離婚準備なう。

5635

夫婦の義務【同居・協力・扶助・貞操】離婚前に破ったらどうなる?

夫婦の義務【同居・協力・扶助・貞操】離婚前に破ったらどうなる?

婚姻関係にある夫婦にはどのような義務があるでしょうか?

そして、それらの義務を一方的にやぶったらどうなるでしょうか?

一般生活の中で「夫婦の義務」について考える場面は少ないと思います。

しかし、離婚に至るまでの過程では夫婦の義務を破る場面も多々あると思います。

そのため、夫婦の義務について整理していきたいと思います。

また同時に、夫婦の義務と離婚との関係についても詳しく解説していきます。

夫婦の義務・法律関係について

夫婦の義務・法律関係の主な事柄を箇条書きにします。

  1. 夫婦の同氏
  2. 同居義務
  3. 協力・扶助義務
  4. 貞操義務
  5. 財産の関係
  6. 親子の関係

それでは順に解説していきます。

夫婦の同氏(A)

民法には以下の規定があります。

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
【民法 第750条】

婚姻により夫婦は、同じ氏(名字)にしなければいけません。

婚姻届には、そもそも夫婦別姓を選択する項目がありません。

そのため、結婚時に名字を変えた側の人は以下の2択を迫られます。

  • 婚姻時と同じ姓を名乗る
  • 旧姓に戻す

上記の2択を迫られるのは、日本では多くの場合女性です。

子供がいない場合には旧姓に戻ることが多いようです。

一方で、子供がいる場合には婚姻時と同じ姓を名乗ることもあります。

離婚後に旧姓と婚姻時の姓のどちらを名乗るかは自由に選べます。

しかし、離婚時に婚姻時の姓を選んだ場合には、注意すべき点もあります。

それは、再婚した後に離婚した場合には旧姓を選択できないという制限です。

つまり、再婚後に離婚した場合に選べる姓は以下の2択です。

  • 初婚時の姓
  • 再婚時の姓

再婚した後に離婚するケース(バツ2)はあまり多くないのですが、心の隅に置いておきましょう。

本記事テーマ一覧に戻る↑↑

同居義務(B)

民法には、以下の規定があります。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
【民法 第752条】

ここでは、上記太文字の「同居」について詳しく解説します。

離婚問題において、同居義務について議論になる理由は、離婚前に別居することがあるからです。

では、そもそも、なぜ離婚前に別居するのでしょうか?

離婚が成立すれば、同居が問題になることはないはずです。

離婚前に別居する理由は、説明するまでもなく「離婚したいから」です。

つまり、別居する側は「離婚したい」、同居を望む側は「離婚したくない」という対立があるのです。

ここで注目されることが多いのは、夫婦なのに別居することは許されるのか?という議論です。

同居を望む側からすれば、「同居義務を違反することは許さない!」と思うでしょう。

また、別居を予定する人は、「同居義務に違反すると訴えられないか?」と疑問に思うでしょう。

結論からいうと、同居義務違反により訴えられた結果、同居を求める審判(裁判をせずに家庭裁判所で判決が下ること)が下されても大した意味はありません。

なぜならば、同居を求める判決により、罰金を課されたり、強制的に家に連れ戻されることがないからです。

別居したら訴えられて罰金を支払ったり、国家権力で連れ戻されたという話を聞いたことはないですよね?

さて、この現状に同居を望む側が納得できない感情をもつのは当然ですが、同居を強制できないのが現状です。

実は、この現状を利用して離婚成立を目指す人もいます。

別居しても連れ戻されないことを利用して、離婚成立を目指す動き方の有効性については、次に説明する「協力・扶助義務(C)」にて説明します。

本記事テーマ一覧に戻る↑↑

協力・扶助義務(C)

民法には、以下の規定があります。

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
【民法 第752条】

つまり、別居中であっても夫婦である以上は扶助しなければいけないのです。

なお、別居中に支払われる生活費を「婚姻費用」(こんいんひよう)といいます。

夫婦である以上は、扶助義務に反対する人はあまり多くないでしょう。

夫婦でお互いに協力して扶助する気がないのならば、結婚しなければいいだけの話だからです。

しかし、離婚問題を考える上では、扶助義務は一家の大黒柱を不利な立場に追い込みます。

一家の大黒柱は不利になる(C-1)

一家の大黒柱が、「離婚したい側」であっても「夫婦円満を望む側」であっても不利になります。

これだけの説明ではわかりづらいので、もう少し具体的に説明します。

大黒柱が離婚したい場合(C-1-a)

もし一家の大黒柱が「離婚したい側」であったとします。

配偶者が離婚に納得しない場合には、別居は夫婦関係の破綻を証明する有効な選択肢になります。

しかし、その選択肢を気軽に採用するわけにはいきません。

なぜならば、別居を開始しても扶助義務からは逃れることはできないからです。

つまり、自分の生活費と、残してきた配偶者の生活費の両方を賄わなければいけません。

払わなければどうなるでしょうか?

支払わない場合は、裁判所からの支払い命令により、給料が強制的に差し押さ得られる可能性があります。

裁判所の支払い命令から逃れ続けることはできるのか?

婚姻費用の支払いから逃れるハードルは、とても高いです。

なぜならば、失踪する、働き先を隠す、収入を隠す、などの対策が必要になるからです。

別居すれば、「離婚したい」という強い意思を示すことには成功すると思います。

しかし、配偶者が離婚に合意するまでは二重生活の経済的負担に耐えなければなりません。

大黒柱が夫婦円満を望む場合(C-1-b)

次に、一家の大黒柱が夫婦円満を望む場合を考えます。

つまり、配偶者に別居されたものの、夫婦円満を望む場合が該当します。

このような場合であっても、大黒柱は婚姻費用を支払わなければなりません。
(金額については争う余地があります。)

婚姻費用の支払いを免れるためには、2つの方法があります。

  • 同居
  • 離婚

ここで先ほど説明した同居義務違反の話を思い出してください。

別居した配偶者を同居義務違反で訴えたところで、連れ戻す実効性が乏しいことは既に説明しました。

そのため、「同居」を目指すのであれば配偶者を粘り強く説得するしかありません。

さて、もしも別居中の配偶者の離婚に対する覚悟が揺るがなかったらどうしますか?

当然、別居期間中であっても婚姻費用を支払い続ける必要があります。

なかには、それを見越した上で別居を開始するツワモノもいます。

つまり、離婚戦略の一環として別居を選択した人の言い分は以下のようなものです。

  • 離婚する気持ちは揺るがない
  • 離婚すれば婚姻費用の支払いから開放する
  • 数年間経過すれば離婚が成立する可能性が高い

大黒柱側としては、説得してもダメとわかれば経済的負担に耐えるだけ虚しくなります。

別居期間も長くなればなるほど、離婚調停・裁判で離婚判決が下る可能性が高くなります。

離婚問題を考える上で、扶助義務は一家の大黒柱に不利に働くことは理解いただけたと思います。

本記事テーマ一覧に戻る↑↑

貞操義務(D)

夫婦はお互いに貞操(ていそう)義務を負います。

つまり、婚姻した以上は、夫婦以外の異性と肉体関係をもってはいけないとされています。

しかし、実は貞操義務は民法で明記されていません。

ただし、以下の理由から貞操義務は法律上の義務と解釈されています。

  • 配偶者の不貞行為を離婚原因としていること(民法770条1項1号)
  • 重婚を禁止していること(民法732条、刑法184条)

では、不貞行為とはどのような行為なのでしょうか?

結論からいえば、本人が望んで異性と肉体関係をもてば不貞行為になります。

つまり、以下のようなケースは不貞行為の対象外です。

  • 本人が拒否しているのに乱暴された
  • 異性ではない人物との肉体関係
  • 接吻や手をつなぐといった行為 etc

離婚問題においては、不貞行為は2つの重要な意味があります。

  1. 離婚原因
  2. 慰謝料請求

離婚原因(D-1)

不貞行為は離婚原因の一つです。

配偶者の不貞行為により裏切られた側が、離婚を求めることができます。

しかし、逆は成立しません。

つまり、不貞行為をはたらいた側が離婚を求めるという行為は認められません。

なぜならば、不貞行為をした側からの離婚請求を認めてしまえば、裁判所は加害者側の味方をしてしまうことになるからです。

不倫された上に、不倫した側の言い分を認めて離婚を成立させるのは、被害者側からすれば許せないでしょう。

慰謝料請求(D-2)

不貞行為をされた側は、慰謝料請求をすることができます。

慰謝料請求は離婚してもしなくても請求できます。

しかし、離婚をしない慰謝料請求は、離婚した場合の慰謝料請求よりも少額になる傾向があります。

また、慰謝料請求をする相手は「配偶者と浮気相手」がセットになるのが一般的です。

そのため、慰謝料請求のうち大半を配偶者が支払っても問題ありません。

なお、慰謝料請求についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参照してください。

以下の記事では、慰謝料の金額、請求するコツなどについて詳しく説明しています。

なお、不貞行為により離婚を求めるにしても、慰謝料を求めるにしても絶対に必要なことがあります。

それは、「不貞行為の証拠」です。

不貞行為の証拠がないと何もはじまりません。

不貞行為を配偶者が認めている場合であっても、いざ離婚協議や慰謝料請求を始めると否認する場合もあります。

「不貞行為の追求に身の危険を感じたため、自白するしかなかった!」

以上のような言い訳をして、離婚や慰謝料の支払いを逃れようとするのです。

配偶者が浮気をしているのかわからないならまだしも、浮気をしている可能性が高いのであれば、浮気調査が空振りする可能性は低いと思います。

「離婚準備なう。」では、おすすめの探偵社を紹介しています。

また、もしも配偶者の浮気を疑うのであれば、浮気の兆候からチェックしてみてください。

本記事テーマ一覧に戻る↑↑

財産の関係(E)

離婚する場合は、夫婦で築いてきたものを半分にする必要があります。

現金を半分にするのは簡単ですが、夫婦が築いてきたものの中には簡単に半分に分割できないものも存在するはずです。

また、財産によってはどのように評価すればいいか迷うものも数多く存在するはずです。

財産分与をどこまで細かく実行するかは、夫婦の裁量しだいです。

正直、財産の中には、本格的に離婚が決まってから考えれば良い細々としたものも多く存在すると思います。

しかし、離婚準備の段階からしっかりと下調べをしなければいけないものは、「不動産」です。

不動産は金額も大きいですし、住宅ローンを完済していない場合には勝手に名義変更・売却をすることはできません。

まずは、住宅ローンの残債、不動産の市場価格の2つは必ず押さえておく必要があります。

不動産の市場価格を無料で効率よく調べる方法は以下の記事で詳しく解説しています。

本記事テーマ一覧に戻る↑↑

親子の関係(F)

日本では、単独親権のみ認められています。

そのため、「親権」を夫婦のどちらにするか決めなければいけません。

実際に、離婚届けに親権をどちらにするかチェックしなければ離婚が認められません。

なお、離婚する上では親権と関わりの深い「面会交流権」、「養育費」についても考えなければいけません。

面会交流権とは、子供が親権をもたない側の親と交流する権利です。

養育費とは、子供が成人・大学卒業まで一緒に暮らしていない側が支払う金銭的援助のことです。

平成24年4月1日から施行された「民法等の一部を改正する法律」の影響で、離婚届にも面会交流権と養育費についての記述があります。

離婚届 養育費 面会交流権

なお、親権、面会交流権、養育費については別途詳しく解説する記事を用意しています。

そもそも親権とは?親権を分割することはできないのか?という疑問については、以下の記事にまとめています。

面会交流権の具体的な決め方については、以下の記事にまとめています。

養育費の金額や取り決め方法については、以下の記事にまとめています。

本記事テーマ一覧に戻る↑↑

まとめ

離婚準備を進める人も、離婚したくない人も、今回紹介した夫婦の義務は全て完璧に把握しておかなければなりません。

是非とも本記事中で紹介した関連ページも参考にしてください。

Sponsored Links

Return Top