離婚準備なう。

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浪費癖による離婚を認めてもらう秘訣を裁判事例から調査した結果

浪費癖による離婚を認めてもらう秘訣を裁判事例から調査した結果

配偶者の浪費癖を理由に離婚したいと考える人は少なくありません。

しかし、いざ離婚するとなると沢山の疑問が頭に浮かぶはずです。

  • 法的な根拠は?
  • 配偶者の浪費で離婚する人は多いの?
  • 浪費をどうやって証明したらいいの?
  • 具体的に「浪費」って何?
  • 裁判ではどんな判決が下っているの?

本記事では、上記の疑問を全て解決し、離婚を成立するために必要な知識を紹介します。


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浪費癖による離婚を認めてもらう方法

浪費癖による離婚を認めてもらう方法を以下にテーマに沿って紹介していきます。

  1. 浪費癖で離婚が認められる根拠
  2. 浪費癖による離婚を申立てる割合
  3. 浪費癖による離婚のために必要な証拠
  4. 裁判の事例

財産分与 不動産

浪費癖で離婚が認められる根拠(1)

浪費癖による離婚が認められる法的根拠から考えていきます。

民法770条1項では、離婚が認められる5つの条件を規定しています。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復の見込みのない重度の精神病
  5. 婚姻を継続しがたい重大な事由

浪費癖にぴったり当てはまる項目はありません。

そのため、離婚するためには「ⅴ 婚姻を継続し難い重大な事由」があると主張する必要があります。

では、配偶者の浪費癖により離婚を申し立てる人はどれぐらいいるのでしょうか?

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浪費癖による離婚を申立てる割合(2)

浪費癖 離婚 割合

上図は、司法統計を参考にして作成した離婚申立ての動機別の割合です。配偶者の浪費を理由に離婚調停を申立てる人は、男性で12%、女性で11%います。

つまり、全体の1割程度が配偶者の浪費に悩んだ末に離婚を決断しているということです。

では、配偶者の浪費により離婚を申し立てる場合は何が必要なのでしょうか?

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浪費癖による離婚のために必要な証拠(3)

配偶者の浪費を証明する証拠を箇条書きにしておきます。

  • 源泉徴収票・給与明細
  • 預貯金通帳のコピー
  • クレジットカードの利用明細書
  • 消費者金融の利用明細書
  • 購入した贅沢品の写真
  • ギャンブルや趣味活動中の写真や映像
  • 家計簿 etc

以上に箇条書きにした証拠をにより、限られた収入に見合わない支出をしていて、それが浪費によるものだと証明すればいいのです。

また、浪費癖を証明する話とは直接関係はないのですが、離婚する本気度が高ければ不動産の権利関係が現状どうなっているか確認することを強くおススメします。

なぜならば、浪費家の家庭では預貯金などの貯蓄がほとんどなく、財産分与で折半できるお金がほとんど残っていないことも珍しくないからです。また、離婚後の新生活の原資として慰謝料を請求したとしても、浪費は慰謝料を請求する理由としては弱く、仮に慰謝料の請求が認められたとしても経済的に余裕がない人からお金を受給するのは至難の技です。

その一方で、浪費家であっても支払いが滞れば家を手放すことになる住宅ローンだけは、真面目に支払っていることが多いです。婚姻時に住宅ローンを組んだ不動産は、財産分与の対象です。そのため、ほぼ確実に請求する権利があり、そして回収できる可能性がある不動産の状況はしっかりと把握しておくべきだと思います。

不動産の現状確認をしておいた方がいいと助言しても、何から手を付けていいかわからない人も多いと思います。そんな方は、以下の記事をご覧ください。離婚時の不動産対策を無理なく進める手順・考え方をわかりやすく解説します。

さて、これまでは、浪費癖を理由として離婚するために必要な最低限の知識をお伝えしてきました。

ここからは、具体的な裁判事例を紹介しながら、裁判所がどのような基準で浪費による離婚請求を認めているか解説していきます。

配偶者による浪費により離婚を目指している方は是非ともご覧ください。

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裁判の事例(4)

配偶者の浪費を理由とした離婚請求の事例を紹介していきます。

  1. 妻の浪費を理由とした夫からの離婚請求(認容)
  2. 夫の多額の借金等を理由にした離婚請求(棄却)
  3. 夫からの離婚請求と妻からの反訴のどちらも認められた事例

妻の浪費を理由とした夫からの離婚請求(4-A)

東京地裁判決昭和39年10月7日(判例時報402号59頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒夫(原告)が妻(被告)
    【東京地裁判決昭和39年10月7日】
夫婦の歴史
  • 昭和33年12月  婚姻
  • 昭和35年4月      長男出生
  • 昭和35年            妻が知人から借金
  • 昭和35年            妻が夫や夫の両親名義でテレビ等を月賦購入してはすぐに売却し、売却した金員を消費する
  • 昭和37年            離婚訴訟を提起

この裁判は、妻の浪費に耐えかねた夫からの離婚請求です。

現在の水準になおすと、東京都の地方公務員であった夫の月収は25万~30万円でした。

高給取りとはいえない夫の給料に関わらず、妻は50万円~60万円ほどのテレビをクレジットで購入しては直ちに売却して現金化することを繰り返し、借金を重ねていきました。

最終的な借金額はわかりませんが、夫の月収の2~3倍のテレビを何台も購入したために、相当な借金だったと思われます。

また、これらの借金は夫に無断で行われました。

しかし、多額の借金は隠し通せるものではありません。

ついに、事実が夫に発覚したため、妻は夫に対して生活態度の見直しを誓いました。

しかし、妻は反省することなく、その後も同様の手口で借金を重ねました。

その結果、妻に対する信頼感が失われてしまい、夫は離婚を申立てます。

裁判では、妻の態度を踏まえて、婚姻を継続し難い重大な事由があると認めています。

この裁判事例で覚えておくべきことは、1つだけです。

  1. 浪費が婚姻を継続し難い重大な事由と認められる条件
浪費が婚姻を継続し難い重大な事由と認められる条件(4-A-a)

最初に知っておくべきことは、借金が多いだけでは離婚が認められないという事実です。

例えば、以下のような借金は一般的な家庭でもみられるものです。

  • 住宅ローン
  • 教育ローン
  • 労親の介護のための借入

また、浪費といっても浪費の概念は、夫婦の資産、収入、価値観により相対的なものです。

例えば、中流家庭にとっての贅沢品は、富裕層からすればそうではないでしょう。

しかし、一方の配偶者が他方の配偶者に無断で不必要な借金を重ねて、家計を窮地に陥れた場合は、明らかに夫婦の協力・扶助義務(民法752条)に違反することになります。

そのため、過度な浪費は「悪意の遺棄」として認められる可能性すらあります。

また「悪意の遺棄」とまでは至らなくても、健全な家計の維持が難しいほどに、家庭生活が経済的に破たんしており、尚且つそのことで夫婦の信頼関係が損なわれていれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当します。

なお、悪意の遺棄についての詳しい解説は以下の記事をご覧ください。

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夫の多額の借金等を理由にした離婚請求(4-B)

仙台地裁判決昭和60年12月19日(判例タイムズ595号77頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒妻(原告)が夫(被告)
    【仙台地裁判決昭和60年12月19日】
夫婦の歴史
  • 昭和50年12月  見合いを経て挙式
  • 昭和50年12月  夫の借金総額600万円
  • 昭和51年5月    婚姻届提出
  • 昭和51年10月  長男出産
  • 昭和53年2月    二男出生
  • 昭和57年10月  夫は母に保証人になってもらい、200万円を金融機関から借入
  • 昭和58年9月    妻は取立てのための電話や電報により、夫がサラ金から借金していることを知る
  • 昭和59年1月  サラ金への支払いのため、夫は1ヶ月分の生活費として3万円しか渡せなくなる
  • 昭和59年2月  妻は離婚したいと夫に告げて、子供を連れて実家へ帰る
  • 昭和59年3月  離婚調停申立て
  • 昭和59年4月  自宅土地建物を担保としてサラ金から800万円を借りて他の債務を返済し、債務を1本化
  • 昭和59年5月  妻が離婚訴訟を提起

この裁判は、夫の借金に耐えかねた妻からの夫に対する離婚訴訟です。

夫は多額の借金を抱えて、妻への生活費を十分に支出できない程でした。

しかし、結論からいうと妻の離婚請求は棄却されています。

妻からの離婚請求が棄却された3つの理由をそれぞれ解説します。

  1. 借金問題以外には婚姻関係を継続する上での支障がない
  2. 借金の理由が浪費ではない
  3. 妻が共働きすれば生活できる
借金問題以外には婚姻関係を継続する上での支障がない(4-B-a)

まず1つ目の理由として挙げられるのは、借金問題以外には夫婦間の関係を破綻させるような問題がなかったことです。

そのことが、大前提にある上で2つ目、3つ目の理由をみていきます。

借金の理由が浪費ではない(4-B-b)

夫の借金の理由は、以下のようなものであり浪費ではありませんでした。

  • 夫の両親の入院費用
  • 夫の弟の私立大学への進学費用
  • 夫婦の結婚費用

また、返済に困った時は夫の母親を保証人にして新規借入をする、夫の両親の田畑を売る、夫の勤務先から借りるなどしていました。

つまり、妻や妻の両親にはなるべく迷惑をかけないようにしていたことが判明しています。

裁判では、夫の借金の原因がやむを得ないものであると認定しました。

妻が共働きすれば生活できる(4-B-c)

また、裁判所は、妻が共働きすれば借金の返済も生計の維持も困難ではないと指摘しています。

具体的に裁判所は以下のように指摘しています。

  • いわゆる共働きをし、その収入を家計に入れるようにしさえすれば借金の返済も生計の維持も楽になると考えられる
  • 夫が困っている時に妻が助け、夫の収入が少なければその不足分を補うため妻も働いて収入を得るというようなことは広く世間一班の夫婦の間では当然のこととして行われているものであり、それは公知の事実である。

つまり、夫が真面目に働いてもその収入のみで借金を返済し、家計を維持することが困難であったとしても、それのみでは離婚を認める原因とはならないということです。

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夫からの離婚請求と妻からの反訴のどちらも認められた事例(4-C)

東京地裁判決平成12年9月26日(判例タイムズ1053号215頁)を紹介します。

まずは、裁判の概要をまとめておきます。

裁判の流れ
  • 第一審
    ⇒夫(原告・反訴被告)が妻(被告・反訴原告)
    【東京地裁判決平成12年9月26日】
夫婦の歴史
  • 昭和33年7月    婚姻届提出
  • 昭和34年3月    長男出生
  • 昭和38年10月  二男出生
  • 昭和52年     妻が夫に無断で夫名義で銀行等から多額の借入れ
  • 昭和60年     妻が夫婦関係調整調停を申立てる。結果、借金する際は夫婦で相談して処理するなどして円満な夫婦共同生活を維持継続する旨の調停が成立
  • 平成4年4月    夫が会社を退職。妻に生活費を渡さなくなる
  • 平成8年9月    妻が家を出て、以後別居

この裁判は、夫と妻がそれぞれ離婚請求をしています。

夫の主張は、「妻の浪費を反省を示さない生活態度を理由にした離婚請求」です。

妻の主張は、「生活費の不払いなどの経済的虐待を理由にした離婚請求」です。

ここで、夫と妻が双方離婚を望んでいるのであれば、離婚届を提出すればいいのではと疑問に思う方もいると思います。

夫婦がお互いに離婚を望んで争っている場合は、通常であれば裁判所は夫婦関係の具体的な内容に立ち入って審理・判断するまでもなく離婚を認めます。

しかし、この裁判では具体的に夫婦間の内容に立ち入って審理しました。

なぜならば、夫婦がお互いに1,000万円の慰謝料請求をしていたからです。

さて、裁判所が夫と妻の主張に対して、それぞれどのような解釈をしたのか見ていきます。

  1. 夫の主張に対する裁判所の意見
  2. 妻の主張に対する裁判所の意見
  3. 裁判所の結論
夫の主張に対する裁判所の意見(4-C-a)

夫は、妻の浪費とまったく反省を示さない生活態度を理由に離婚を申し立てました。

裁判所は、妻が収入に見合わない生活を送って借金を重ねた事実は認めました。

裁判所は以下のようにコメントしています。

「妻は収入に見合う生活をおくるという堅実な生活態度に欠けた消費をして、不相応な多額の借入やクレジットカードの利用を重ね、妻の独力では返済不能となってしまった。」

しかし、裁判所は以下のようなコメントをして妻を全否定することはありませんでした。

「借り入れの中には、家の増改築費用や長男の大学の入学金が含まれているところ、一般のサラリーマン家庭においては、これらは日常の生活費とは別に借り入れをするか、預貯金等の貯えから支出するのが通常ということができる。にもかかわらず、夫がなんらかの協力をしようとしたり、資金の調達方法を妻に聞いたりしていないことに照らせば、夫に相談なく借入をしたことの当否は別にして、妻が借入をせざるをえなかったこと自体はやむをえない面もあり、妻のみを避難することはできない」

つまり、妻が無断で借金を重ねたことに非がないとはいえないが、妻がどうやって家計をやりくりしていたか無関心であった夫の態度にも問題があるという指摘です。

そもそも、夫婦間でのコミュニケーションが欠如していたことが、夫婦関係破綻の始まりであると裁判所は捉えているということです。

妻の主張に対する裁判所の意見(4-C-a)

妻は、夫に対して生活費の支払い態度を理由にした離婚請求をしました。

裁判所は、以下のコメントにより、妻が主張する夫の経済的虐待は否定しています。

「多額の借金が発覚した以降、夫は妻に渡す生活費を月6万円~8万円にしたが、これは、それまでに妻が夫に無断で借入れ、自力で払えなくなった債務の返済のためであり、妻に渡される生活費がこの程度の金額になるのはやむをえない」

さらに、妻は夫に対して素行の悪さや、不貞行為を訴えていましたが、裁判所はこの主張を認めませんでした。

裁判所の結論(4-C-c)

裁判所は夫と妻の主張のそれぞれに対して以上のように回答した上で、以下のようにコメントしています。

「本件婚姻が破綻したことについての責任は、夫のみまたは妻のみにあるとすることは相当とはいえない。夫・妻双方に等しく責任があるということもできるし、いずれにも責任はなく、いわば運命であるということもできよう」

そして、夫と妻のそれぞれの離婚請求を認めたのです。

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まとめ

配偶者の浪費癖による離婚が認められる条件を詳しく紹介しました。

もしも、離婚準備に興味があれば本サイトが公開している無料レポートをご参照ください。

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