在の日本国憲法24条の下では、「家」制度を否定しています。

そのため、離婚を申し立てる理由は、あくまで夫婦間における事情のみを問題としなければなりません。

本裁判においても、離婚を認めた直接の理由は、あくまでも妻と連れ子との不和ではなく、妻と夫との不和であることに注意してください。

では、次に興味があるのは、どの程度夫が妻に冷たくしたら離婚が認められるかという点だと思います。

離婚請求が認められた理由(4-A-b)

本裁判においては、夫が連れ子と妻との不和を知りながら放置したことを認定しています。

その上で、夫の以下2点の行為を問題視しています。

  • 妻の精神的、肉体的な苦労を労わらなかった
  • 家庭内での妻の立場に対する配慮が欠けていた

その他、判決に影響を与えた事項を箇条書きにしておきます。

  • 妻が精神的孤立を深めた期間は10年間
  • 妻が夫に対して愛情を喪失していること
何もしないのも離婚理由になる(4-A-c)

本裁判事例において、最後にお伝えしたいのは「何もしないのも離婚理由になる」という事実です。

本裁判の場合、夫は連れ子と一緒になって妻をないがしろにしていたわけではありません。

夫は、妻と連れ子の不和を知りながら、何もしなかったのです。

積極的に蔑ろにするという行為がなくても、離婚理由として認められる可能性があることを知る意味で有益な裁判事例だと思います。

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妻の母と夫の不和を原因とする夫からの離婚請求(4-B)

東京地裁判決昭和38年5月27日(判例時報349号54頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒夫(原告:反訴被告)が妻(被告:反訴原告)と妻の母(被告)
    【東京地裁判決昭和38年5月27日】
夫婦の歴史
  • 昭和28年5月   婚姻
  • 昭和29年10月    長女出生
  • 昭和33年9月      夫は新潟県に赴任、別居開始
  • 昭和33年9月      婚調停申立て

この裁判の登場人物は、夫婦と妻の母の3名です。

事の発端は、妻の母が夫を嫌い、娘(妻)に夫との離婚を強く勧めたことでした。

当初は、母親に反発していた妻でしたが、次第に母親に同調するようになります。

なぜ妻の母親が夫を嫌いになったかといえば、医師として研究職に打ち込む夫の給料が低かったからです。

妻の母親が、夫に隠れて妻に金銭的な援助をしていたことも母親には耐えられなかったのかもしれません。

夫は医師として研究生活を送っていたのですが、妻は研究生活を諦めて臨床医として働くことを強く求めました。

さらに、夫所有名義の家屋を売却し、妻の母親名義で借り受けた借家での生活を無理強いするなどしました。

以上のような経緯で、夫の妻に対する信頼感は失われていきます。

その結果、夫は単身で新潟県の病院に赴任して別居生活をすることになります。

しかし、それに納得がいかない妻は夫に対して離婚調停を申立てることになります。

また、妻は離婚調停を申立てるだけではなく、夫の恩師に「夫は浮気相手と新潟県に赴任した」という虚偽の手紙を送る行動にでます。

一連の妻の行動により、夫の妻に対する信頼感は決定的に失われることになりました。

裁判では、夫の婚姻する意思が失われたことから、婚姻を継続し難い重大な理由が生じているとして、夫からの離婚請求を認めました。

本裁判でお伝えしたいことは、親族との不和を原因とする離婚裁判における慰謝料の取扱いについてです。

親族との不和を原因とする離婚裁判における慰謝料請求(4-B-a)

本裁判では、夫から妻・妻の母に対して慰謝料請求が求められました。

慰謝料請求の根拠は、婚姻関係の破綻を理由にしたものでした。(破綻慰謝料)

判決では、夫から妻に対する慰謝料請求は認めましたが、妻の母親に対する慰謝料請求は認めませんでした。

婚姻維持の責任は、原則として当事者にあるとしたのです。

そして、夫婦以外の第三者に婚姻破たんの責任があるとするための条件について言及しています。

第三者に婚姻破たんの責任があるとするためには、以下3つの条件をクリアする必要があるそうです。

  • 当事者双方に婚姻の意思がある
  • 婚姻継続の努力をしている
  • 第三者が客観的にみて婚姻を継続し難い事態を招く

本裁判の場合は、夫が婚姻する意思がなく婚姻継続の努力もしていないことから慰謝料請求は認められないということです。

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夫の両親と妻の不和を原因とする妻からの離婚請求(4-C)

名古屋地方裁判所岡崎支部判決昭和43年1月29日(判例時報515号74頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒妻(原告)が夫(被告)と夫の両親(被告)
    【名古屋地方裁判所岡崎支部判決昭和43年1月29日】
夫婦の歴史
  • 昭和39年4月    婚姻
  • 昭和40年1月      妻が別居

この裁判は、夫の両親との不和に対して何も改善しない夫に対して、妻が離婚を申立てた事例です。

妻は婚姻してから夫の両親が営む農作業を手伝っていました。

一方で、夫は家業を手伝うことはなく会社に勤務していました。

婚姻してから1、2か月は平穏な日々が続いていました。

しかし、それ以降は別居するまでの約6か月間は妻は夫の両親から小言をいわれるなどいびられ続けました。

夫は、妻を冷遇したり、虐待することはありませんでした。

しかし、妻と両親との関係を改善するための誠意も見せず、具体的な行動も起こしませんでした。

判決では、妻と両親との不和を目の前にしても、何もしようとしない夫の行動が明らかになっています。

さらに判決時においては、夫は妻と婚姻を継続する意思がないことも明らかになっています。

以上の事情により、裁判では妻からの離婚請求を認めました。

なお、この裁判では妻から夫と夫の両親に対して慰謝料請求も申し立てられています。

慰謝料請求の結果は、夫に対する慰謝料は認められたものの、夫の両親に対しては慰謝料請求を認めませんでした。

婚姻維持の責任は、原則として当事者にあることを改めて示した裁判でした。

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夫の両親による嫁いびりを原因とする妻からの離婚請求(4-D)

盛岡地裁遠野支部判決昭和52年1月26日(家庭裁判月報29巻7号67頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒妻(原告)が夫(被告)と夫の両親(被告)を訴えた
    【盛岡地裁遠野支部判決昭和52年1月26日】
夫婦の歴史
  • 昭和47年     婚姻
  • 昭和48年3月    長女出生
  • 昭和49年2月    長女を連れて別居
  • 昭和49年4月    妻のもとから長女を連れ去る
  • 昭和49年5月    離婚調停を申立て

この裁判で、夫の両親が妻に対して執拗にいびる行為が問題視されました。

妻は夫に対して両親との仲を取り持つように依頼しましたが、全く取り持ってくれません。

夫の両親との同居に耐えられなくなった妻は「以後は家に戻らない」と宣言して子供と実家に戻ることになります。

その後、夫が妻を訪ねて「子供を抱かせてくれ」というので子供を渡したところ、妻の知らないうちに子供を自動車に乗せて自宅に帰宅しました。

とうとう妻は夫に離婚調停を申立てました。

そして、妻が夫の実家から衣類を持ち出すために親戚を連れて夫の実家に赴いた時に事件が発生しました。

夫と舅が妻の体に手をかけたり、髪を引っ張るなどの暴行を受けたのです。

裁判では、以上の事情を踏まえて、妻からの離婚請求が認められたのです。

この裁判で注目すべき点は3つです。

  1. 嫁いびりが執拗だった
  2. 夫の好意ではなく具体的な行為を重視した
  3. 夫の両親への慰謝料請求が認められた
嫁いびりが執拗だった(4-D-a)

この裁判では、嫁いびりが執拗に行われていることに言及しています。

裁判で明らかになった嫁いびりの一部を箇条書きにします。

  • 姑に従って食後の茶椀を片付けようとして舅から叱られる
  • 姑からご飯を食べる時の口の開け方が悪いといわれる
  • 姑から箸の持ち方が悪いと叱られる
  • 舅から仏壇の拝み方が悪いときつく叱られる
  • 2階に上がろうとしたら歩き方が悪いと叱られる
  • 掃除の仕方が悪いとほうきを取り上げられる
  • 掃除中に雑巾を投げつけられる
  • 茶椀蒸しにさつまいもを入れたのが悪いときつく叱られる

裁判所は嫁いびりが妻の人権を侵害するものであると考えられてきたと指摘しちえます。

夫の好意ではなく具体的な行為を重視した(4-D-b)

妻が衣類を持ち出すために夫の家に立ち寄った時に、夫は妻に暴行を加えました。

しかし、それ以前に関しては、夫は両親に同調して妻をいびったりすることは認められていません。

むしろ、夫は妻に対して、好意をもっていることが裁判では指摘されています。

それにも関わらず、裁判所が夫婦関係の破たんを認定したのは、「両親との仲を取り持って」という妻の要望に、夫が応えなかったことが大きいです。

夫の両親への慰謝料請求が認められた(4-D-c)

この裁判で最も着目すべきは、夫の両親にも慰謝料請求が認められたことです。

これまで紹介してきた事例では、いずれも親族への慰謝料請求は認めていません。

婚姻関係破たんの際の慰謝料請求は、元配偶者のみに対してのみ認められることが一般的な裁判所の判断です。

しかし、この事例では、夫と夫の両親の全員に共同不法行為が認められました。

その理由は、以下の事情があるとされています。

  • 嫁いびりが執拗
  • 夫は両親と妻との仲を取り持たなかった
  • 夫が子供を連れ去った
  • 妻は夫と舅から暴行を受けた

ちなみに、連れ去りにあった子供を連れ戻す方法は以下の記事に詳しくまとめています。

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夫の母と妻との衝突を原因とする夫からの離婚請求(4-E)

東京高裁判決昭和56年12月17日(判例時報1036号78頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審・控訴審
    ⇒夫(原告・控訴人)が妻(被告・被控訴人)を訴えた
    【東京高裁判決昭和56年12月17日】
夫婦の歴史
  • 昭和49年2月   婚姻
  • 昭和49年11月    長男出生
  • 昭和51年10月    二男出生
  • 昭和53年8月      妻は子供を連れて別居
  • 昭和53年11月    夫が離婚調停を申し立て
  • 昭和54年9月      調停不成立
  • 昭和54年10月    離婚訴訟を提起

この裁判は、夫婦間の対立や衝突が絶えなかった夫婦のうち、夫から妻に対する離婚請求です。

この裁判では、夫からの離婚請求を棄却しました。

つまり、婚姻関係の修復が可能であると裁判所は判断したということです。

夫婦間に対立や衝突があり、夫は妻に暴力まで振るっていました。

客観的にみれば、夫婦関係は既に破綻しているため離婚請求が認められても不思議ではありません。

では、なぜこの裁判では夫からの離婚請求を認めなかったのでしょうか?

夫からの離婚請求が認められなかった理由は4つあります。

  1. 夫婦の衝突のキッカケは夫婦にはない
  2. 夫の有責度が高い
  3. 妻が離婚を望んでいない
  4. 未成熟の子供がいる
夫婦の衝突のキッカケは夫婦にはない(4-E-a)

妻は夫の母と言い争いが多く衝突していました。

しかし、その対立を生んだのは妻の不満(姑に絶対服従する夫の態度に不満)と夫の不満(姑に従わない妻に対して不満)が原因でした。

つまり、この対立は夫婦間の人間関係から生まれたものではありません。

夫の有責度が高い(4-E-b)

裁判所は、夫婦間の衝突の最大の原因は、「妻の立場を理解し温かく接しようとしなかった夫の態度」にあると判断しました。

つまり、姑の顔ばかり伺っていないで、妻のことをもっと大事にすべきだったという判断です。

妻が離婚を望んでいない(4-E-c)

妻は、夫婦間で衝突しているものの離婚を強く拒否していました。

裁判所は、有責度が高い夫が離婚請求により夫婦関係を一方的に夫婦関係を解消しようという試みに対して、「法の許容するところではない」と否定的な判断を下しています。

未成熟の子供がいる(4-E-d)

夫婦には、未成熟の子供が2人いることも裁判所の判断に影響を与えたようです。

裁判所は、夫に対して2児の父としての責任を十分に自覚するように促しています。

また、夫に対して「妻と相協力して家庭生活を営むことに努力を払うのであれば、円満な夫婦関係を取り戻すことはあながち困難ではなく、むしろ容易とすら思える」とコメントしています。

つまり、妻が離婚を望まない以上は、夫が努力をすれば一度壊れた夫婦関係を取り戻すことは容易だと判断しているのです。

一度壊れた夫婦関係を取り戻すことが本当に可能かは判断が分かれるところです。

別居、離婚調停、離婚裁判を経て仲違いした夫婦が、夫婦円満に戻る保証はないでしょう。

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親族が夫婦円満に積極的な姿勢を見せた事例(4-F)

東京地裁判決平成17年1月26日(公刊物未掲載)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒夫(原告)が妻(被告)を訴えた
    【東京地裁判決平成17年1月26日】
夫婦の歴史
  • 平成8年6月      婚姻
  • 平成9年3月        長女出生
  • 平成12年12月    二女出生
  • 平成14年8月      夫が別居を開始
  • 平成15年         離婚訴訟を提起

この裁判は、夫が妻に対して離婚請求した事例です。

夫は、妻と妻の母に対して大きな不満がありました。

具体的には、子供が生まれると妻の母親が同じマンションに引っ越してきたり、新居に引越した後に夫である自分の了解なく母と同居するための増築計画を進めたことが許せなかったのです。

夫は自らの意見をないがしろにして、実の母に同調する妻に納得いかず、別居したのちに離婚請求をしました。

しかし、結果的には夫からの離婚請求は認められませんでした。

夫からの離婚請求が認められなかった理由は4つあります。

  1. 未成熟な子供が2人いること
  2. 別居期間(2年5ヶ月)が同居期間(6年2ヶ月)に比べて短い
  3. 妻と妻の母は関係修復に積極的な姿勢を見せていること
  4. 夫婦間の問題を話し合わない夫の消極的な姿勢

以上4つの理由のうち、親族の不和に関連する裁判事例で珍しいのは、妻と妻の母が関係修復に積極的な姿勢を見せている点です。

その一方で、裁判所が重く見たのが、別居中に夫婦関係修復に向けた話し合いを1度もしていないことです。

つまり、夫は夫婦関係を話し合いにより修復することに消極的だったのです。

裁判所は、妻と妻の母が誠意をもって夫婦関係修復に努めるならば、夫の努力次第で夫婦関係が修復できると判断したのです。

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まとめ

親族との不和により離婚が認められた事例を紹介しました。

特に、裁判事例を確認していただくことで、理解が深まったのではと思います。

さて、本サイト「離婚準備なう。」では離婚準備の無料マニュアルを用意しています。

是非とも参考にしてください↓↓

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